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  1. 64件ヒットしました

  2. 「お前は、今しか俺んとこいないんだよな」
    切なげに瞳を揺らす彼は、いつもみたいにチャラチャラしていない。
    「え…?」
    屋上からの空は、どうしてか悲しそう。
    その時、
    ぐいっ。
    腕を引かれてバランスを崩せば、甘い香水の匂いに包まれる。
    「ちょ、」
    「今だけでいい。こうさせろ」
    「っ…」
    変だ。変だ変だ。いつもはこんな強引じゃない。
    …「おい」
    次の瞬間、屋上の扉が開き、彼が現れる。私の大好きな人。
    …片思いの幼馴染。
    「んにしてんだよ」
    片思いの彼の表情が険しくなる。
    「こいつ離せよ」
    好き。好きなはずなのに、気持ちが左右に揺れ動くのはなぜ?
    「ははっ。ほら、登場。やっぱ俺じゃダメだな」
    どうしてそんなに寂しそうなの…?隣の席で、いつもバカしてるなかじゃん…なのに…
    「行くぞ」
    強く腕を引かれる。普段ならどきっとするのに…今日だけは…
    「またな」
    小さく手を振るあいつが、頭から離れないよ。

    きゅん

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  3. いつだって優しい君が好き。
    でも、優しすぎる君は、私じゃないあの子とずっといる。ただ彼女が同級生なだけ。ただ私と彼が遠いだけ。
    それだけなのにー
    涙が、止まらない。
    フッと彼と視線が絡みあう。
    見ないで…そう思って駆け出せば、
    「っ、おい!」
    腕を強く引かれる。
    「お前…泣いてんの?」
    顔を覗き込まれれば、嗚咽が漏れる。
    「…んにしてんだよ」
    怒ってるよね。でも、
    「っ、別れる前にー」
    ー好きって聞きたい。
    「は?」
    だけど途中で私の言葉は遮られる。
    「何言ってんのお前」
    「だって、いつもあの子と、」
    「あいつ、俺の従姉妹」
    「…ぇ?」
    「ハァー」
    いきなりため息をつかれたと思ったら、ぐいっと体を引かれ、大好きな香りに包まれる。
    「俺、お前に避けられてんのかと思って、不安だった」
    「ぅ…」
    「…誤解させてごめん」
    「す、」
    き。
    「好き」
    「…ぇ?」
    「お前が好き」
    今日も優しい君が好き。

    きゅん

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  4. 入学四日目。
    私は一人、今日も桜の木の下で空を見上げている。そんな時、コツン、と私の額に何かが当たった。
    「え…。」
    それは紙飛行機。
    「びっくりした?」
    彼は笑いながら紙飛行機を拾い上げる。
    「なにしてーんの?」
    話しかけられることなんてないから、私はただ、桜の花びらを拾って差し出した。
    「桜?」
    普通だったら引いちゃうと思う。なのに彼は、
    「俺も、桜すげー好き。」って言った。
    それがなんだか嬉しくて、私も花びらを拾うとそれを光にかざした。結城悠はすごく、すごく変わってる。こんな地味で浮いてる私に話しかけてきたし、笑ってばかりだし、なぜか隣にいるし。
    「じゃあダチな!」
    悠は笑う。友達なんて…できたことないのに。
    私が頷くと、彼はよしっと笑った。
    「ん!」
    そしてぐいっと手を近づけてくる。キラキラと光るその瞳が、期待を胸に私をじいっと見つめている。
    その手はなんだかあったかかった。

    きゅん

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  5. 「なあ」
    「なに?」
    「んでもねえ」
    何この人。新学期早々、変な人と席が前後になった。
    「俺さ、」
    彼が伏せ目がちの瞳を上げた時、担任の先生が入ってくる。彼が顔を上げるとふわっと甘い香りが鼻を掠める。あれ…
    「お前さ、なんなの」
    「え?」
    彼は流し目を私に向ける。
    「約束覚えてねえのかよ」
    え……もしかして、君…
    「蓮くん?」
    すると彼はフッと口角をあげる。妙に色気を醸し出す彼は、雑に髪をかきあげる。
    「俺だけかと思った」
    二年前、受験で隣同士だった時、鉛筆を忘れた私に交換条件を出した人。
    『俺の友達になれよ』って。
    「俺、あの時のお前に一目惚れしたんだど」
    「え、っ?」
    ぐっと距離を縮めると、蓮の甘い吐息が朴にかかる。
    「責任取れよこの一年の」
    唇が触れそうになる…目を開ければ、彼の整った顔。
    「俺、お前を落としてみせるから」
    思わずドキッとする。
    新たな一年は、今、始まったばかりだ。

