ケータイ小説 野いちご > 野いちご学園

野いちご学園メニュー

ようこそゲストさん

  1. 1件ヒットしました

  2. 今日は二人だけだった。


    いつもの旧校舎の元音楽室。


    私はお気に入りの月の光を、ポロンと弾き出す。

    橘はそばの壁にもたれて、耳を澄ませてくれる。


    揺れて、揺れて。

    トリルの小さな一音まで、意識をもって。


    ……気づいたら

    涙がこぼれていた。


    なんで。あんたは。

    橘は今も一緒にいてくれるんだろう。

    こんな、根暗で愛想悪い、私なんかに。

    他のみんなは、離れていったのに。

    「……」

    「……どーしたんだよ。琴葉」

    思いの外声が近くで、した。

    振り向きざま


    彼の、吸い込まれそうな黒い瞳と

    キラキラ西日に照らされている金髪が目に入った。


    「なん、でさ。橘は。私、と。いてくれるの」

    「……」

    何も、橘は言ってくれない。

    目線を上げると


    「言わなきゃわかんねぇか?」と橘が囁いた。

    長い睫毛が、あって

    暖かい、唇が、触れ合っていた。

    きゅん

    6

    暁 降翔さんをフォロー

    通報する

▲