【桜彩side】



日曜日の午後、あたしのマンションにはついこの間出て行った凛くん。


仕事の合間を縫って会いに来てくれた。


もちろん、このことはママには内緒で……。


世間的にも秘密。



あたしは秘密だらけのツライ恋を選んだかもしれないけど………


凛くんだからいい。


この人の側にいたいって思えたから。



「桜彩ー。早く来て!もう不足してヤバイ…」

「ちょっと待ってよ!凛くん!」

「はぁー?ねぇ、そろそろさ~……」

「ん?」


凛くんはあたしの側に来て、後ろからぎゅっと抱きしめる。


うわうわうわ~!!?


は、恥ずかしくて倒れそう!


「凛って呼んで?ね?」

「呼び方なんてどうでもいいじゃん!はっ、離れて!」

「ヤダ!俺は桜彩の一番だから、一番らしく呼んでよ。つーか呼べ!」

「凛!満足?」

「満足ー♪」


ぎゅっと腕の力が強まり、あたしにさらにくっつく。


肌寒い秋の日には、この暖かさが恋しかったりもする。