    きゅん

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  6. 「ん…。」
    寝返りを打った途端、何かに触れてわたしは唸った。
    なんだろ…あったかい…
    えっ!!!!
    完全パニックのわたしをよそに、光はわたしの頭の下に腕を回した状態で、気持ちよさそうに眠っている。
    にしても…光の寝顔、綺麗だな…
    長い睫毛が瞳を縁取っていて、薄い唇はどこか大人の色気を醸し出していて、長めの前髪が少しだけ寝癖で跳ねてるところとかも…
    ーバチッ
    目が合いました…。
    「…何見てんだよ。」
    ぎゃああーー!
    ごめんなさい、あなた様の顔に惚れていました!!!
    「フッ…惚れたか?」
    ………え。
    「バーカ。冗談だよ、ねぼすけ。」
    び、びっくりしたあ。
    本当かと思っちゃうじゃん。
    「み、見てないし」
    そう言ってくるっと振り向けば、
    ぐいっ。
    いきなり腕を引かれ、わたしは強制的に光の顔を見ることになる。心拍数が上がる。怖いから…?
    ーそれとも
    「男に慣れてけよ、こうやって。」
    DreamBig

    きゅん

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  7. 授業が終わると、皆クッキーを包んで大事そうに持ってた。
    そういえば、さっきいっぱいクッキーもらってたな、竜馬。
    私は手元にあるクッキーの袋を見て悔しくなる。甘い物作りなんて大っ嫌い。そんな思いで校庭のゴミ箱に、それを投げ捨てようとした…けど、
    「俺クッキー好きなんだけど」
    ひょいっと手元にある袋が一瞬にして消えた。
    「え?」
    竜馬は袋を開けると、私が焼いたクッキーをパクッと食べてしまった。
    「ん、うま」
    え…
    「他の甘すぎて無理」
    竜馬はそういうと、私の横を通り過ぎようとする。
    「ちょ」
    私も慌てて後を追う。
    大きな背中。追いつきたい。
    「竜馬…クッキーもらったの?」
    竜馬はカバンに入った愛い袋に包まれたクッキーを見て、あぁーって漏らす。
    「くれるって」
    「かわいいクッキーが好きなの?」
    「…美味いクッキーが好き」



    「お前のクッキー好き。」

    …今胸が高鳴った。

    ー翼を広げて

    きゅん

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  8. 春の風はどこか甘酸っぱい。
    私の心を写したかのように浮き立った教室で、どうしても視界に映り込んでくるのは彼、好きな人。
    「橘さんこっち!」
    手…振って、くれてる?
    初めての同じクラス。昨日覚えてくれた私の名前。呼ばれるだけで、胸がキュンってする。
    「同じ班だよな?よろしく」
    彼は優しく笑う。どうしよう…直視できないよ。
    「よろ…しく」
    「ははっ、緊張してる?」
    「えっ、あ、いや」
    「俺も」
    えっと思って顔を上げれば、目を細くして恥ずかしそうに笑う彼。
    「橘さんって、俺の試合応援してくれた人だよな?」
    うそ……見てたの?どうしよ!
    「ずっと話してみたかった」
    彼はワイシャツの襟元を軽く引っ張る。
    「ほ、んとに?」
    「ん。だから嬉しい、俺」
    新学期は始まったばかり。
    「好き!」
    「…え?」
    「このクラス」
    そういえば彼はははっと笑う。
    「俺も好き」
    きっと届ける、私の好き。
    春は今、始まった。

    きゅん

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  9. 「…なにしてんの」
    ふと声が聞こえて振り返れば、部活のはずのあいつがドアに寄りかかるようにして私を見ている。
    「べ、べつに」
    実はチョコを待ってる…なんて言えない。
    「…バーカ」
    そう言って空笑いする蓮は嫌い。
    「で?好きな人誰だよ」
    「…両思いではない」
    …気づけよバカ。蓮だよ。
    「はっ、だろーな。モテねえもんなお前。」
    「言わなくてもいいじゃん」
    蓮は少し怠そうに歩み寄ってきて、どさっと前の椅子に反対向きに座る。
    長い睫毛が縁取る切り長の瞳が、蓮の全てが…っ私をおかしくさせる。
    「帰ってれば?」
    「んでだよ」
    「…」
    「まだわかんねーのかよ」
    わかんないのはそっち…
    「…ん」
    え…目の前に現れた箱。
    「クラスの余り物」
    「え…?」
    ぐいっと押し付けられる。
    「はあー…気づけよ」
    「…っ?」
    「…好きで悪いかよ」
    そう言って蓮はくしゃっと髪をいじる。
    「俺だけはお前を見てるっつってんの」

