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  1. 10件ヒットしました

  2. 「せーんぱいっ」
    「…はーあい」

    このやり取りも、新学期が始まって何回目だろう。
    一個下の彼と出会ったのは、始業式の日。廊下で迷子になっていた彼に声を掛けたのが始まり。そこから懐かれ、今では廊下で会う度に飛び掛かってくるほどである。

    「先輩今日も可愛いですね! 付き合いましょ!」

    そして、まあ自然に告白してくる。

    「僕、先輩に一目惚れしちゃったんです。責任取って結婚して下さい!」

    どんどん話が飛躍する彼に曖昧な苦笑い一つ。答えない私に、彼は頬を膨らませた。
    私と彼が、出会った日。
    いつもの私だったら、声を掛けなかっただろう。そのままスルーしていた。けど。
    どうしてか、オロオロしている彼から目が離せなかった。気付いたら「どうしたの?」と声を掛けていた。その時見た、君の表情が忘れられない。
    婚約でもいいから、などと喚く君を見て、心の中で微笑む。

    一目惚れしたのは、君だけではないよ。

    きゅん

    6

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  3. 「ん」

    彼が放り投げてきた、水色ラッピングの箱。

    「何、これ?」
    「ホワイトデー」
    「…私の記憶が正しければ、バレンタインデーはあげてないはずだけど」

    今年のバレンタインデーは、本命一本に絞ってクオリティ高めの物を作った。…玉砕してしまったけど。

    「貰ってねーな。毎年くれてたのに。幼馴染って理由だけで、俺はお前からチョコ貰えてたのに」

    心なしか、彼の顔がブスくれてる気がする。

    「残り物でも、試作品でもよかった。俺はお前からのチョコが欲しかった。本命じゃなくても。…でも、そんな事言うのも、もうやめる」

    驚いて立ち止まる私の方を、三歩先で振り返った。

    「俺は、ずっと前からお前が好きだった」

    逆光の中、影に沈んだ彼はこちらに戻ってくる。

    「振った奴の事なんか忘れろ。これからはずっと、俺だけに作って欲しい」

    幼馴染へのチョコじゃなく、あいつにあげたような本命のチョコを。

    きゅん

    4

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  4. 「あああああ…寒い…」

    腕をさすりながら机に突っ伏す。
    秋といえど、気温は二十度を切っている。なのに私は、何を思ったのかカーディガンもブレザーも着ないで登校した。
    …持ってくるべきだった。

    「あれぇ、寒くないの?」
    「うるさいなあ! 忘れたって言ってるでしょ!」

    あいつはニヤニヤしながら私の前に現れ、そしてニヤニヤしながら指摘するのだ。自分は茶色いカーディガンを着て。

    「そーんなお馬鹿なお前にいいお知らせです!」
    「お馬鹿!? 馬鹿って言った!?」

    ガタッと椅子から立ち上がると、肩を押されて元の状態に戻される。
    そして、ふわりと茶色いカーディガンを肩に掛けられた。

    「俺暑いから、着てていいよ」

    あいつの温もりが、香りが。

    「…ありがとう」

    私の頬を、赤くする。

    きゅん

    15

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  5. 夏休み最終日。

    「…宿題終わったの?」
    「終わってるに決まってんだろ」

    私と幼馴染は夏祭りに来ています。
    口の悪いこの幼馴染。最近話してすらいなかったのに、どういう風の吹き回しか夏祭りに誘われた。
    夏祭りっていっても、近所の納涼祭。規模は小さめだけど、屋台はそこそこある。

    「…おいはぐれんな」
    「じゃあ少しくらいゆっくり歩いてくれませんかねぇ…」

    昔とは、変わってしまった。もう、私の後ろをてちてち付いてきたあいつじゃない。身長もとっくに抜かされて、筋肉質になってきてるし…モテ始めるし。口の悪さは変わらないんだけど。

    「お前、昔と変わったとか思ってんだろ」

    提灯の灯りに照らされ、振り返ったあいつが笑う。

    「…だったらな」

    全部言い終わる前に、腕を引かれ唇が重ねられる。

    「俺の気持ちは昔から何一つ変わっちゃいねーんだよ、バーカ」

    …人混みの中でキスするあんたの方がバカだ!

    きゅん

    9

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  6. 「ここはこうで…そんで、これを代入するの」
    「ふむふむ…。うん、わからん」
    「何でよ」

    夏休みももうすぐ終わる。
    私と彼は、溜めてしまった宿題を終わらせるため、図書館に来ていた。

    「…ここのXは、二になるじゃん?」
    「え? 何で?」
    「ねぇこれ中一レベル」

    かれこれ30分ほど、彼がわからないわからないと言っている問一を説明しているのだが。
    一向に理解してもらえない。

    「ううん…」

    正直、この状況はとても辛い。心臓が。
    私は彼の事が好き。好きな人と図書館で向かい合ってお勉強。始めた時から心臓がとても煩い。
    駄目だ私。説明に集中しろ。わかってもらうんだこの問一を!

