ケータイ小説 野いちご > 野いちご学園

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  2. 「…聞いてないよ」

    家の前まで来てようやく振り返り、
    罰が悪そうに立っている幼馴染に怒りをぶつける。

    「…ほんと悪かった、反省してる」

    幼稚園からの幼馴染、航ちゃんが来月引っ越すという話を初めて聞いたのは、さっきのHR。送別会をしようということになったけど、寝耳に水すぎてそれどころじゃなかった。

    納得いかないという顔で押し黙っていると、航ちゃんが続けた。

    「俺も混乱しててなかなか言い出せなかった。まぁ会える距離だし、それに…」

    「それに?」

    「俺のこと大好きなお前に言ったら絶対泣くだろ?」

    「…」
    ニヤッと笑うKY男に呆れ顔をし、
    家に入ろうとしたそのとき。


    後ろからギュッと抱きすくめられた。


    懐かしくて大好きな匂いに包まれ
    涙が出そうになる。


    「…好きだ。離れたくない」


    耳元で囁かれた言葉に
    腕の中で航ちゃんに向き直ると、
    どちらからともなく唇が重なった。

    きゅん

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  3. 退屈そうに窓の外を眺める横顔

    ペンを器用に回す骨ばった長い指

    ごくたまに見せる微笑み

    気怠げに鞄を背負う広い背中



    どことなく魅かれる陰をまとうあの人を
    いつも無意識に目で追っていた。


    でもこれって
    あの人を意識してるってこと?

    これが
    「好き」ってこと?



    悶々として苦しいから

    ある日ラブレターを書いた。



    翌日の放課後
    手紙を握りしめて
    あの人の下駄箱に向かう。



    あの人が、下駄箱に寄りかかって
    あのアンニュイな目でこちらを見ていた。

    とっさに手紙を後ろに隠す。


    あの人は私を見下ろして言った。

    「もしかして、俺のこと好き?」
    「…俺もずっとお前のこと気になってた。
    良かったら、付き合ってほしい」



    …あれ
    この人の目
    アンニュイなんかじゃ、ない。



    好奇の、目だ。




    …なーんだ、つまんないの。


    手紙を後ろ手に
    ビリっと破いた。

    きゅん

    1

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  4. 今日は大好きな先輩に会える最後の日。
    …しかし見事に玉砕し、
    泣き疲れて
    教室で1人机に突っ伏していた。


    ふと目を覚ますと、
    肩には誰かのマフラータオル。


    「…ひでぇ顔」

    目の前には
    相変わらず口の悪い幼馴染がいた。


    「…うるさいっ」

    笑って返す元気もなく、
    タオルを掴み投げつけようとした瞬間

    「パシッ」

    手首を強く掴まれた。


    「…いなくなったやつのことなんか忘れろよ」

    いつになく熱く真剣な眼差しに
    不覚にも心が揺れる。

    「な…何…」
    「俺ならお前を絶対泣かせたりしない」


    突然の告白にポカンとしていると、


    「何ボケっとしてんだよ。帰るぞ」

    と何事もなかったかのように教室を出ていった。


    手の中のマフラータオルをそっと握る。
    …ずっと一番身近にあったからこそ気づかなかった、優しさ。


    「…ありがと」

    マフラータオルを胸に抱き、
    急いで後を追った。

    きゅん

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  5. 市立図書館の、自習室の一番窓際の席。

    そこに「彼」の姿は今日はない。


    この前偶然目が合ってお互いの存在に気づいた。
    幼馴染であり、ずっと好きな人。
    でも高校で離れて以来だし、ドキドキしてまともに話せなかった。

    ふぅ…と後悔のため息をつき、本棚から志望校の過去問を抜き取る。




    「それ、次貸してもらいたいんだけど」


    突然、声がして
    ハッと振り返ると……


    「久しぶり」


    目の前には

    …ずっと大好きな人。


    びっくりしたのと嬉しいのとで
    鼓動が鳴り止まない。


    「これ」

    すっと彼が差し出してきたのは…


    「合格…祈願…?」


    「今神社で買ってきた。おそろいで」


    照れ臭そうにもう一つを見せる彼に
    胸の奥がキュッと掴まれる。


    「志望校、同じなんだな。一緒に受かろうぜ」


    嬉し涙をにじませながら大きく頷くと、

    彼は私の頭にポンと手を乗せ
    クシャッと笑った。

    きゅん

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