ケータイ小説 野いちご

そのなみだが乾く頃に

そのなみだが乾く頃に

今にもこぼれ落ちそうな涙をこらえながら、私は重い足取りで廊下を歩いた。

幸い、放課後の校内はあまり人気がなくて。ここまで知り合いとすれ違わなかったことをラッキーに思いながら、階段をあがる。

中央階段から3階にあがり、すぐ左に見えるドア。そこが、私のクラスの教室だ。

そのドアを開けて中に入ると、しんと静まり返った空間が迎えてくれる。

ほっと息をついて、私は後ろ手に、ドアを閉めた。



「……ッ、」



完全にひとりになったとたん、また、こみ上げてくる涙。

ごしごしと目を擦りながら、教室の真ん中あたりにある、自分の机へと向かうと。



「……?」



当初の目的である、机の横にかけていたサブバッグに手を触れたとき、教室の窓に近い後ろの床に、何かが落ちていることに気が付いた。

ゆがんだ視界をクリアにするためにまた涙を拭って、近付きながらよく見てみる、と。それは、一冊のノートで。

私は特に何も考えずに、屈んでそれを拾い上げた。

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