「長年お預けくらった分。
一晩かけてじっくり愛してあげるね、音羽」
鍵を閉めたはずの部屋の窓から現れた綺麗な男の子は
紛れもないーー甘い甘い侵入者。
「言ったじゃん、16歳になったら僕にぜんぶあげるって。」
「え」
「結婚しよ、音羽」
「えっ……あの!?」
普通の"人"にはない
ケモ耳と尻尾が生えた綺麗な男の子は
満月の夜
私に愛を注ぐ。
はめられた指輪
もう外せない愛の形。
時間が経って、ようやく伝えられるよ。
「お前が16歳になるまで待っててあげたんだから、ぜんぶ僕にあげるって言って?
ーーお預けなんて、もういい加減待てないんだけど。」
『待て』ができない狼は
甘噛みしたあと、私のすべてを奪っていく。
「もう十分待った。
こんどは音羽が僕に全部あげる番。
お前のその先は、僕がぜんぶ食らいつくしてあげる。」
揺れたスカート
ぜんぶ見せちゃおうか、何もかも。
そもそも愛に……歯止めなんか利かないみたい。
※糖度高め
はじまり
2022/1/13