圓谷愁さんのレビュー一覧

★★★★★
2020/09/22 10:17
ふたりで、ひとつの

たいせつな幼なじみが “芸能人”に、なりました 幼い頃からずっと一緒の季沙と洸介。 父を亡くし、父の忘れ形見のギターを奏でることが生活の中のほとんどを占めた洸介のそれよりもっと優先すべき存在の季沙とそんな洸介と共に寄り添うことが日常の季沙の周りから見たら不思議な関係の2人。 その関係は、洸介がはじめたバンド『あまいたまごやき』の変化と共に、緩やかに変わっていった…… 大好きな作家さんなので、もちろん面白さは期待値以上でしたが、期待を良い意味で裏切られましま。 これはただの青春恋愛ストーリではない。 甘くて、ホロホロと口の中で味がほどけるたまごやきみたいなお話でありながら、季沙と洸介、あまいたまごやき、周囲の家族や取り巻く人達全て丁寧に描かれた愛の物語です。 読み終えて、季沙と洸介の関係は『ふたりでひとつの』魂のような、もちろん別々の人物なのに、そう感じてしまいました。

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★★★★★
2020/09/20 23:22
透明が色づく青春

これはエモーショナルに駆け抜けた 彼との2年間の記録 母親の言いなりで、自分がなかった透明な女の子のミトと、ミトのそんな絵の具にリスペクトという名の初恋の絵の具をぶちまけた男の子のクノ。 この頃の、子供だけれども子供じゃなくて、大人になりたいのに未熟で、アツくて、エモーショナルな青春が、一見自分のない透明なミト越しに、ギラギラとカラフルになる様に、最後まで胸がときめきながら一気に読ませてもらいました。 友達、親、家族、全てが自由にいかないこの時期を生きる人達にも、そこを駆け抜けた大人たちにもおすすめな作品です。 まだまだ出たての勢いのあるインディーズバンドの疾走感のあるアルバムを聴きながら、2周目読もうと思います。

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★★★★★
2016/05/24 22:47
痛みと、強さと弱さの

思ったことをついつい素直に言ってしまうせいで孤立しがちなヒロインのばら。 そんなのばらの前に、久しぶりに現れたのは可愛かった筈の幼なじみの一吾だった。 ストロベリーフィールドで過ごすのばらと一吾の時間は、甘いような、しょっぱいような、どこか脆いような、少年少女の繊細な時間が詰まったそんな時間で。 幼ない少年少女の 心の、体の 痛みと 強さと そして弱さ そんな人間臭さの混同した、綺麗じゃないのにどこか透明度の高い物語。 読後は、のばらや一吾の成長にホロリと涙が落ちるような作品でした。

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★★★★★
2015/12/18 21:12
絶対値の先の先

受験シーズン ほのかで幼い小さな恋の物語。 進む先が違えたのに、言えなかった事実と言えなかった想いの狭間で、最後まで、違う場所にいるのに同じ絶対値。 受験を迎えたヒロインいずと、その想い人のよっちゃん。 ずっと一緒にいられると思っていた、いつでも想いを伝えることが出来ると思っていた幼い二人は、それぞれ事情で上手く行かなくて。 リアルなストーリーなのに、その小さな恋の物語は、ほろ苦さと爽やかさを含んでどこかドラマティックな雰囲気にさえ思えてしまいました。 多いとは言えない頁数の中で、かなりの満足感を味わえる、優しげで切ない作品でした。

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★★★★★
2015/10/01 20:08
ぶっ壊した日常の先に

『我々は、反乱軍である』 代わり映えのない納得行かない日常をぶっ壊したのは、ヒエラルキーの最下層 弱い者 強い者 隠さなきゃいけない過去 隠さなきゃいけない関係 穏やかなようで崩れそうな偽物の平穏を壊した先にあった、青春の色は…… 現在の学生、そして大人になった人の学生時代、多くの人が疑問に思い、それでも変わらなかったヒエラルキー ぶっ壊した勇気も、本音も、行動も、全部が胸にストレートに来るような作品でした。 いじめや立ち位置、今の現状。 そんなものに悩む人にも、学生時代に悩んだり違和感を持った人にもオススメ出来る作品です。 読んだ後に感じるこのスッキリとした想いは、是非一読して味わってみて下さい。

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★★★★★
2015/09/25 15:40
どうしようもなく好きな気持ち

