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  1. 10件ヒットしました

  2. 外に出ると雨が降っていた。
    やっぱりあの本、借りれば良かった。
    今更の、後悔。
    でも続きが気になって。

    「あんなに晴れてたのにな」
    唐突な声に驚いて振り返ると、同じクラスの男子が立っていた。
    まさか図書館で会うとか。
    名前は……覚えてない。
    先週、転校してきたばかりで。
    でも彼のことは覚えてる。
    昨日『音楽室は、あっち』教えてくれた。
    「すげえ雨」
    空を見上げた彼を見つめていると「何読んでた?」、視線が私へと落ちた。
    小さく鼓動が跳ねて「魔法使いが」、少し声を大きくする。
    「魔物と戦う話し」
    「魔物?教室でも、そういうの読んでるのか?」
    視線を逸らすと彼は鞄から折り畳み傘を出して「姉貴が鞄に放り込んだ」、広げながら私に目を向けた。
    「傘、ないなら。入れば?」
    見つめる私に。
    「どんな話し?魔物と戦う魔法使いって」
    小さな笑顔を向けるから「魔法使いがね」――雨の途切れる、彼の隣に並んだ。

    きゅん

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  3. また、あの夢を見た。
    大好きなのに。
    見つめるだけで、目が覚める。
    小学生の頃と、同じ。
    何度か声をかけてくれたのに。
    全然、話せない。
    高校生になる今なら、少しは。
    でも遠い付属の中学へ行って、会えなくなった。
    噂で、付属の高校に受かったとは聞いたけど。

    「まだ好きなの?」
    突然の声に飛んでいた意識を戻し、目を向ける。
    「このシリーズ。図書室で借りてたね」
    これは夢?
    だって彼が、目の前にいる。
    背が高くなって、声が低くなって。
    でも変わらない口調で話しかけてくれる。
    なのに声が出ない。
    「いつもこの本屋にいるね」
    それでも話し続けてくれるから。
    「本、好き?」
    きっと、夢。
    だから、大丈夫。
    「……好き、かも」
    「それなら今度、貸してくれる?」
    「……いいよ」
    「じゃあ、約束」
    笑顔の彼と連絡先を交換した。

    遠くなる後ろ姿を見ながら。
    夢じゃありませんように!
    強く、強く、祈った。

    きゅん

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  4. マズいな。
    集中出来ない。

    どうして席替えなんかした?
    どうして教卓の前になった?
    絶対、わざとだろ?

    ああ、やめろ、やめろ。
    そんな目で見るな。
    顔に出るから、やめろ。

    って、スカート上げるな!
    斜め後ろの斉藤が見てるだろ!
    ――よしよし。
    そういうお遊びは二人のときにしろ。

    ちゃんと授業きいとけ、ノートもとれ。
    ……カッコいいとか、書かなくてもいい。
    黒板の文字を書け。

    ダメだ。
    集中、集中。

    ……手紙、回ってきたのか。
    それは誰からだ?
    男じゃないだろうな?

    ああ、もう気になってしょうがない。
    チャイムがなるのを、そわそわ待って。
    目の前に座る”彼女”に最もな理由をつけて、教師としての権力を振りかざしてしまう。


    「今日は当番だろ? さっき言ってた試験範囲のプリント渡すから、準備室まで一緒に来い」

    やったー! って。
    可愛く両手握るなよ。

    理性、きかなくなるだろ?

    きゅん

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  5. 「確認してきます!」
    唐突に書記の子が立ち上がり、生徒会室を出て行く。
    少し離れた所で文化祭についての立案をまとめていた私は、はっとして振り――返った途端。
    「さあ、何する?」
    生徒会長の顔が目前にあって、大きく体を引いてしまう。
    「また全員、追い出したんですか?」
    「立案をまとめてるキミを見てると衝動が抑えられなくて」
    悪戯っぽい目で言いながら私の腕を掴むと、ひょいと腰を持ち上げて膝の上に座らせた。
    「さあ、好きなこと言って。何でもしてあげる」
    「……離して、下さい」
    「そんな顔、してない」
    膝を撫でながら、顔を近づけてくる。
    「言わないなら、泣かせて、傷つけて、俺しか考えられなくしちゃおうかな」
    「……過激ですね」
    「過激だよ。言わないから」
    「……じゃあ優しく、お願いします」
    頼んだのに「可愛いけど」小さく笑ったあと、ぎゅっと抱きしめながら耳元で囁いた。
    「優しくなんてしないよ」

    きゅん

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  6. 「寒かった?外で待たせて、ごめん」
    校門に寄りかかり、落ちていた視線を上げる。
    優しい笑顔を見て「待ってないよ」隣に並び歩き出す。
    「いつもの席、空いてるかな。あの図書館、人気だからね」
    心地良い声を耳に「大丈夫だよ」横顔を見上げてみた。
    理想的な曲線。
    白い肌に少し茶色い髪。
    目はぱっちりして、私より全然可愛い。
    でも薄い唇が、優しい雰囲気を少しクールにしてる。
    見つめすぎたのか――ふと落ちた視線に鼓動が早くなる。
    どうして私なんかと付き合ったの?聞きたくなる。
    「少し遠回りしよう。今日はあまり話せてないし」
    どうしよう。
    好きだって言いたい。
    思わず指に触れると、手を広げて握ってくれた。
    「やっぱり待たせたね。ごめん」
    途端、一気に手が、気持ちが熱くなって。
    「キスしたい」
    何を言ってるんだろう、自分に驚く。でも。
    「僕もしたいって思ってた」
    耳元で囁いた後、優しく頬にキスしてくれた。

