待ちに待った、体育祭。



別に待ってなんかなかったけどね、と、心の中で思いながら、あたしは応援席でクラスの男子が出ている棒倒しという競技を見ていた。



隣にいる、光の話を聞きながら……。





「で。佐野くんの家に行ったっていうのに、本当になんにもなかったの?」



「だから、そんなのないって言ってるじゃん。ただDVD見ただけだよ」



「……嘘、あり得ない。高校生という性欲真っ只中の男が、女と二人きりになったのに、襲ってこないなんて……!」




ムンクの叫びみたいな顔をしながら驚いてる光。



顔が大変なことになってますぜ光さん。もとに戻せ〜。




「佐野があたしに手、出すワケないじゃん。いっつもケンカとかしてるし、そんな対象にも当てはまらないよ」



「でも付き合ってんじゃん」



「だーかーらー、それは期間限定のニセモノだよ」