僕を、弟にしないで。僕はお義父さんの義息子になりたい
青春・友情
完
9
鳴咲 ユーキ/著
- 作品番号
- 1640775
- 最終更新
- 2023/04/19
- 総文字数
- 221,433
- ページ数
- 220ページ
- ステータス
- 完結
- PV数
- 17,040
- いいね数
- 9
「疫病神のお帰りね」
それが家に帰ってくる俺に、姉が言う台詞だった。
姉は俺のせいで踊れなくなった。
俺のせいで、ダンサーになるという夢をあきらめる羽目になった。
姉の夢を奪った俺に、幸せになる権利なんかない。
姉の幸せを壊した俺が、画家になるなんて夢を叶えていいわけがない。
そう思っていたのに。
「夢を諦めるな!」
「今夢を諦めたら、俺みたいなかっこ悪い人間になるぞ」
虐待から救ってくれた紫月さんの言葉が、
俺の心を射抜いた。
でも、紫月さんは
俺を通して、植物状態の実の弟を見ていた。
――俺は、最愛の人の弟の代わり。
紫月さんが俺に向けるのは、弟への想いで、愛じゃない。
――ねぇ、いつか、俺を愛してくれますか?
実の親みたいに、大切にしてくれますか?
居場所がないからって、
弟の代わりだと思われているのをわかった上で
紫月さんと暮らす俺は、
馬鹿なのだろうか?
もしそうなら、俺は一生馬鹿でいい。
だって俺には、紫月さんしか居ないから。
紫月さんといる時間が一番、穏やかで幸せだから。
- あらすじ
- 実の姉にいじめられている蓮夜は、放課後は漫画喫茶で22時まで時間を潰してから家に帰るのが日課になっていた。漫画喫茶にいる時間は蓮夜にとって、姉に暴力を振るわれずに済む最高の時間だった。しかしある日、蓮夜は漫画喫茶の店長に、いつも22時まで入り浸っているのを不審に思われる。虐待のことを隠したい蓮夜は店長に家族のことを聞かれ必死でごまかすが、その態度が逆に店長にさらなる不信感を抱かせてしまい……?
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