「菖、いるか?」


「はい。いらっしゃいませ、土方さん。」



新撰組の面々と初めて会った日、流れ商人で決まった宿がない菖に近藤が屯所近くの長屋を紹介した。


そして、せっかくだからしばらくの間京にいてはどうか、と提案されたのだ。


菖にとっては願ったり叶ったりだったので、さりげなく遠慮しつつも申し出を受けた。


そして、今日で月を三つまたいでいる。



「今日はどんな感じだ?」


「打ち身や筋肉痛といった疲労を訴える方が多いですね。新撰組の方々は主に切り傷や捻挫ですが。」


「そうか。なら、こういう組み合わせはどうだ?」



任務や見回り以外の時間、土方が一緒に薬を調合研究するのがここ最近の日常だ。


土方の実家が薬屋を営んでいることもあり、菖とは話が合った。


最初は平助が入り浸っていたが徐々に回数が減っていき、顔を出すものの今では気苦労の多い土方の休息場所になっている。



山南や伊東も慎重な土方が気を許している姿を見て、完全とはいえないが警戒を解いているようだ。