    きゅん

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  10. *君じゃないとダメなんだ*

    君はいつだって笑ってる。

    友達がいないわたしに話しかけてきたり、『危ねえから』って夜家まで送ってくれたり、ちょっとだけ変な人。

    だけどいつの間にか、君のことを目で追っていて…どうしてだろう。

    胸の奥がキュッて痛くなって、マイペースでいつも上機嫌な君に振り回されている自分がいて…

    だから、勝手に淡い気持ちを抱いていて、本当の君なんて全然見ていなかった。


    君がどうして冗談ばかり言ってるのか。

    君がどうして笑顔を絶やさないのか。


    気づくことができていればよかった。

    そしたら、何か変わっていたのかな…



    神様は不公平だ。



    どうして、あんなにも明るくて、心優しい君を、苦しめるの?

    君が笑うたびに、わたしは勇気をもらえる。

    君がいたら頑張れた。


    きっとあなたはこれを読んで涙する。

    『君じゃないとダメなんだ』


    DreamBig

    きゅん

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  11. 「風呂上がった」
    低い声が聞こえて振り返れば、上半身裸の光が、濡れて色っぽくなった髪をタオルでワシャワシャしているところだ。
    「ふ、服…っ」
    慌てて視線をそらせば、光がフッと笑うのが聞こえた。
    「本当お前経験ねーよな」
    「し、仕方ないじゃん…」
    どかっと光がソファに座ると、シャンプーの匂いがふわっと香る。
    「髪、やわらけ…」
    そんな時、気づけば光がわたしの髪に手を伸ばしていた。
    え…。
    光はすっと手を離すと、わたしをしばらくじっと見つめていた。
    「怖えーか」
    っ…
    「俺はお前に何もしねえよ」
    顔を上げれば、いつもは俺様でクールなくせに、なぜだか少しだけ寂しそうな表情をした光がいた。
    どうしてそんな顔をするの…?
    怖い…怖いけど…っ
    ーギュッ
    気づけば、わたしは大きな温もりに包まれていた。
    「俺がそばにいる。だから何も怖くねーだろ」
    …っ、男の人が怖いはずなのに…どうして…嫌じゃないの…?

    きゅん

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  12. 闇色に底光りする彼の瞳はどこまでも黒く深い。



    月光に浮き上がる彼の赤は、完全なるDEVIL。



    彼に名など必要なければ、存在さえしない。



    このような、いくら暗くても光を放つような彼に、わたしはきっとなれない。




    名はあるが光らない。


    名はないが光る。





    真っ暗闇の中、月光を浴びる彼になりたい。




    想像を絶する物語が、今、幕をあける。




    「俺のものになれよ。」




    DreamBig

    - Darkest White

    きゅん

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  13. 毎朝寝癖が跳ねてるところとか、


    上下ねずみ色の服を着ているところとか、


    くだらない話ばかりしているところとか、


    ちょっと猫背なところとか、


    大きな声でくしゃみをするところとか、


    マイペースなところとか、


    冗談ばかり言っているところとか、




    好きになる要素なんて絶対にない君なのに…




    君のくしゃっとした笑顔で胸があったかくなったり…。




    君なんて全然恋愛対象なんかに入らないのに…





    君の冗談に笑ってしまうのはなぜ?




    ねえ、この気持ちって…なに?




    綾瀬穂花 (Ayase Honoka)


    いつも一人で桜を見上げている少し変わった少女。



    結城悠 (Yuki Yu)


