ケータイ小説 野いちご > 野いちご学園

野いちご学園メニュー

ようこそゲストさん

  1. 24件ヒットしました

  2. ここは旧校舎の廊下の奥にある寂れたベンチ。私の放課後の定位置だ。ここはほとんど誰も来ない場所だからのんびりお昼寝にはぴったりだ。

    「んっ……ん~、よく寝た~。いつも通り……じゃない!外暗っ!!」
    慌てて飛び起きるとふぁさっ、となにかが落ちた。

    「えっ……これって白衣?私にかかってたって事?誰のものだろう?」
    何か手がかりが無いか探していると左袖に小さなシミがあった。
    そのシミ付きの白衣の持ち主をよく知っている。授業中、どうしても目を追ってしまう私の大好きな先生だ。そのシミの存在も目を追いすぎて見つけてしまったのだ。

    「先生に見られたのか……じゃねえやこれどうしよう」
    「お~、やっと起きたか~」
    のんびりした口調、少し低くて優しい声が聞こえた直後、先生が現れた。
    「もうこんな所で寝んじゃないぞ」
    そう言いながら私の手から白衣を取ると頭をこつん、と叩いた。

    (明日もここで寝よ)

    きゅん

    2

    夕焼けこやけさんをフォロー

    通報する

  3. 今日は待ちに待った高校生活最後の文化祭。はっちゃけるぞ!

    「おっえ……気持ち悪っ。」
    はい人酔いしました。なので屋上につながる階段へ避難しました。我が学校は屋上出入り禁止なのでこの階段には誰も来ないはずだ。

    「うーん、ここ埃っぽいけど落ち着くな~」
    「だろ?俺も暇な時よくここで昼寝してた」
    誰も来ないはずなのに懐かしい声が聞こえ、思わず振り返る。
    「先輩!?」
    憧れだった先輩が階段の手すりに寄りかかりながら笑顔でこちらを見下ろしていた。
    「久しぶり」
    よっ、と片手を上げてこちらに話しかける。
    ふわふわの髪、くりくりの目と可愛い印象のあった先輩。大学生になり少しは大人びたかと思ったが、
    「先輩、全っ然変わりませんね」
    「うっさい……じゃなくて」
    ふと真剣な眼差しをこちらに向けた。
    「体調、悪いんだろ?俺ずっとここ居るから。何かあったら俺に言えよ?」
    そう言うと私の頭をぽんぽん、と撫でた。

    きゅん

    2

    夕焼けこやけさんをフォロー

    通報する

  4. 甘ったるい匂いが学校いっぱいに広がる2月14日、甘いものが苦手な私にとっては地獄の日。

    だが今年は甘い匂いに酔いつつ手作りした。ほんのり甘酸っぱい、薔薇のジャム入りのチョコレート。

    死にかけながらも作った理由、それは今年卒業する憧れの先輩に渡すため……告白するため。授業が終わった後、いそいそと4階の自販機横のベンチ……先輩の『放課後の定位置』へと向かった。

    階段を登ったすぐ先にあるその場所。緊張しつつ登ってたら先輩と……女の子の声が聴こえてきた。

    踊場の陰に隠れつつそっと覗いた。
    顔を真っ赤にさせてその子は先輩にチョコらしき物を渡していて、先輩もその子に負けない位真っ赤にさせて受け取っていた。……それを見て、私は階段を駆け降りた。

    先輩はとっても優しい。だから私のチョコも受け取ってくれただろう。だけどその優しさは先輩の恋人になるあの女の子にはきっと残酷だ。

    涙が止まらなかった。

    きゅん

    2

    夕焼けこやけさんをフォロー

    通報する

  5. 甘ったるい匂いが学校いっぱいに広がる2月14日、甘いものが苦手な私にとっては地獄の日。

    だが今年は甘い匂いに酔いつつ手作りした。ほんのり甘酸っぱい、薔薇のジャム入りのチョコレート。

    死にかけながらも作った理由、それは今年卒業する憧れの先輩に渡すため……告白するため。授業が終わった後、いそいそと4階の自販機横のベンチ……先輩の『放課後の定位置』へと向かった。

    階段を登ったすぐ先にあるその場所。緊張しつつ登ってたら先輩と……女の子の声が聴こえてきた。

    踊場の陰に隠れつつそっと覗いた。
    顔を真っ赤にさせてその子は先輩にチョコらしき物を渡していて、先輩もその子に負けない位真っ赤にさせて受け取っていた。……それを見て、私は階段を駆け降りた。

