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  2. 並んで座って、ただぼーっと空を見上げる。

    放課後のこの時間はもはや2人の日課となっていた。

    「今、何考えてる?」

    なんとなく聞いてみた。

    「この時間が永遠に続けばいいなって思ってたよ」

    「そっか。俺もそうならいいなと思うよ」

    「ねえ」

    杏が手を、俺の手に重ねる。
    その手の冷たさに少し驚いて杏の方を見ると、杏は俺の方なんて見向きもせず、夕日の沈む方をじっと見つめていた。

    「……優樹は、いなくならないでね」

    「……ああ」

    そうか。
    まだこいつは、いなくなったあいつを求めているんだ。

    ……俺は、いつになったらあいつの代わりじゃなく、"俺"としてこいつに見てもらえるんだろう。

    杏に好きでいてもらえるなら代わりでもいい、なんて、もう思えなくなってしまった。

    それでも、今は。

    「約束するよ」

    少しだけ気付かないふりをしていよう。

    きゅん

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  3. 教室の窓を開けて、ザーザーと降る雨をぼーっと眺めていた。

    ……雨は、好きじゃない。
    あの日を思い出すから。

    「まーた雨見てんの?」

    いつの間にか教室の前のドアのところに、幼なじみの陽が立っていた。陽は机の間を器用にすり抜け、私のすぐ後ろまで来て、近くの机に座った。

    「雨、そんなに好き?」

    「……好きじゃない」

    「じゃあなんで見てるの?」

    雨は、好きじゃない。
    心の中に行き場のないもどかしさを生むから。

    「……あいつのこと思い出してるんでしょ」

    「そう、だね」

    あの人との別れの日も雨だったから。
    雨の音が、追憶の世界に私を閉じ込めてくれる気がするから。

    「ねえ」

    その呼びかけに込められた切実な響きに、きっと私は答えられない。わかっているから、振り向けない。

    「俺じゃ、だめ?」

    きゅん

    14

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  4. 立入禁止の貼り紙を無視して、屋上に続く扉を開ける。

    その先にはいつも通り、瞬がいた。

    「今日は天気いいね」

    「昨日は大雨だったけどな」

    冬の風は冷たいけれど、頭の中がクリアになるような清々しさもあるから、わりと好きだ。

    「お前ってさ」

    「ん?」

    「何か鳥みたいだよな」

    瞬の言っていることが理解出来ず、首を傾げる。

    「気が付いたら、俺の手の届かないとこにいて、俺のことなんか忘れて自由に飛び回ってんだよ」

    「そうかな」

    「そうだよ」

    鳥のように自由に飛べたら、それはとても楽しいかもしれない。楽しすぎて、気付いたら元の場所に戻れない程遠くに行っている、なんてこともありそうだと思った。
    それでも。

    「それでも、瞬のことは忘れないと思うな」

    「……そっか」

    瞬は何故か少し嬉しそうだった。

    きゅん

    8

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