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  2. 「はい、ホワイトデーのお返し」
    幼馴染と毎年このやり取りをしている。
    昨年は白地にイニシャルの刺繍がされている高そうなハンカチをもらってしまったので、そのお返しとして今年はちょっといい材料でホールケーキを作った。これでおあいこになればいい。
    今年は気楽なの値段のものだといいんだけど。

    がさがさとラッピングを解くと出てきたのはハンカチではなかった。
    「何これ……」
    短い起毛がある、細長い箱が入っていた。さらに、その中にネックレスが入っている。
    「や、去年は何も考えずにハンカチを贈ったけどさ。ハンカチって『別れ』の意味があるらしいのな」
    そんなの初耳だよ。

    「俺、お前と別れたくないから。でも幼馴染はやめたいから。ネックレス貸して、後ろをむいて」

    言われるがままに背を向ける。首に時々触れる彼の手が、魔法のように私の体温を上げていく。

    「すげー耳真っ赤。俺も人のこと言えないんだろうけど」

    きゅん

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  3. 「俺じゃダメなわけ?」

    自分の席に座り
    綺麗な瞳から、目が離せない私。

    「ホワイトデーの時の返事
     まだ聞いてないんだけど」

    私の前に立ち
    机に両手をついた琉衣君の顔が
    キスされそうなほど近くに迫ってきて。


    ――顔面偏差値、高すぎ///

    熱を帯びた顔を隠したくて
    私はうつむいた。


    「えっと…」

    ホワイトデー 
    琉衣君に告白されたけど

    まだ信じられないというか…

    嘘としか思えないというか…


    「じゃあ、もう一度言ってやるよ」

    ひゃっ? ここで? 

    クラスのみんなの視線が
    私達に突き刺さっているから、やめて!


    「る…琉衣くん。屋上に行こ」

    「なんで?」

    「みんなに見られてるから!」

    「他の男たちが、オマエのことを諦めるように
     見せつけてるんだけど」

    なっ…何それ?


    「オマエのこと
     可愛く見えてしょうがないからさ」

    「…」

    「俺の彼女になって」

    きゅん

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  4. 「先生、食べてくれたのかなぁ…」

    私には入学式の時に一目惚れして今は担任の佐野先生がいる。
    佐野先生にバレンタイン、チョコを渡した。
    その時一緒に渡してた子もいたしな…

    なんて考えて早、一ヶ月。
    やっぱり先生にとって、私はただの生徒だよね…なんて考えていた。

    「はーい、じゃあ今日はここまでにします。」

    その時。佐野先生と目があった。そして何故かニヤリとメガネの奥の瞳が妖しげに笑った気がしたんだ。

    放課後、「おい、愛実、待て。」
    先生に急に呼び止められた。

    「なんですか…?」
    「なんですかじゃねーよ、今日、なんの日だよ」
    「今日?わかりませんね、さようなら。」

    そう言って走り出そうとした瞬間、先生に後ろから抱きしめられた。
    「お前からのチョコ、超うまかった。今度は俺からのホワイトデーだ。俺のことやるよ。」

    「先生!?何言って…っん…」

    先生からのキスはクッキーの味がした。

    きゅん

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  5. 去年のバレンタイン。

    幼なじみのロッカーに
    手作りクッキーを忍ばせたのに

    お返しも、食べた感想もなし。


    「杏奈、帰ろーぜ」

    今も、友達止まりのまま。


    クッキーに書いた『好き』の返事。

    それだけでも、くれればいいのに…


    「紅真、一人で帰って」

    「用事でもあるわけ?」

    「…ないけど」

    ホワイトデーの今日は
    紅真と一緒にいたくないの。


    「杏奈、まだ俺を待たせる気かよ?」

    「だから、一人で帰ってってば」

    「そうじゃなくて」

    ん?

    「去年のバレンタインの次の日。
     オマエに借りた歴史の教科書に
     書いてあったろ?」

    「何を?」

    「……俺の気持ち」

    へ?