    冗談ばかり言っているマイペースなムードメーカー。





    君の冗談の本当の意味、わたしはまだ知らなかった。


    DreamBig
    ー君じゃないとダメなんだ

    きゅん

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  14. 手元にあるチョコを見つめてため息を漏らす。
    「最悪だあー」
    前の机に気怠そうに座ってるあいつに愚痴る。
    「あっそ」
    冷たく返してくる蓮は、なぜだか毎年バレンタインを一緒に過ごしている。
    「全然モテない」
    「知ってる」
    「はあー…」
    毎年蓮と同じ会話してるなあ。
    「あげる人いない…」
    「じゃあ作んなよ」
    もっともな返事を返してくるあいつは、すっと視線をわたしに移したかと思えば、
    「バカ」
    と、落ち込んでいる人にとんでもない言葉を放つ。
    「ひどい」
    「なに期待してんの。バカじゃねえの」
    「うるさい」
    「はあ…マジ疲れる」
    蓮は目にかかる前髪をクシャっと掻き上げる。
    「俺が貰う」
    「は?」
    「貸せよ」
    そういったかと思えば、わたしのチョコを取り上げる。
    「別に無理しなくー」
    「してねーよ」
    「え?」
    「なんで他の男に期待すんの」

    「俺がいんだろ」
    ギュッと抱きしめられる。
    「俺に期待しろよ」

    きゅん

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  15. 何も言うことはないけれど、それでも話し続けたい。

    話す内容なんて本当にどうでもいいことだけど、それでもそんな些細な、なんでもないような時間が幸せ。

    永遠と続いて欲しい。

    ただ、悠と笑っていたい。

    それが今のわたしの願い。

    「ねえ悠。」

    「うん。」

    「…す…」

    「え?」

    「き…」

    「…。」

    「好き。」

    永遠の片想いでも構わない。

    「…ありがと。」

    「うん。」

    永遠と結ばれなくてもいい。

    「好き。」

    「わかった。」

    悠がだれか他の女の子と一緒になってもわたしはいい。

    「ふふっ。」

    「なんだよ。」

    ただ、悠がどこかで笑っていてくれるなら。

    さっきの願いは大きすぎるのかもしれない。

    欲張りなのかもしれない。

    どうして好きなったんだろう。

    こんなにも苦しい。

    「悠…」

    「ん?」

    「好き」

    きっと君は答えてくれない。

    ー君じゃないとダメなんだ

    きゅん

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  16. 放課後の教室はどこか緊張する。
    「れ、蓮」
    それはきっと、不器用でどうしようもないあいつがいるから。
    「ん…」
    机に突っ伏していた蓮が顔を上げると、寝ぼけた瞳がわたしを捉える。
    「起きて」
    本当だったら頭にパシッとお見舞いしたいのに、胸のドキドキがそれを阻止する。ずっと一緒だったのに、今ではクラスも生活もばらばらで。だけどたったの数分間だけど、放課後ここに来れば、あいつの側に居られるんだ。
    「じゃあね」
    そう言って背を向けようとした時、
    「…どこ行くんだよ」
    「え?」
    振り向けば、机に気だるそうに腰をかけているあいつがいて。
    「せっかく一緒になれたのに、バカかよ」
    「何言ってー」
    「まだ気づかねえの」
    「っ!!」
    ー腕をぐいっと引かれたかと思ったら、蓮の甘い香りと温もりに包まれた。
    「俺が授業中ずっと寝てるわけねーだろ」
    「っ…?」
    「お前待ってんだよ」
    「れ、ん」
    「好きだっつってんの」

    きゅん

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  17. かじかんだ指先を温めながら、サク、サク、と雪道を歩く。無数の光をまとって輝くクリスマスツリーを見つめながら、隣を歩くあいつにいう。
    「今年も蓮と過ごすクリスマスかあ」
    「…悪かったな」
    「あ〜あ、彼氏欲しかった」
    蓮は何も言わない。
    思い返せば小さい頃からこの無愛想な幼馴染と冬を過ごしている。イケメンだから私なんかといたらもったいないのに。
    「寒っ」
    身を震わせれば、バサッと温かい何かに包まれる。
    「ん」
    「え?」
    「着てろよ」
    薄着になって私よりも一歩先を大股で歩く蓮に慌てて追いつく。
    「寒いでしょ?」
    「別に。風邪引かれて困るのこっちだから」
    また二人で無言で歩く。
    「つーか、お前好きな奴いないのかよ」
    「うーん…」
    あんたって言ったらどうする?
    「…いないよ」
    急に腕を強く引かれて立ち止まる。
    「俺じゃダメなのかよ」
    「えっ?」
    「はぁ…いい加減気づけよ」
    ーチュッ
    「お前が好き」

