つむじ風。

恋愛(キケン・ダーク・不良)

つるぎ須磨子/著
つむじ風。
作品番号
645641
最終更新
2012/10/18
総文字数
90,549
ページ数
192ページ
ステータス
完結
PV数
232,069
いいね数
8
なぁ、博子。
覚えてるか?

俺はこう聞いたよな。
「あの雲の名前知ってるか」と。

ひとつだけ寂しそうに、
ぽつんと浮かぶ雲。

そんな質問に
おまえは真剣な顔で答えてた。

俺としたことが
そんなおまえの顔に、
思わず笑っちまったじゃねぇか。

「はぐれ雲っつうんだよ」

あれからおまえは
俺になくてはならない存在になった。

おまえの真っ直ぐで
何の穢れもない想いが
俺を支えてくれた。

そして時に俺を…
どうしようもなく苦しめた。

なぁ博子。

俺の想いは小さなつむじ風だ。

道端で
公園の隅っこで
おまえの足元で
小さく渦巻いている。

誰も気に留めないだろう。

どんなに頑張っても塵や砂を
ほんの少し巻き上げるだけだ。

竜巻のように
おまえの全てを包み込み
奪い去ってしまうことなんて
到底できない。

なぁ博子。

おまえを忘れたことなんてない。
俺にはおまえしかいない。

たとえ生きる世界が違っても、
光と影の世界に
分け隔てられようとも、
おまえを想わない日はなかった。

おまえだけを見ていた。

だけど、
つむじ風はつむじ風なんだ。

最期の最期まで…

でもこれだけは言わせてくれ。

ずっとこの一言が言いたかった。

博子、愛してる。


初恋同士の亮二と博子。
15年前に途切れた想いが
今まさに
紡ぎ直されようとしている。
暴力団幹部となった男と
刑事の妻となった女の
許されざる再会。

「はぐれ雲。」の新明亮二を中心とした
ストーリーです。
あまり描かれることのなかった
亮二の知られざる想いと、
その生い立ち。

まず、「はぐれ雲。」を読まれることを
お勧めします。
「つむじ風。」ではその内容が
かなり省略されています。

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この作品のレビュー

★★★★★
2018/10/24 22:04
投稿者: 紗羅210 さん
胸に迫りました

私も、大切な人が亡くなりました。 亡くなる前後久々に頻繁に連絡をしていましたが、それまで数年しばらくあまり連絡していませんでした。 でも、私の中では幼い頃から彼は別格の存在で私にとってなくてはならない人でした。 彼がいなくなって更に私の中で存在が大きくなり、同時にぽっかりと空いてしまった穴が埋められず、埋めたくもなく、いまだにもがいていますが、凄く共感する部分がありました。 辛い事ですが、乗り越えられたのですね。

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★★★★★
2011/10/14 00:24
投稿者: たかぽんぽん さん
切なすぎる

ここまで一人の女性を愛し続けた亮二に涙が出ました。 「はぐれ雲。」も余韻に浸れてよかったですが、亮二の視点で書かれた「つむじ風。」もかなりしんみりきました…。 はぁ…今夜は眠れそうにないです。

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この作品の感想ノート

摩っ湖莉さま

はぐれ雲。に引き続き読んでいただき、ありがとうございました。


男心を描くのは正直難しかったです。

色々勉強して、また新たな作品を書きたいとおもいます。

ありがとうございました。

2011/11/15 22:16

はぐれ雲。に引き続き、読ませていただきました。

亮二のファンなだけに、切なさいっぱいです。

こんなにも博子を想ってたのに、伝えられないもどかしさに心痛みます。

本編を読んでから時間がたってこの作品を読んだので、またはぐれ雲。を読み直してもいいなぁとも思っています。


胸キュンな作品、ありがとうございました。

2011/11/10 20:47

この作品のひとこと感想

すべての感想数:26

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