野球部のイケメンキャプテンに一目惚れ。 ルール? そんなの全然分かりません! でも、キャプテンかっこいいからマネージャーやってみます。 そんな理由から野球部のマネージャーを始めたあみちゃんでしたが、どんなに辛い練習でも、一生懸命に支えた根性のあるヒロイン。 でも、なかなか恋は上手く行かないし すぐに相手に流されちゃうし 一途って何?青春って何!? ここまでブレブレのヒロインをなかなか見れないので、逆に新鮮な気持ちで最後まで読めました。 でも、現実の高校時代ってこんな感じだったなぁとほっこりしてしまいます。 今青春を駆け抜ける女子にはもちろん、青春を駆け抜けた大人の方にもオススメの作品。 あみちゃんがどうしようもなく好きな気持ちに気付いた先の選択は、是非一読して確かめて下さい。

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★★★★★
2015/08/20 07:24
日常的ラブコメディ

どこにでもいる、素敵な恋愛を求める普通の女子高生のオブちゃんと、イケメンだけど実は色々残念な吉野先輩。 出会いは落とした靴を拾ってくれた、まるでシンデレラみたいなシーンから!? ……イエイエ、そんな素敵な出会いなわけもなく、現実は色々抜けていて。 一人反省会をやっちゃう先輩も 自身が無さ過ぎて変な妄想をすぐしちゃうオブちゃんも とにかく、いじらしくて可愛くて、ああもう、早くくっつけや!と背中を押したくなるストーリーでした。 完璧じゃないイケメンなんて天使過ぎますよね? 普通のどこにでもいる元気な女子高生なんて共感するしか無いですよね? 現実的で、だけどもドキドキきゅんきゅんしちゃうこの気持ち、是非とも一読して味わって頂きたいです。 何度も何度も元気を頂きました。

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★★★★★
2015/02/26 20:09
幸せになるということの定義

ヒロインは、岩手の田舎町に住む、跳ぶことをやめた女の子、トシミ。 そんなトシミの前に現れたのは、わけありの美少年転校生、阿部君だった。 大切な友達から、想い募って恋人へ なのに、どうして上手く行かないのだろう。 二人の優しいところ、良いところが裏目に出て、思わずこちらがもどかしくなってしまう展開のまま、青春が終わってしまいました。 けれど、青春は、幸せは 星が巡るように彼等を繋げた…… 「何気なく生まれ育ったこの町は 君という幸せと悲しみをもたらした」 作者様が表紙につけたこのキャッチコピーが、読了後じわじわと涙腺をノックしてくるような、そんな作品でした。 柔らかな空気と銀河鉄道の夜の美しくも繊細な雰囲気が素敵なオススメ作品です。

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★★★★★
2015/01/03 09:28
ネタバレ
だから、話そう

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★★★★★
2014/09/22 19:53
ネタバレ
残酷な世界でも生きたい

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★★★★★
2014/09/15 12:23
人の心の怖さ

ある日、信憑性のない噂をふざけ半分で試してみることになった主人公汰一。 面白半分で足を踏み入れた『呪い屋』は、人の心の醜い部分を生業とした、化け物を生み出す場所だった……。 この物語は、このサイトであまり取り扱われていない『人の心』の恐怖を扱った、ホラーであり、ミステリーであり、ファンタジーのような物語である、と思いました。 憎しみや裏切り、好奇、はたまた人を想う恋心。 全てが混じり、入り組み、複雑に編み込まれ、そして、とんでもない化け物へと変わってしまう。 そんな、人間ならば生りうる『化け物』への道が『呪い屋』というキーワードに紛れてじわじわと恐怖へ誘われました。 決断は、結末は……是非、読んで確かめてみて下さい。

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★★★★★
2014/09/08 21:01
ロマンスの音色

未来の輝ける音楽家、周桜詩月。 才能と、それを上回る努力をする、麗しのヴァイオリニストは、周囲から二つの別名で呼ばれた。 『ローレライ』『オルフェウス』 オケの確執や執拗な苛め、ゴシップ、そして自身の病気と戦う詩月は、それでも貪欲に音楽を奏で、逆境も追い風に変える演奏をしていきます。 その強さ そして、彼の本質の弱さ 色んな想いが重なりながら織り成す物語は、それこそ詩月の奏でる壮大で、どこか甘やかなのようでした。 物語終盤、ヴァイオリンロマンスの音が、ヒロイン郁子との恋の音色のように響き渡ります。 薔薇の花のように、可憐に咲き誇り、甘やかな香りが広がるラスト。 一概に『恋愛』というジャンルに閉じ込めるには勿体ない物語。 是非、ロマンスの音色を感じて頂きたい作品です。

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★★★★★
2014/09/06 01:49
好きと嫌いと、本当と嘘と、命と。

