月が綺麗な円となる満月の夜の屯所前。



「一人残らず制圧しろ。」


「んなもん、言われなくても分かってますよ。では、行ってきます。」


「うむ。気を付けてな。」



近藤と土方に見送られながら、沖田を初めとした隊士達が討ち入りへと出発した。



見送った後、近藤は山南と打ち合わせ、土方は自分の部屋へ戻る。



「!」



書類を片付けていると、月明かりが遮られる。

見ると背にした入り口の障子には一つの人影が映っていた。



「(山南さんの言う通りだな。しかし、一人だけとは俺もナメられたもんだ。)」



土方は、山南からオラシアの件を聞いていたので心の準備は出来ていた。


刀に手を伸ばし、臨戦態勢をとる。



「誰だ。」



殺気を込めながら問い掛けると、静かに障子が開いた。