例えば一度その気持ちに気付いてしまえば、欲しい、と欲望は止まらなくて。


五分に一回は君のこと考えて。

小さなことでモヤモヤして。


恋がこんなに激しい感情だなんて、知らなかった。


理性では抑えられない感情があることを俺は、知らなかったんだ。





「おはよう、麗ちゃん」


ピンポーン、とチャイムを押すと、すぐに出てきた麗ちゃんに挨拶する。


麗ちゃんはサラリと前に流れた髪の毛を耳にかけながら、「おはよう、類」と微笑んだ。


……うーん、相変わらず狡い女の子だ。


麗ちゃんは自分の微笑みが、行動が、どれだけ色っぽくて威力があるのかを知らない。


ほんと、魔性の女の子だよ。