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  2. 毎朝の通勤電車は、満員ではないけど、わりと混んでる。

    おれの斜め前にうちの学校の女子生徒が立ってた。

    しかし、何か様子がおかしい。


    パッと見下ろしたら、生徒の尻に、男の手。

    おれの反対側から、おっさんが手を伸ばしてて。


    「何だ、この手は? 犯罪行為だぞ」


    おっさんの手首をつかんで、キッパリ言ってやった。

    車内がザワッとする。


    「ち、違う、こいつ、自分の犯罪行為を私に……」


    「教師のおれが生徒に手を出すかよ!」


    守りたくて必死だった。

    被害に遭った生徒は泣きながら、おれの腕にすがっていた。


    ――と、それが数年前の話。

    結果から見れば、あのとき、おれは1つ嘘をついた。

    6月吉日、梅雨晴れの昼下がり。


    「ジューンブライドに憧れてたの。幸せになろうね」


    おれを見上げて微笑む花嫁は、あの日の生徒で。

    手、出しちまったよ。

    卒業後まで待ったけどさ。

    きゅん

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