ようこそゲストさん
ああああああ
これまでのデビュー作家
ようこそゲストさん
ああああああ
開く閉じる
私の幼馴染は可愛くて優しい兄でもあり弟でもある存在。
校内で人気のある彼が彼女を作らないのは、私の存在が邪魔をしているのかもしれない。
「クリスマスに私なんかと帰ってたら、余計に勘違いされるよ? そろそろ一緒にいるのやめた方がいいかな」
「なんでそんな事言うの?」
声は笑っているけど目が笑ってない。
「私が近くにいすぎて、女子たちが踏み込めないって聞いて……」
「それって、俺の事好きじゃないんじゃない? 好きだったら、幼馴染とか関係ないでしょ 」
そう軽く笑う彼の横顔は、薄暗い闇に浮かぶ宝石に照らさらて、いつもよりカッコよく見えた。
「幼馴染やめたいならやめればいいよ 」
「そこまで言ってな……!」
突然グイッと引き寄せられ、唇が触れる寸前まで顔が近付く。
「これからは、俺のこと男として見て欲しい 」
そう囁く彼の白い吐息が広がって、私の知らない鼓動を高鳴らせた。
開く閉じる
裏庭のクリスマスツリーを見に来ている人は誰もいなかった。いるのは、先輩と私だけ。先輩は、すげーな、と口を開けたままツリーを見上げていた。幼さの残るその顔もやっぱり好きだ。
しばらく見ていると手が冷えてきた。手袋も持たずに外に出たのだから当たり前である。冷えた手に息を吹きかける。そんなに温まらないが、やらずにはいられない。
「手、寒いの?」
そんな私に気づいた先輩が、顔を寄せて聞いてきた。こくりと頷けば、幼かったその顔は一転、意地悪な笑顔に変わる。
「じゃあ、俺があっためてやろっか」
ぐいっと私の手を引っ張って、先輩が言った。それはつまり…手を繋…
「なーんてな」
私の考えを見透かしたように、先輩はパッと手を離した。重力に従って落ちた私の手には、いつのまにか手袋が握らされている。
「それ、俺からのクリスマスプレゼント」
そう言った先輩の顔は、青い照明の中で、なぜか少し赤く見えた。
開く閉じる