    「なんて、書いてくれたの?」

    「俺の彼女になったら、すっげー溺愛するけど。
     それでもいいの?って///」

    全然気づかなかったよぉ。


    「で、返事は?」

    もちろん。
    紅真に、溺愛して欲しい///

    きゅん

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  6. 「ホワイトデーのお返しなんだと思う?」
    『あ、そっか』
    「忘れてたとか言わないでよ」
    『あはは……』


    ホワイトデーなんてことすっかり頭から抜け落ちていた。


    「お返し当ててみてよ」
    『へ?えっと、飴?』
    「ざんねーん、正解は俺とのデート」


    なんて笑顔で言うに私は呆然とする。


    「なんてねウソ、アクセサリー買うよ」
    『ぇ、一緒に出かけないの……?』


    颯太と出かけられると喜ぶがそれは嘘だった事に心が沈む。
    だって、アクセサリーよりもデートの方がしたい、なんて言葉は飲み込んだ。すると


    「分かった、アクセサリーじゃなくて、紡の欲しいの一緒に選びに行こう」
    『いく!行きたい!』


    颯太とデートができるなんて嬉しいなぁ。
    なんて、密かに弟である彼に好意を寄せている私は
    まるで羽が生えたように舞い上がる。
    そんな私を颯太が愛おしそうな目で見ていたことは全く知らなかった。

    きゅん

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  7. 「お返し、やっと配り終わったぁ~」

    「愛翔、おつかれ」

    「全クラス回って、足パンパンだし」

    「チョコ貰うの、断ればいいじゃん」

    「断ってるよ。
     でもロッカーに突っ込まれるんだもん」

    「偉いね、全員にお返しして」

    ――私は、お返しをもらってないけど…


    「愛翔、また明日ね」

    「待って。これ、桜のだから」


    ……鈴?


    「みんなに配ったのとは、違うよね?」

    「桜に、30円チョコなんて返すわけないでしょ」

    「ありがとう…」


    「願掛け鈴だって。願いが叶うらしいよ」

    「じゃあ私、何をお願いしようかな」

    「ごめん。
     俺がもう、願掛けしちゃった」

    私にくれた鈴だよね?

    「愛翔は何をお願いしたの?」


    「高3年になっても
     桜と同じクラスに…なれますようにって…」


    うわぁぁぁ。

    愛翔、顔真っ赤だよ///


    恥ずかしさが伝染しちゃうから。

    テレ顔やめて~。

    きゅん

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  8. 「…はよ」

    「あ、おはよう流星!」

    「おー」

    「流星の家って、この駅からすぐ?」

    「歩いて5分?」

    「ちか!……ていうか、なんで急に家呼んでくれたの?今日ってなんかあったっけ?」

    「……まぁ」

    「……??」

    「ほら、着いたぞ」

    「わ、流星の家きれー」

    「…早く入れよ」

    「あ、うん…お邪魔します……」

    「ここ、俺の部屋」

    「え、あぁ、入っていーの?」

    「当たり前だばーか」

    「っ……!お邪魔します、」

    「おう」

    「…!?え、え…!?な、にこれ……すごい!!」

    (大きいケーキとキラキラ飾り付け…!?)

    「本気で忘れてたのかよ」

    「え…!?」

    「今日は、ホワイトデーとお前の誕生日だろ」

    「あ……!

    「…ばーか」

    「な、そこまで言わなくてもいいじゃ……んっ……」

    (キ、キス……!?いきなり……!!)

    「明日の朝まで2人きりでお祝いしようぜ、愛佳」

    きゅん

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  9. 好きな人に渡せなかったパレンタイン、、、
    でもそれで良かったと思ってる
    気持ちを伝えて関係が壊れるより
    伝えないでこのまま近くにいれる方がいい

    生徒会室
    先輩はいつもここで机に突っ伏してる
    「先輩、何考えてるんてすか?」
    「ホワイトデー、、、」
    「ホワイトデー?ああ、お返し、、、
    ふふっ、モテる人は大変ですね」
    「お返しじゃない、
    本命のやつにバレンタイン貰えなかったから何かあげようと思って」

