「あれ、悠もう帰るの?」


いつものように資料室で過ごす放課後。


俺は最近、そこにはあまり入り浸っていない。


最近早いね、と言ったのは類で、時計はまだ午後5時を示していた。


「ん。まあな」


今日は家帰って飯作らねえと。


親父と和解した後でも、飯当番は俺と空。和解したからといって親父の忙しさが消えたわけでもないからな。


昨日と一昨日は空が作ってくれたから、今日は俺が作るって朝から決めてた。


冷蔵庫の中何があったっけなあ、と思考を巡らせながら立ち上がると、麗がトコトコと近寄ってきた。


「ねえ悠」

「な、なんだよ」