    「ねぇ…。俺が、君と一緒にいたいが為にわかんないって言ってるとしたら…どうする?」

    頬杖をついて微笑む彼に、心臓が一層煩くなる。

    「明日も、勉強しない?」

    そんなの、頷くしかない。

    きゅん

    11

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  7. あああああ…狭いキツい暑い。
    毎朝の事なんだけど、満員電車って辛い。
    ぎゅうぎゅう押されるし、何よりこの季節は暑い…。
    イライラしながらドア付近まで逃げて来て一息ついていると、不意に顔の真横へバンっと手が突かれた。

    「よっ」

    吃驚して冷や汗をかいた私とは対照的に、幼馴染の彼は爽やかに突いてない片手を上げる。

    「…あ、朝からやめて、心臓に悪い…」
    「ははは、ごめんな〜。お前が見えたからつい悪戯したくなって♡」

    やめろウィンクを飛ばすな。

    「ていうか、この手邪魔」
    「あと一駅の我慢です〜」

    おちゃらけたようにからから笑う彼に溜息。
    でも、さっきより大分楽。周りに触れる事もないし、狭くもキツくもない。

    「…ありがと」
    「どーいたしまして。大好きな幼馴染ちゃんに知らない男が触れると思うと気分悪いからね」

    …聞こえてたんかい。

    きゅん

    25

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  8. 夜の学校になんて来るんじゃなかった。
    真っ暗な廊下を見て、頭を抱える。
    もっと早くに気づけばよかった。ていうか、忘れ物なんかしなきゃよかった!

    「あぁ…気味悪い、早く帰ろ」

    教室から目当ての教科書を回収してまた廊下に出る。
    しーんと静かで、真っ暗な廊下。二の腕をさすりながら、私は足早に玄関へ向かった。

    「あ、おいお前」
    「ぎゃぁぁぁああ!?」

    後ろから声をかけられた。悲鳴を上げて振り返る。
    そこには、同じクラスの男子が。

    「な…なんだ、お化けかと思った」
    「は? …つかお前、何してんの。こんな時間に」

    事情を説明すると、彼はふぅんと頷き、笑った。

    「お前、ドジだな。次から気を付けろよ」
    「あはは…そうだね、気をつける」

    ばいばい、と別れたはいいが…数歩歩いて、私は気付いた。
    彼は何故ここにいる? こんな時間に。
    振り返る。そこに彼はいなかった。

    …彼は、どこに行った?

    きゅん

    8

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  9. 「ねえねえ、やっぱりあの人かっこよくない!?」
    「あ、十五番の先輩でしょ! やばいよねえ超かっこいい…!」

    きゃあきゃあという黄色い声を隣で聞きながら、私はアリーナを眺めながら柵に頬杖をついた。
    下では、バスケをやっている。そして、一番目立っている、十五番の彼。
    きゃあきゃあ言われるのも分からなくもない。整った顔立ちは世に言うイケメン。噂では、とてもクールだとか。

    「きゃぁ! こっち見た!」

    女の子達が彼の視線に悲鳴を上げているのを、気のせいだろと冷めた思考で聞き流す。
    もう帰ろうかな…、帰ろう。いい加減耳が痛くなる。

    「…おい、お前」
    「はい?」

    階段を降りて、声を掛けられた。
    …十五番のゼッケンを着た、イケメンに。

    「…ん」
    「え? …何ですかこれ」

    彼は私の質問に答えずに、踵を返した。

    『連絡待ってる』

    その短い言葉とともにアドレスの書かれた紙を、私に握らせて。

    きゅん

    17

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  10. 「七夕だね」
    「そうだな」

    下校途中、何気なく発した言葉に、君は携帯から目を離さずに答えた。
    七月七日、七夕。織姫と彦星が、年に一度天の川を渡り会える日。

    「…彦星って、浮気しないのかな」
    「お前何言ってんだ?」

    私の発言が気になったようで、顔を上げ怪訝な顔で私を覗き込む。

    「だって、年に一回しか会えないんだよ? 浮気したくならない?」
    「…ならないな。俺は、年に一度でも」

    そして、ふっと彼が笑った。

    「俺は、ずっとお前のことを考えてるからな。浮気なんてする気にもなれない」

    どさっと鞄が落ちる。

    「…なっ」
    「折角の七夕だしなー。…返事、聞かせてくれるか?」

    彼はそっと私の手を握った。

    きゅん

    7

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  11. 「せーんぱいっ♪」

    同じ園芸部の後輩である君。
    事あるごとに私に話しかけ、そしてちょこちょこ後ろをついてくる、可愛い後輩。ある一つの事を除けば。

    「僕と付き合ってください!」

    そう、彼は毎日私に告白してくる。

    「…あのね、何回も言うけど私好きな人がいるの」
    「知ってます!」

    いや知ってますじゃないよ。

    「…知ってます。知ってますよ、嫌という程。僕なんかじゃ敵わない事も」

    急に声のトーンが変わった。
    いつもの彼とは想像もつかないほど落ち込んだ声。

    「でも、僕諦めませんから! 先輩を振り向かせるのは僕です」
    「…はいはいそっかあ。あ、この花壇の雑草抜きしようか。終わったら水やりね」
    「はーい!」

    声の調子を戻して花壇の前にしゃがみ込む。
    私は如雨露を取ってこようと、彼に背を向けた。

    「…先輩を振り向かせるのは、僕ですよ。絶対に」

    そんな暗い声が聞こえたのも、気に留めずに。

    きゅん

    6

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