今年もまた、春がやってきた。 ヒラヒラと舞う桜が掌から零れ落ちていく。 儚くて脆い花弁はまるで君のよう。 君の笑顔が、優しさが、一緒に過ごしたあまりにも短すぎる時が脳裏に浮かんでは消えてゆく。 刹那の光はすぐさま暗闇へと姿を変えてしまう。 愛は苦しみだ。 人を愛するということは一種の罪を犯すということなのだから。 …世界は数えきれないほどの罪で出来ている。