緑の雨

その他

緑 雪子/著
緑の雨
作品番号
1464142
最終更新
2017/10/17
総文字数
0
ページ数
0ページ
ステータス
完結
PV数
0
いいね数
0
秋も深まってきた10月中旬。

あさみは元々植物が好きで、今まで沢山の薔薇の花を咲かせてきた。

あさみにとって、薔薇は特別な存在だ。
彼女の最も愛してやまない作家、中井英夫の作品類の多くに薔薇が登場してくるし、中井英夫本人も家や別荘に薔薇園を持っていた。

しかし、薔薇は室内では育てられない。
今、大切な人が私の元を離れていき、心がカサカサに乾いているあさみは、室内で育てられ、いつでも緑が目にはいる多肉植物に凝っている。

それに、緑を育てるのにはヒーリング効果があると聞き、多肉を育てるのにせいを出している。

多肉植物を鉢に植える時、どういうふうにレイアウトしていいのか考えている時、多肉のふっくら柔らかな感触を手に感じる時、心は無心になり、目の前は優しい緑でいっぱいになる。

彼がいなくなった人生。
毎日涙がこぼれ落ちる。

これからは、緑と一緒に生きていこう。
緑が恋人。それでいい。
いや、恋人というよりあさみの心に潤いを注いでくれる緑。
今は、それでいい。
それがいい。

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