    きゅん

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  18. 込み上げてきた涙を飲み込み、携帯のロック画面に写る君を見て小さく微笑む。
    「今年は…一人か」
    去年マフラー越しに告白されて、早一年…ぼやけ始めるクリスマスツリー。
    「何やってんだよ」
    とうとう夢まで…涙が思わず零れて慌てて拭おうとしたその時、
    ーギュッ
    「…なに一人で泣いてんだよ」
    「っ!?」
    掠れた声とともに後ろから強く抱きしめられた。ふわっと香るのは甘い君の匂い。
    「一人ぼっちにさせてごめんな」
    「な…んで」
    「親父の都合でクリスマスだけ日本帰ってきた」
    「っ…なんで言わないのっ」
    優しく離れると、君はゆっくりと私を君の方へ向けた。
    「泣くなよ…本当は今のも嘘」
    そっと私の涙を拭う。
    「え?」
    顔を赤らめながら俯く君。
    「こんなの俺の柄じゃねーけど、」
    冷たい何かが薬指に触れる。
    「実は今本帰国した」
    「っ!」
    「メリークリスマス」
    少しだけ目を細めて笑うと、チュッ、と私にキスをした。

    きゅん

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  19. 「お前らほんっとうるせーな」
    そう言ってけらけら笑う悠を横目で睨む。
    「友達がうるさいだけだし」
    そう拗ねたように言えば、悠はわりいわりいと言いながら私の髪をぐしゃっと撫で回した。
    「ちょ、やめてよ!」
    そう言ってし返すように悠の髪を背伸びしてぐしゃっとすれば、あまりの柔らかさに驚く自分がいた。わたあめみたい…
    「相変わらず髪柔らけーな」
    だけどそう言ったのは悠で、なんだか嬉しそうに口角を上げている。そしたらなんだか恥ずかしくなって、私は悠を押し返して歩きだした。
    「置いてくなー」
    そういって悠がついてくるのを知っているから。
    「電車!」
    そんな悠の声とともに腕を掴まれて、引きずられるように駅へ駆け込む。日焼けした筋肉質な腕や、たまに私を確認する流し目にドキッとする。誰よりも楽しんでいる悠が眩しかった。
    「好き」
    …なあんてね。
    「ん?なんか言った?」
    私は振り返った悠に小さく笑い返した。

    きゅん

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  20. 「本当に大丈夫だから!」
    私は試合をするみんなに笑顔で告げて背を向ける。迷惑なんてかけられない。体育館を出て人目がなくなると、痛む左足を抑えた。
    「っ…」
    滲み出てくる涙を拭う。弱いなあ私って。自分で手当てしないと。そう思って歯を食いしばれば、
    「大丈夫じゃねーじゃん」
    と、聞き覚えのある低い声が届いた。
    えっ…なんで…
    私は泣いてる顔を見られたくなくて振り返らない。
    「ちっ」
    次の瞬間、ぐいっと肩を掴まれて強制的に視線が交わった。さっきまでバスケの練習に励んでた、腐れ縁のあいつ。あいつは汗をシャツで拭き取りながらも、切り長の瞳を私から逸らさない。
    「大丈夫、」
    「バーカ。こういう時は俺に頼れよ。なんのために幼馴染やってると思ってんの?」
    こみ上げてきた何かが喉でつっかえる。
    「俺に手当てされてろよばか。」
    口調に似合わずそっと抱き上げられたわたしは、あいつに不覚にも少しだけドキッとした。

    きゅん

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  21. 「暗くなる前にかえんねーと。」
    悠はそう言って髪をくしゃっと触る。そして振り返った悠と視線が交差する。お互い何も話さない。夕焼けで赤く染められた悠の顔はいつになくカッコよく見えた。夏の夜のそよ風が優しくわたし達の間を通り抜ける。悠は少し視線をずらした。
    「今日のお前…なんか違うな」
    「えっ」
    普段は着ないような淡い桃色のワンピースが風で揺れる。短いくせ毛の髪が頰に当たる。
    「変…だよね」
    そう言ってうつむけば、悠がため息をつく。
    「バーカ。かわいいっつってんの」
    「えっ?」
    今度こそ素っ頓狂な声を上げる。
    「無自覚」
    「へ?」
    「ああもういい。ただ、今日の穂花は大人っぽくて綺麗ってだけ」
    そう言って悠は照れているのか頰を膨らましてそっぽを向く。わたしも恥ずかしさが伝染してボンっと赤くなる。今日の悠は変だ。
    「穂花」
    「うん?」
    「なんでもない」
    頰を赤くしている悠は、やっぱりちょっと変だ。

    きゅん

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