「大分信用を得ているようだな。新撰組御用達の薬師がいると噂になっている。」



月見をしてから、更に月を三つまたいだ今日、鞍雀から呼び出された。


レイスの働きぶりに鞍雀は至極満足そうだ。



「ただ、オラシアのことが倒幕志士達の噂を介して新撰組の耳にも入ったらしい。監査が探りをいれている。」



その監査は山崎のことだろう。


菖の時はあからさまで素人だったから良かったが、今回はプロ同士。

それもターゲットとなれば探り合いだ。


「まぁ簡単に情報をくれてやるほど俺達は脆くはないがな。」


だてに暗殺組織を名乗ってはいない。



「だが、確信に迫られて個々に殺るのも面倒だ。ここらが潮時だろう。」



そして、鞍雀は本題に入る。



「次の満月の日、討ち入りでバラけ屯所は手薄になる。近藤勇と土方歳三は残るから、お前は2人を殺れ。」



表から潜入したレイスの他に、裏からと幕府側それに反幕府側にも潜入していた。


完璧に網羅して確実に仕留める。

それがオラシア。



全てはクライアントの利益の為に。