「嘘だろ……、」



そう手のひらを額に当てて呟いた彼は私の彼氏だった人。


名前は…上野悠。


悠は、目の前の私をジーッと見つめた。

信じられない、という表情をしながら。



「……オレ、まだ夢見てるのか?」



程なくして、その結論にたどり着いた様子の彼に、現実だよと教えてあげたい。


けどこれは夢のような現実。

半分は夢なのだ。



「そう、これは夢……幻だから。私は悠に会いに来たんだよ。」



本当のことは言えない。

だから、悠を安心させるように優しく呟いた。



「そ、そうなのか……? はは、オレ馬鹿だよな、こんな形でもめいに会えてすげぇ嬉しいなんてさ。」


「悠……。」



私もすっごくすっごく嬉しいんだよ。


言葉で表せないほどに、泣きたいくらいに。



お互いに瞳を潤ませて見つめ合う私たち。


悠は、涙を堪えるように目を細め、私のノートを持っていない方の手を優しく取り、そのままギュッと力を込めた。