「もしかして腹痛の原因は、食べ過ぎですか?」


「山南さん!」



にこやかな微笑みを称えて、確信的なニュアンスを込めた質問をしたのは、総長の山南敬助だ。



「さすが山南さん。」


「どうして分かったんすか?!」


「平助くんが腹痛なんてそれしかないでしょう?」



―――腹痛と聞いただけで当たりを付けるとは、さすが総長といったところか。

僅かな気配で現れた山南に、菖は心の中で思う。


新撰組で一番気を付けなければならないのが、山南だ。

表舞台には余り登場せず、監査部隊を使い情報を集め分析し、作戦を練るのが山南の役割。


寛容な近藤や慎重な土方と違って、一筋縄ではいかない雰囲気を持っている。


その証拠に、部外者である菖を見る目が笑っていない。