―もっと、刺激的な恋を。―

お話はテンポが良いし主人公の陽菜も最初の方は健気で恋も仕事も一生懸命で好感持てると思いきや｡読み進めるうちに陽菜に全く感情移入出来なくなりましたねえ｡考え方が自己中心的で浅はかで,幼稚｡大体相手は一人前の大人の男性なんだから過去に付き合ってたとか何だとか勘繰り出したらきりがないと思うけどね～｡おまけにプロポーズもあくまでも相手に｢してもらう｣のを待ってる察してちゃんだし…早く結婚したいから同棲は嫌とか無駄にこだわりも強いし,地雷臭ぷんぷん｡圭介は陽菜の何処にひかれたのかな～身体？栞里の方がずっと女性として遥かにランクが高いね｡聖也の事だって卑怯,嫌いになりたくないとかいうけどそもそも陽菜だって自分の仕事=恋愛の為に聖也を利用しようとしてたんだから一緒じゃない｡まあ,息子を陽菜から引き離した聖也のお母さんは慧眼だって事ですね(^_^;)

ヒロインのアリアが何もかも完璧で女神様のような設定で,いろいろな試練も降りかかったりしてくるんですがこういう最強設定のヒロインだから何があっても大団円なんだろうなあと安心しつつも,先が読めちゃって退屈でした｡主人公が最高に恵まれ過ぎているお話が好きな方は良いでしょうけれど,そうでない人は何もかも主人公上げの世界にうんざりするかも｡もうちょっとジェイドとアリアが心が通じるまでの物語があったら良かったです｡ジェイドがいきなりアリアアリアと騒いでるからただの異様な男みたいで何かひいてしまう…｡あと,第一の妃だったローザが救われてなくてかわいそうでした｡彼女のしたことは悪いことだけど,結局はジェイドが最低限の夫としての礼節さえ欠いた扱いをしたからああなったんでしょうに｡アリアも気持ちが分かるとか言ってるんだったらローザにも何かしら救いをあげたらいいのに…がっかりです｡

近代史をベースにした重厚な世界観の描写が細やかで素敵でした｡ただ,前世や天使などの話が広がりすぎてファンタジー寄りになり,歴史ものとしてのお話が薄くなってしまったのが残念です｡

読んでいる途中から悲しい運命を感じて涙がぽろりぽろり｡跡部先生は天国に行ってしまったけれど,莉子と歩と過ごした,短かったけれど幸せな時間は永遠に莉子と歩の心の中で輝き続けるでしょう｡先生もののお話はたくさんありますが,こちらは本当に一押しです!厳しいけれど実は人一倍優しく,情の深い跡部先生は最高の男性ですね…!何度も読み返したくなるお話です!