    きゅん

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  7. 「空が青いね」
    お昼を食べたあと窓際の席で頬杖をつく。
    少し長めの髪が風で揺れる。
    すべてのパーツも配置も完璧。
    だから様々なツールで告白されてるのに『面倒臭いよ』なんて、未だに彼女はいない。
    「秋っていいよね。風は冷たくなるけど、日差しのぬくもりを感じられるから」
    そう言うと突っ伏し、瞼が落ちて残念だけど。
    その寝顔がまた鼓動を走らせ、熱い想いと共に体を巡る。
    でも、分かってる。
    大して可愛くもない私が彼といられるのは。
    ”幼い頃から母親達の仲が良い”
    それだけ。
    だからせめて、彼女が出来るまでは傍にいても……いいよね?
    「トランプしねえ?」
    ふと、クラスの男子に声を掛けられる。
    迷いながらも、多い方が楽しいからと頼まれ立ち上がったのと同時に、優しく手を握られ――彼へと目を落とす。
    すると彼はゆっくり顔を上げ「悪いけど」男子へ小さく口角を上げた。
    「僕の日だまり、連れてかないでくれる?」

    きゅん

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  8. 「先輩、帰るんですか?」
    「まあ、受験生だからね。塾にでも行こうかなと」
    「でも昨日、光村先輩とご飯食べに行ってましたよね?」
    「よく知ってるね。ストーカーでもしてた?」
    「ツイート見ました」
    「光村、シメとく」
    「先輩の友達との復縁についての相談だとか」
    「自分のプライバシーもダダ漏れなんだ。それが嫌で別れたのに。全く分かってないね、あの男は」
    「先輩はそういうの、何もしてないですよね」
    「別に他人に見せびらかすほどの生活も、意見もないからね」
    「じゃあ俺と交換日記でもしません? 先輩の好きなラブラドールのノート買ってきました」
    「アプローチの仕方は悪くないけど、そういうの面倒」
    「面倒なら白紙でも構いません」
    「だったらする必要、ないでしょ?」
    「じゃあ俺と付き合いません?」
    「何か良いことある?」
    「先輩を、虜にしてみせます」
    「いいね、付き合う」

    きゅん

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  9. 「こんなところにいた」
    出店が両脇に並ぶ雑踏の中、腕を引っ張られて目を向ける。
    「どうしたの、急に」
    悪びれもしない眼差しに。
    「なんでもない」
    素っ気なく返してしまう。
    彼は少し様子を見るような目を向けたけど、一呼吸おいて「さっきの子は」、言葉を繋げる。
    「部活の後輩」
    「先輩、先輩って言いながら、べたべた触ってたから分かる」
    「べたべたなんてしてない」
    「してた――頑張って、浴衣だって着たのに」
    「可愛いよ」
    「会ってすぐ、言ってくれなかった」
    「思ってた」
    「言わなきゃ分かんない」
    むっと眼差しを上げたとき。

    ドンという音と共に、夜空に花火が上がる。
    色とりどりの光りが広がり。
    「キレイだね」
    思わず呟くと。
    「来年も一緒にみたい」
    唐突に言ったあと。
    「伝わった?」
    小さく口角を上げるから。
    「伝わった」
    笑顔を返しながら、ぎゅっと抱きついた。

    きゅん

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  10. とにかく気持ちを伝えたい。
    「大好き」
    でも小さく笑ってキスをしてくれるだけ。
    全然、それもいいけど。
    「圭吾は? 好き?」
    また笑って、キス。
    思えば告白も「好きなの、付き合って!」私からで。
    彼は「いいよ」って言っただけ。
    会いたいって。
    部活の合間にココで会おうって言ったのも。
    デートしたいって。
    夏休みだから海に行こうって言ったのも。
    声が聞きたくなって電話するのも。
    想いを伝えたくてメールするのも。
    全部、私から。
    「ねえ、好き?」
    やっぱり優しくキスをしてくれるけど。
    何だか寂しくなる。
    「どうしたの?」
    珍しく聞いてきたから。
    「好きって言って欲しい」
    めいっぱい懇願する。
    すると手をぎゅっと握り。
    「実は黙ってたことがある」
    真剣な顔で言われ。
    もしかして別れちゃう?
    聞かなきゃ良かった。
    後悔した私の手の甲に、優しく唇を押し当てたあと呟いた。
    「好きになったのは、俺が先」

    きゅん

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  11. 「捕まえた」
    構内を抜けたところで手を掴まれ振り返ると少し悪戯っぽい眼差しとカチ合う。
    「夏休みだからって安心しました?おれの告白に夏休みなんてありません」
    偉そうに言ったあと。
    「どこに行くんですか?」
    拗ねたような表情を向ける。
    「花柄のワンピースすっごい似合ってますね。俺のためなら嬉しいけど。誰のためです?」
    探るような目を向けられ。
    「……関係ないし」
    少し素っ気なく言うと寂しそうな顔をするから。
    「……友達と、映画に」
    答えてしまう。途端。
    「帰るの何時ですか?」
    「夕方、かな」
    「じゃあ、そのあとデートしましょ!」
    「デート?!」
    「そう!夏と言えばデートです!」
    「そう?」
    「そうです!N公園で待ってます!」
    元気な笑顔で言うと「楽しみです!」手を振って走って行く。
    オッケーしてないけど。
    思いながらも上がった口角を下げ、友達との待ち合わせ場所へと向かった。

    きゅん

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