    先輩は整った顔で私を覗き込んできた

    「で、何が欲しい?」

    そして先輩はさらに顔を近づけ耳元で

    「ちなみに俺はお前が欲しい」


    自然と涙が溢れてきた


    「私は、、、私も、先輩が欲しいです
    パレンタイン、、、渡せなくてごめんなさい」


    先輩の大きくて温かい手が頭を撫でる
    来年のバレンタインはたくさんの気持ちを込めて渡そう

    きゅん

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  10. ホワイトデー

    それは日本の企業が利益目的で
    バレンタインの反対として勝手に作った日


    ホワイトデーもバレンタインも
    俺には関係ない、そんな風に思ってた
    でも今は、、、


    「先輩、何考えてるんですか?」
    「ホワイトデー、、、」
    「ホワイトデー?ああ、お返し、、、
    バレンタインたくさん貰ってましたもんね
    ふふっ、モテる人は大変ですね」

    「お返しじゃない、本命のやつにバレンタイン貰ってないし、、、
    だから何あげようかなって

    何が欲しい?」

    「えっ?私ですか?」



    「そう。ちなみに俺はお前が欲しい」



    耳まで真っ赤にするお前が、、、

    「で、何が欲しい?」

    「私は、、、私も、先輩が欲しいです、、、
    バレンタイン、勇気出なくて渡せませんでした、、、
    ごめんなさい」

    バレンタインもホワイトデーも俺には関係ないと思ってた
    でも最高にいい日かも、、、

    きゅん

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  11. 誰もいない教室。
    帰りを知らせるチャイム。


    ガラッ

    「よかった、まだいた」
    扉を開けて入ってきたのは髪染めてピアス開けてるクラスの男の子。


    「あの、これ貰って、ください、、、」
    いきなり彼は私の目の前にリボンの付いた箱を渡してきた
    「何?これ」
    「ホワイトデー」
    「私バレンタイン誰にも渡してないけど」


    「お返しじゃなくて、俺の好きって気持ち」


    びっくりして顔を上げると彼は耳まで真っ赤にしていた。
    「あの、開けていい?」
    プレゼントの箱を開けると出てきたのは桃の花のネックレス。




    「で、それがパパから貰ったネックレス?」
    「そうだよ、これはママの大事なものなの」
    「ただいま〜」
    「あっ、パパ帰ってきた!」




    桃の花の花言葉は『私はあなたのとりこ』

    きゅん

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  12. 「美羽先輩、バレンタインのお返しです」

    「この前、クッキー貰ったけど」

    「こっちが本物ですから」


    年下彼氏の鈴君が、差し出してきたのは…

    「…紙?」

    「ただの紙じゃないです!
     裏を見てくださいよ!」

    ん?

    『甘やかし券』って書いてあるけど…


    「これって…」

    「美羽先輩、誰にも甘えられないって
     言いましたよね?」

    確かに言ったけど……

    「僕に甘えたいって思ったら
     この券を出してください」

    「そしたら、鈴君は何かしてくれるの?」


    「僕が美羽先輩に
     思いっきり甘えちゃいますから!」

    …ん? なんか違くないか?


    「美羽先輩。僕の頭、撫でて~」


    瞳をトロっ。おねだりモードの鈴君。

    可愛すぎ///

    何時間でも
    ナデナデしてあげたくなっちゃう。

    甘えられない私には
    無邪気に甘えてくれる、鈴君の存在が必要だよ。

    いつもそばにいてくれて、ありがとう。

    きゅん

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  13. ドキドキが止まらない

    心臓が暴れて、他人の物みたい


    朝の駅の改札口

    ブレザーが入った紙袋を、胸にかかえ

    瑞樹君が来るのを、待っているけれど…

    怖くなってきちゃった

    教室の瑞樹君の机の上に
    置いておこうかな…


    「姫野?」

    …瑞樹君?

    まだ寒いのに、白シャツ姿って


    昨日

    『寒いなら、これ着ろよ』

    瑞樹君がブレザーを脱いで
    私にかけてくれたからだよね?


    「みっ…みみっ…」

    「姫野って、日本語喋れるよな?」

    ケラケラって
    瑞樹君、笑いすぎだよぉ

    「ブレザー…ありがと…」

    「あったかかった?」

    「…うん。一年中、着てたいくらい」

    ひゃっ
    私の口、何言っちゃってるの?

    「夏は暑すぎだろ?」

    「そうだね…」


    …気まずい


    「姫野さ。来年のバレンタインは
     俺にチョコをくれない?」

    えっ?

