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  2. 「んー…」

    私が階段を下りていると、航海(うみ)が伸びをしながら階段を上がってきた。

    私達はお互いの存在に気付き、軽く笑みを浮かべながら擦れ違う。

    私の隣に風が吹き、航海の匂いが鼻をくすぐる。

    「ねえ、」

    思わず、私は彼を呼び止めていた。

    「ん?」

    階段を上がっていた彼は、その格好のまま私を見下ろした。

    「あのさ、私達って…これって、同居してるって言うの?」

    同い年の航海だからこそ聞ける、素朴な質問。

    彼は何度か瞬きをした後、笑って口を開いた。

    「僕らは、もう家族じゃん」

    その単語は、私がずっと欲していたもの。

    「それに、僕達は…一緒に住んでるんじゃなくて、一緒に生きてるんだ」

    彼がいつの間にか私に敬語を使わなくなったのは、彼が私に心を開いたから。

    「これからも一緒に生きていこうね」

    彼は私の髪をくしゃりと撫でた後に妖艶な笑みを見せ、階段を上って行った。

    きゅん

    3

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  3. 秋。色んな人を巻き込んだ夫婦喧嘩を終え、私達はプライベートパークに遊びに来ていた。
    「凄いね、ここ」
    「祖父が妻と過ごす為に作ったそうだよ」
    「…家族の為じゃなく?」
    「ためじゃなく」
    「そこは嘘でもいいから、家族の為だって言ってほしいよね」
    「俺の先祖だぞ?有り得ねぇ」
    堂々と言ってのける夫に膝を差し出し、私は紅葉が舞い散る下で遠くで走り回る子供たちを見た。
    「相馬も遊べば?」
    「お前と二人で過ごしたいから、いーの」
    「…良くないでしょ」
    「おい、一ヶ月ぶりだぞ?夫を甘やかせ」
    「え、やだ」
    「お前はそういうやつだもんな…」
    「逆に、何を私に期待してるの?」
    「いや…別に」
    黄金彩られた紅の中。
    「なぁ、沙耶。今なら生まれてきて良かったと思えるか?」
    私の夫は、私に訊ねる。
    「そうね…」
    生きているのが辛かった日々は嘘のように。
    私の日々は満ち足りて。
    「今は…」
    物語は今日も続いてく。

    きゅん

    4

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  4. 本当、私って馬鹿だ。

     完璧な嘘も見破られ、もう一緒にいない。そう決めていた自分との約束は、簡単に破ってしまった。


     でも、それは彼のせいで。彼が話しかけてくるから、優しくするから、私の心は簡単に動いてしまうのだ。


     「帰りにアイス行こ。」

     「…行かない。」

     「え、じゃあ、今何食べたいの?」

     鞄の中に詰め込まれたチョコレートは、バレンタインに勇気を出せなかった女の子たちの、淡い想い。それを、捨てずに大切に持つ姿は、無愛想な性格でも、やっぱり好きだと実感する。

     それと同時に、人気者だな。と、思ってしまう。

     「聞いてる?」

     「……ごめん、今日は別々に帰ろ。」

     そう言ったはずなのに、私にマフラーをかけてくるのは、どうして?耳元で、ささやくのは、どうして?

     「好き。」

     どこも行かない。何もいらない。でも、この時が永遠に続けばいいのに。

    きゅん

    4

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  5. 「ちょ、ちょっと!トア!」
     お昼休み中、隣の席の山田君とお弁当を食べていたら、いきなり、か、…彼氏のトアが校舎裏に私を引っ張って来た。

     「いきなり何すんのよ!」
     「知らない。俺にヤキモチ焼かせるお前が悪い。」
     「んなっ!んっ…!?」

     するといきなりトアは、私の唇を強引に奪った。
     息が出来ないほどに。

     「ここ…が、学校!学校だからっ」

     私が無理矢理トアの唇を自分から離し、教室に戻ろうとすると、トアは壁にドンッと、手をついて、

     「逃さない。それと、知ってる?男って、好きな子を前にすると、自分をコントロール出来なくなるってこと。」

     知らないよ!

     するとまた、私の唇を強引に奪った。

     フワッと甘い香りが口の中に広がる。

     「今日は授業が始まるまでお説教。」
     そう言って悪戯な笑みを浮かべるトアに、若干恐怖を覚えながら、私達は深いキスに落ちた。

    きゅん

    11

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