「少し長くなるが、いいか?」

『はい。大丈夫です。』

「我が初めて小雪を見たのは今から25年くらい前か?お前と面がよう似ていてなぁ、それはまことに美しかった。我は初めて女を美しいと思った。しかもあ奴は見た目だけではなく中身も美しかった。弱き者を助け強き者を挫く、そして笑顔は花のように可憐で綺麗だった。」

『・・・母に惚れていたんですか?』

「クックック・・・そうかもしれんな。
だがあ奴はすでにあいつの者だった。人間界でも妖界でも有名だった月影清四郎男巫のあいつはなぜか我等妖怪を封印しようとはしなかった。いつもヘラヘラ笑っていてなぁ。よく我等に言っていたな“争いは不幸しか呼ばないが笑顔は幸せを運ぶんだ。だから笑って”とな・・・」

その言葉は17になった今でも覚えている。生前父さんが口癖に言っていた言葉だった。だから私はずっと笑っていたんだ。笑っていれば幸せがくると信じて

「初めは警戒されておったがじきに半月もすれば警戒も解け皆に慕われていた。
もちろん我もあ奴が嫌いでは無かった。むしろ好いておったよ。だが小雪だけは皆と同じ眼差しではなかった。小雪は清四郎に惚れておった。同じく清四郎も小雪に惚れていた。二人とも分かりやすかったんだがな、クックック・・・我等はきずいておったのに2人はきずかなかった。」

『昔からでしたか、2人の天然は・・・』

「ふむ、今の世では天然だな・・・・だがそうやすやすと幸せは続かなかった。 ・・・ここからは梨佳、響、御主等下がってくれるか?」

「りょーかい☆じい様!」 「終わったらよべよな」

2人が出て行って襖が閉まり少し沈黙した。

「ここからは響の親が関係しているからな。本人は聞かせないほうがよかろう。
お主も聞いたであろう。響の母親の事は」

『まぁ・・・』

「響の母親の楓は見た目は小雪と同じくらい美しく、小雪と姉妹と思うほど仲が良かった。そもそも鬼女とはもとは人間。楓の両親は安産を仏ではなく閻魔に願ってしまったため妖怪になってしまったのだ。その所為で親には捨てられ人に軽蔑され散々だった。そんな楓を拾ったのが小雪だった。楓は本当に小雪を慕っていてな、同じく小雪も楓を可愛がっていた。だが小雪は清四郎を慕い始めた。小雪と清四郎は仲を深めていくばかりで楓にきづかなかった。きっと楓は小雪をとられた上に清四郎が人間だったのが運のつきだったか、楓は清四郎を憎んだ。お主は鬼女の能力をしっておるな?」

『それは、呪いの・・って・・!まさか・・・』

「いちおう我たちはその事が1番恐れていたのでな警戒していたんだ。なんせ楓は鬼女の女郎だからな人を一度呪ったら我でも閻魔でも祓いきれん。だが、楓は清四郎を呪わなかった。なにを間違えたか小雪に呪いをかけたんだ。」

『なんで・・・母さんを慕っていたんじゃ』

「慕ってなんかいなかったんだ。皆も我も小雪らも勘違いしていたんだ。楓は、あいつは人間では無く自分を妖怪にした、人生を狂わせた妖怪を憎んでいたんだそもそも両親は楓を捨ててはいなかった。軽蔑されていたのは本当だがな。
さて、我が分かるのはここまでだ。呪いの内容や詳しくは知らん。」

『楓さんは・・・「お袋は死んだよ」!!ひ、響』

「響、お主いつの間に・・・」