    「ホワイトデーに
    俺の制服のブレザー…やるから///」

    きゅん

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  14. 第二資料室。ここは私が好きな人と二人っきりになれる唯一の場所「せーんせい」「何ですか結菜さん」相変わらずカッコいいそして今日も私は先生にアタックする「はぁーいい声好き!付き合って!」「君も凝りないですね、無理です」先生が赴任してからずっと告白してるけどまるで相手にされない。けど今日くらい優しくしてほしかった。覚えてないのかな。チラッと見ても気づいてくれない「先生」「どうしました」「なんでもない」やっぱり覚えてないよね、楽しみにしてたのに教室に夕日が差し込む。もう帰ろういつもなら気にしないけど今日は傷ついた。「先生、私帰るね」「、、、」「じゃーね」ドアに手をかけると「待って」「何?先生」「これ」先生の手を見るとチョコがあった「覚えてたの?」「当たり前でしょだって」「だって?」

    「好き女の子から貰ったチョコですよ」「えっ」「付き合うの君が卒業するまで待つならいいですよ」「マジか」

    きゅん

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  15. 部活で教わったダンスステップ
    こんな感じだったかな?

    ホースを持って
    花壇に水をあげながらターン。

    その時

    「うわっ!」

    聞き覚えのある声が…


    「ま~な~み~」

    怒りマックスの声の主は…

    「はっ…春野先輩?」

    「俺、水びだしなんだけど」


    ひゃっ。

    先輩のジャケット、水が絞れそう…


    「俺に恨みでもあるわけ?」

    「…っ」

    「部活の時の俺、鬼だからな」


    そうなんです。

    ステップができてないと
    先輩は目を吊り上げ、ダメ出し攻撃。

    心へのダメージが、半端ないんです。


    「私、ジャージ取りに行ってきます」

    「俺が着るには、小さすぎだろ」

    「でも…」

    「自分の着るから。問題は、これだな」

    先輩のポケットから出てきたのは
    可愛い紙袋。

    「愛美のために作ったチョコ
     ゴミ箱行きだな」

    私のため?

    普段は鬼先輩なだけに
    イケボにキュンってしちゃった///

    きゅん

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  16. 「ん、」

    2人きりの廊下。
    ぶっきらぼうに差し出された好きな人からのチョコに、私は心を踊らせた。
    でもドキドキしているのがバレないように平然を取り繕う。

    「別に余ったから渡しただけだし、お返しとか良かったのに」

    って、私の馬鹿!
    これじゃせっかく同じクラスになったのに……意味無いじゃん!!

    こうやって私はいつも素直になれずに強がる。
    伊織もどちらかと言えば無口だし、面倒くさがり屋で、そもそも彼女とかつくらなさそう。
    きっとこれ以上進展しないんだろうな……

    「……じゃあ期待してるわ」

    「え?」

    思いがけない言葉に、わたしは驚く。

    「不器用な葵が頑張って作るチョコ、来年もほしい」

    「…なんで不器用って知ってるの」

    私は若干トゲついた言葉を放つ。

    「寝不足だったじゃん、バレンタイン前後の時」

    伊織は見ててくれたんだ。

    私は、また、伊織の言葉に好きが溢れる。

    きゅん

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  17. 「陽菜、毒味して」

    「チョコ、誰にあげる用で作ったの?」

    「オマエに教える気なんかねぇよ」

    「美紅ちゃん? 彩芽ちゃん?」

    「教えないって言ってんじゃん」



    いつから俺は

    ひねくれた恋愛表現しか
    できなくなっちゃったんだろうな。


    園児の時には

    『陽菜は僕のお嫁さんになるんだからな』

    ストレートに
    気持ちをぶつけてたはずなのに…


    「龍君。ホワイトデーの毒味は
     今年で最後にして」

    「なんで?」


    こんな形でしか
    本命にチョコを渡せねぇのに……


    「嫌だと思うよ」

    「は?」

    「龍君が自分のために作ったチョコを
     他の女の子が、先に食べてるって知ったら」

    あっそ。
     
    「毎年毎年、毒味係やらせて悪かったな」

    「悪いと思うなら…」

    陽菜、どうした? 
    急に顔なんか赤らめて。


    「いつか私に…
     本命チョコちょうだい…」


    うわぁ///まさかの…両想い?