大好きな幼馴染みを奪われた。 奪った女の子は、軽くていい加減で大嫌い。 消えてしまえば良いのに……そう、思ってた。 この物語は人間味のある感情がたくさん溢れている、と強く印象を受けました。 物語にのめり込めばのめり込むほど、時に目を逸らしたくなるほどにキャラクター達の心情が溢れていて。 『好き』『嫌い』『本当の想い』『嘘の言葉』 まるで数多に広がる星のように散りばめられた感情の数々に、読後は沢山考えさせられてしまいました。 大嫌いな者同士なのに。 何故彼女は彼女の前にだけ現れたのか。 読み終えた時には、何となくその意味が分かったような気がします。 想いと、命と、この言い表せない不思議な感覚。 是非、一読して味わってほしい作品です。

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★★★★★
2014/09/02 20:33
この胸のときめきを誰か止めて下さい

何もかもが平凡な、どこにでもいる女子高生美緒。 しかし、彼女の歌声が、ひょんなきっかけから学園の王子様とバンドを組むことに……!? この物語は、少しカラオケの上手だったヒロイン美緒が、残念王子や元ヤンクラスメイト、ヲタクさんと異色のバンドを組んだことより始まる、眩しすぎる青春ストーリです。 夢いっぱいに輝いた『スターフィッシュ』のメンバー達を見ていると、なんだか本物のスターフィッシュが空間を支配するようで、そのキラキラに思わずホロリと爽やかな涙を流して泣いてしまいました。 時に一緒になって笑って 時に一緒になって苦しくなって そして、時に一緒になって涙出来る、そんな物語。 ひとつのハコで、まるでスターフィッシュのオーディエンスになった気持ちになりました。 もう、胸がときめき過ぎて困ります。 これぞ青春!という作品をお探しの方に自信を持ってお薦めできる作品です。

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★★★★★
2014/08/05 18:11
ネタバレ
夜明けの光を

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★★★★★
2014/08/04 22:40
むずむず、じりじり

誰よりも近い存在の『幼馴染み』 一緒にいるのが当たり前 履き潰したパンツの色も知っている そんな二人、色気もへったくれも無い筈の関係だったのに ある日、何の前触れもなくその関係は崩された。 関西弁でテンポ良く描かれるこの作品。 大好きなのに素直になれないこふじに共感半分イライラ半分。 真っ直ぐ過ぎるセッチに、応援する気持ち半分、哀れみ半分。 きっと、読者の皆様がカオちゃんや王子玉木君の気持ちになって、二人を見守っていたことでしょう。 むずむず、じりじり、近づいたようで近づかない二人の、甘酸っぱい青春ラブコメ。 ラストは、いつも通りの二人にプラスちょっぴり素直になれた甘いスパイスが加わった素敵なラストでした。 何度も読みたくなる、インパクト大のラブコメです。

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★★★★★
2014/07/18 20:25
ネタバレ
繊細な美しい青春小説

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★★★★★
2014/05/02 00:35
相反する+正反合

アジアを中心に活躍する男女のグループ相反合。 ファンの前では仲良しグループを演じる裏で、彼等の関係はギリギリまで墜ちていた………。 様々な感情、思いが不透明に交錯するストーリー。 それぞれが人間臭く、キレイじゃない想いを抱えながら向き合う姿に、きっと誰もが共感するはず。 バラバラのピースだった彼らが、少しずつ形を変えてひとつのグループになっていく姿に、頁数を忘れるほどに夢中になって追いかけてしまいました。 クスリと笑えて、苦しくなって、熱くなる。 キラキラしたステージを歩いていく彼等の暗闇と絆と光 たとえ愛なんてなかったとしても、彼等の特別な関係に、相反合を一人のファンとして見守って大好きになること間違いなし。 大人の読者様には勿論、キラキラした今を駆け抜ける十代の読者様にもお薦めしたい、そんな素敵な作品でした。

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★★★★★
2014/01/20 23:02
ネタバレ
はらはら、ふわり。

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★★★★★
2014/01/16 19:19
甦る青春ラブ

この作品をどうレビューに現して良いものか、とても悩みました。勿論良い意味でです。 へたれで デクノボーで 優柔不断 そんな筒井君でしたが本当は 真っ直ぐで 太陽よりも眩しくて 誰よりも努力を惜しまない この作品を読んで、懸命に生きた青春時代がじんわりと心に甦りました。 オフィスラブスタートの物語でしたが、この物語は色褪せない『青春』ラブだと感じたのです。 男性作家様が描かれる、爽やかで、熱いラブストーリ、お薦め作品です。

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