ケータイ小説 野いちご > 野いちご学園

野いちご学園メニュー

ようこそゲストさん

  1. 6件ヒットしました

  2. 夜の学校での肝試しの最中に私たちはこの化け物に襲われた。
    ヒタヒタと近付いてくる化け物、たくさんの目と不自然に折れ曲がった関節……
    後ろで動けなくなった友達をかばうようにして私はバッと手を広げた。

    「(怖い……怖いよ、でも、私が守らなきゃ……!)」

    手を広げた私が化け物目にとまる。ニヤリ、そう笑った気がした。手が伸ばされる。友達が悲鳴と共に私の名前を必死に叫ぶ。ごめん、もう私だめかも、最後まで守れなくてごめん、
    ごめん、

    怖い、

    怖い、

    怖い怖い怖い……!


    「助けてッ……」


    私がそういった瞬間、勢いよく風がふいた。

    「悪いッ、遅くなった!」

    急に空気が軽くなって顔をあげると、そこにはクラスメイトの笠山くんがいて、化け物は紙くずのようにグシャグシャに丸められていた。

    「大丈夫、俺なにがあってもお前のこと守るからさ」

    「ッ…………うんッ」

    きゅん

    9

    林 香織さんをフォロー

    通報する

  3. 「やっぱり……すてきな演奏だね」

    真夜中の音楽室、私のその言葉に頬笑みながらピアノを弾く彼の体は半透明。

    そう、彼、シュンは幽霊。
    あることをきっかけに、うちの学園の怪談『真夜中の無人ピアノ演奏会』の正体がシュンであることを知ってしまった私はその音色に恋をして、時々こうして演奏を聴きに来ている。

    でも、それも今日でおしまい

    彼が悪い霊になるまえに自分から消えることを望んだから。
    曲が終わり、シュンは立ち上がって優しい目を私の方に向けた。

    「すごく綺麗な音色だった。私、シュンの演奏がすごく好きだったよ……」


    本当に、演奏だけ?


    心のなかで自分の声がこだまする。

    「ううん、演奏だけじゃない。シュンも……私シュンのこと好きだよ」

    もう消えかけているシュンに私が手を伸ばすと彼も私に手を伸ばしていつもと同じ優しい目をしながら

    『また、会おう』

    そう言って、彼は消えた。

    きゅん

    21

    林 香織さんをフォロー

    通報する

  4. 静かな美術室
    窓から爽やかな風が入って、私の髪を揺らす。
    美術部員でもない私がここにいる理由は、私を見つめている彼、中学校の頃からの後輩である勇樹くんに絵のモデルを頼まれたからだ。

    崩れた前髪をなおすこともダメなんだから、意外とハードだなぁ そんなことを思っていると、いつの間にかキャンバスの前から移動してきた勇樹くんが私の前に立っていた。

    「前髪、先輩はなおしちゃダメだから」

    サラリと勇樹くんが前髪に触る。その手は一年見ないうちに男の手になっていて、すこしドキドキする。

    「すみません」
    「ん?」
    「ほんとは人物画の課題なんてないんです」

    その言葉の意味がわからなくて私は勇樹くんの方を見る。

    「先輩は、一年離れてた間にすごく綺麗になってて、焦ったんです」


    ずっと、こうして触れたかった


    目を細めて私の頬を撫でる。
    勇樹くんはそう言ったあと優しく私にキスをした。

    きゅん

    5

    林 香織さんをフォロー

    通報する

  5. 『ほんっとに悪かった!』

    両手をあわせて私に頭を下げるのは、私が恋するクラスメイトの彼。鼻血を止めるためにティッシュを当てながら私は 謝らないでいいよぉ とヒラヒラ手を振った。体育の授業中、彼に見とれて彼の手から飛ばされたボールが向かってきていたことに気付かなかった私が悪い。

    『ほんとに大丈夫か?』
    「ほんとにだいじょ~ぶ~」

    心配そうな彼の言葉を鼻声でオウム返しする。

    『悪かった……せっかくの可愛らしい顔に……』
    「へっ?」

    なにこれ、幻聴?やっぱり頭にボールがあたっておかしくなっちゃったんじゃないかな、私。
    すこしの沈黙が続き、だんだん彼の顔が赤くなる。

    『あっ!悪い!今のは!ちがくて、いやちがくないんだけど……!』

    今度言い直すから!そう言って彼は走っていってしまう。それって告白と変わらないんじゃ……そう思いながらも私は(まってるね)と心のなかで呟いた。

    きゅん

    3

    林 香織さんをフォロー

    通報する

  6. 『あれぇ~いけないんだ~』

    また来た
    昼休み、絶好のサボり場所を手にいれた私の至福の時間を邪魔する悪魔。

    『無断で保健室のベッド使っちゃだめでしょ』
    「……先輩だってサボりに来てるじゃないですか」

    迷惑そうな顔をしてそう言うと、先輩は少しニヤリとしてベッドに寝転がる私に近付く。

    『俺は後輩ちゃんに会いにここに来てるの』

    するりと下顎を撫でられ体がすこし反応すると、先輩はさも嬉しそうに目を細めた。

    「ッ! やめてください。あとその呼び方も」
    『あぁ、名前で呼んでほしい?』
    「ちがっ!」
    『知ってる知ってる、名前で呼んでまたあのときみたいに イタズラ されたいんだよね』

    私の必死の抵抗むなしく、先輩は私の上へと被さる。あぁ、なんでこの人はこう私の話を聞かないんだろうか。





    お互いが恋心に気づくのはもう少し先のお話。

    きゅん

    3

    林 香織さんをフォロー

    通報する

  7. 屋上のドアが開く音がする。
    近づく足音は幼なじみの君のもの。そんなことさえ分かってしまうのだから、きっと私は重症だ。


    振り返るな
    振り返ったら私は泣いてしまう
    昼間告白したときのように君を困らせてしまう

    「特別な存在だったんだよ」

    私が言うと彼の足音が止まる。

    「でも、もっと特別になりたかった……!もっと近い存在でいたかった!……ごめん、ごめんね……」

    告白を遮ろうとしたのは、関係を壊さないようにするための君の優しさだったんだろう。あぁ、私はなんて馬鹿なんだろう。

    『……ッ!』
    「……え?」

    泣き崩れようとした私の体は彼の腕に包まれた。彼の息が耳にあたる。

    『馬鹿、なんで先に言っちまうんだよ』
    「ど、どういうこと?」
    『告白は俺からしたかったっていうこと』

    「俺もお前の特別になりたい。好きだよ」

    彼の声は確かに私たちの関係が変わったことがわかる甘くて優しいものだった。

    きゅん

    8

    林 香織さんをフォロー

    通報する

▲