    きゅん

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  18. 「よっ。」
    部活が終わって帰ろうとすると、下駄箱で声をかけられて振り向く。

    立っていたのは、同じクラスの男子。

    「あれ?こんな時間まで学校にいるの珍しいね。誰か待ってるの?」

    「そ、2時間前からずっと待ってた。」
    2時間!?

    「何時に部活終わるのか知らねーし。」
    ポンッ
    そう言うと、ぶっきらぼうに私の頭の上に何かを乗せる。

    「え?何これ?」
    頭の上に手を伸ばして受け取ると、

    「お前今日何日か知らねーの?」
    片手でボサボサッと頭をかきながら、顔は真っ赤になっている。

    「3月14日・・あ、ホワイトデー?って!私、バレンタインあげてないけど!誰かと間違えてる?」
    モテるから、たくさん貰って返す相手わかんなくなっちゃったとか・・?

    「んなわけねーだろ。俺が渡したいから渡してんだよ。言うきっかけが欲しかった。ずっと前から好きだった。」
    いつもふざけてばっかのくせに、真剣じゃん・・。

    きゅん

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  19. 黙々と食器を洗う水の音が響く中、彼はずっと頬杖をついたまま「機嫌治った?」と聞いてきて。
    私は蛇口を止めながら「早く帰りなよ」と冷たく言い放つ。

    ホワイトデーのお返しをもらった。
    可愛い小箱のそれはお菓子で「ありがとう」と伝えると彼はひとつ頷いた。
    そして、全く同じ小箱を他の女子たちに配ったのだ。
    嬉しくて舞い上がった私の気持ちは急降下に冷めて、1日無視を決め込んでいると部活が終わる頃に彼はやってきてひたすら謝られていた。

    「だって義理でも貰ったもんは返さなきゃだろ?」
    「そうですかーわたしは義理と同列なんですねー」
    「拗ねんなよ」
    「拗ねてない。悲しいの!」

    「…オレさ、寝る前絶対お前のこと考えるんだよね」
    「はい?」
    「今起きてんのかなとか、風呂入ったかなとか。明日はバイトないし何しようとか、色々」

    「毎日お前のこと考えてる。それじゃダメ?」
    「…っそんなんで絆されないから!」

    きゅん

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  20. 「刈谷君の好きな人、クラス1可愛いらしいよ」

    「絶対桜だ!」

    「そんな訳無いよ〜」

    人間とは思えない花の様な笑顔に苦しめられる。

    こんな振られ方、あり?

    こんなだったらバレンタインに告ってさっさと玉砕しとけば良かった。

    最悪――。

    ***

    「音海」

    一番見たくない顔。一番聞きたくない声。

    「何で泣いてんだ」

    「……っ」 

    「何で泣いてんだ!」

    「……クラス1可愛い子が好きなんでしょ」

    「は?」

    「桜ちゃんの所行きなよ」

    震えた声で突き放したのに、何故か箱を差出された。

    「……開けろ」

    言われるまま開け、チョコと共にあった紙を見る。

            『好きだ』

    「え……?」   

    「そのままの意味だよ」

    「でもクラス1可愛い子が好きだって……!んむっ」

    温かみが、唇に触れた。熱が立ち上る。

    「馬鹿。好きな奴が宇宙一可愛いに決まってんだろ」

    きゅん

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  21. 「渚くん、また明日ね」


    かぁぁぁぁぁ///

    その笑顔
    マジでかわいすぎなんだって///



    誰もいなくなった教室。


    耳まで真っ赤に染まっている自信が
    アリアリな顔を、両手で隠し

    「乙女かよ!」

    自分に突っ込みを入れ
    しゃがみ込んでいる俺。


    誰か、どうにかしてれない?

    最近の俺、マジでヤバいんだって!

    脳内の80%は、姫乃に占領されてるから。



    アイツに微笑まれただけで

    キュンとドキドキに襲われ

    心臓の過労死警報まで点滅するし。



    『その笑顔、他の奴には見せんな!』

    嫉妬魔まで、顔を出す始末。


    俺、彼氏でもないのに……



    明日はホワイトデーかぁ。


    渡す勇気が絞り出せるかわかんねぇけど

    姫乃が喜びそうなチョコタルト

    家に帰って作るか。


    ……と、その前に。

    神社に寄って、神頼み。



    あ~あ。

    俺の真面目キャラ、崩壊しずぎだな……

    きゅん

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