私のサヨナラを君に

恋愛(ピュア)

小野音/著
私のサヨナラを君に
作品番号
1602426
最終更新
2020/05/14
総文字数
1,438
ページ数
11ページ
ステータス
未完結
PV数
13
いいね数
0
こうして君に手紙を書くのは、初めてですね。
驚くかもしれませんが、僕自身こんなことを思い立った自分に驚いています。
手紙に文字を書き入れるなんて小学生の頃、20年後の自分に手紙を出した時以来かもしれません。

君と出会ってから今日まで、どのくらいの時間が経ったのでしょう。
一ヶ月くらいだったようにも、一年くらいだったようにも、もっともっと長かったようにも思います。

なぜだか僕は、あの日始まった日常は、終わることがないものだと信じていました。
君との日々が永遠に続くのだと、思い込んでいました。
そのせいで、たくさんのことを見落としてきたのだろうと思います。
例えば、通学路に生えていた花や、鞄を持ち直す仕草や、無意識に繰り返した口癖。
その時にしか触れなかったもの。
そしてすでに失われてしまったもの。

今それを、最後に君と、一つ一つ思い出したいと思うんです。

だから僕に、君のサヨナラをください。

 そう括られて手紙は終わっていた。
 死は怖くない。ただもう一度だけ君に会いたい。
 それが手紙を読んだ私の正直な気持ちだった。



 
あらすじ
 高校を卒業した春、最愛の人である水瀬幸樹を病気で亡くし、失意に沈む私の元に彼から一通の手紙が届く。

『僕に、君のサヨナラをください』と。


 彼と私の幸せで甘酸っぱい恋の顛末を、あなたの目で見て欲しい。

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