嘘は世界を軽くする

恋愛(ピュア)

やまのねこ/著
嘘は世界を軽くする
作品番号
1338850
最終更新
2017/02/17
総文字数
85,432
ページ数
23ページ
ステータス
完結
PV数
2,471
いいね数
0
これは僕の嘘と、彼女の嘘。
お互いの嘘を土台にした、ひと夏の短すぎた恋の物語である――


勉強ができるわけじゃない。
運動ができるわけじゃない。才能なんか欠片もない。

文字通り、僕には何もない。

そんな僕は嘘をついた。
僕の命は残り僅かで、もうすぐ死んでしまうのだという、最悪な嘘だ。
そうすれば、何もない僕にも価値がある、そう信じられると思ったから。

それに、そんな嘘なんか誰も信じないに決まってる――そう思ったから。

けれど、彼女はそれを信じた。信じてしまった。
なぜなら彼女にも、つかなくてはならない嘘があったから。
秘密をその胸に抱えていたから。


――朱に連なる千本鳥居の参道を、僕たちはゆっくりと下っていく。

僕の嘘と、彼女の嘘。

お互いの嘘を土台にした、これは短すぎた恋の物語なのだ――

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