「イノリ〜♪」



キヨは山の一角にある花畑にいるイノリに駆け寄った。




「こんな所で何してるの?家にいないから探しちゃったよ」



イノリはキヨの言葉を聞かずに、黙々と花を摘んでいる。




「…イノリ、女の子みたいね」

「うっせぇ!黙れ」

「好きな子にでもあげるの?」



イノリはキヨを見てニカッと笑うと、キヨの頭に花の冠を乗せた。




「キヨにやるよ。結構器用だろ、俺」



キヨは冠を触ると、へへっとイノリに笑いかけた。



優しい風が吹き抜ける場所で、ひなたぼっこをする2人。





「四つ葉のクローバーみっけ」



キヨは見つけたクローバーを千切ると、得意げにイノリに見せた。




「俺も探そ。どけキヨ!」



イノリはシッシッとキヨを手払いすると、四つ葉のクローバーを探し始める。


キヨはその横で花を千切りながら花占いをしていた。