    先輩はとっても優しい。だから私のチョコも受け取ってくれただろう。だけどその優しさは先輩の恋人になるあの女の子にはきっと残酷だ。

    涙が止まらなかった。

    きゅん

    3

    夕焼けこやけさんをフォロー

    通報する

  6. 学校も終わり、最寄り駅に着いたところで誰かに話しかけられた。
    「トリックオアトリート」
    「いやもう終わってるやん……」
    思わず呟きながら振り返るとそこにいたのは何年も疎遠の幼なじみだった。

    「久しぶり。そして菓子くれ」
    「久しぶりに会う幼馴染に菓子せがむかね普通」

    呆れながらも菓子を探す私。
    「あ、塩昆布ならあるけど」
    「女子高生のチョイスじゃねえよそれ。俺はもっと甘いのがいい」

    相変わらずクールな雰囲気に似合わず甘党だなこいつ、と心の中で悪態をつく。塩昆布旨いからな。

    「タイムアップ。いたずらするね」
    そうにやりと笑いながら私の顔を覗きこんだ。

    そのまま触れあう唇。

    「お前が俺の事好きなことくらい気づいてたからな」

    図星をさされた。そのにやついた顔も悔しくてつい言い返す。
    「そんなの今はどうかなんて……!」
    「少なくとも耳まで真っ赤なその顔見りゃねえ」
    「う、うるさい!」

    きゅん

    4

    夕焼けこやけさんをフォロー

    通報する

  7. とある日の放課後。委員会の仕事も一段落し、校舎内のベンチで私は休憩をとっていた。
    (ったく、先生人使い荒すぎるって。というか委員会の中の1つの班とは言え、私が班長なんて向いてないんだよなあ。あーあ。部活行きたい)
    はあ、とため息混じりに俯く。

    誰かが私の前に立ったのだろう、ふっと視界が暗くなった。そして頭に何かを載せられた。
    構わず頭をあげるとそこにいたのは委員長兼部長だった

    「よっ」
    「お疲れ様です、先輩」
    くりっとした目を細め、優しそうに笑った先輩は頭の上に載せてたものを私の手に握らせた。ホットココアだ。

    「いいんですか」
    「珍しく潤沢なものでね」
    「……チビの癖に」
    「おいそれ全く関係ねえだろ」

    思わずふふっと笑い、ありがとうございます、と伝えた。
    先輩もふっと笑ったがふと真顔になり、
    「お前が頑張ってるの、俺も先生も知ってるからな」
    と呟き、私の頭をくしゃくしゃっと撫でた。

    きゅん

    9

    夕焼けこやけさんをフォロー

    通報する

  8. 高校2年の夏も終わった。

    この夏休みの間に、昔からの親友に彼氏が出来た……らしい。親友は私にその事を教えてくれなかった。

    (まさか私がアイツの事……好きだって気がついて気を遣ったとでも言うの?)

    はっきり言おう。私は嘘をつくのが上手い。今まで隠し通そうと思った事は全てバレずにすんだ。
    これまたはっきり言おう。親友は嘘をつくのが下手だ。すぐに表情にでてしまっている。

    その証拠に夏休みを明けてからというものの私と話す度に少し申し訳なさそうにしている。遂に耐えきれなくなった私は話を無理矢理切り上げトイレに駆け込んだ。

    (悔しい……アイツをとられた事、親友の嘘を見抜けなかった事、逆に私の好きな人を見抜かれた事、気を遣われる事、アイツと親友が幸せそうな事、その事を祝えない自分の事、全部全部悔しい!)

    思わず涙が出る。止まらない。でももう少しの間泣いていよう。2人を心から祝福するために。

    きゅん

    1

    夕焼けこやけさんをフォロー

    通報する

  9. 先輩は最初から私の事など好きではなかった。

    部活の憧れの先輩が文化祭委員会に入ると聞き追いかけるように私も入った4月。あの頃は憧れてるだけで話したことすらなかった。
    先輩が委員長になったとき、私は恋をして初めて勇気を出した。副委員長に立候補したのだ、先輩と話せることを期待して。

    思い通り話せるようになった。連絡先だって交換した。去年までは憂鬱だった委員会が毎回楽しみで仕方なかった。

    そうして気づけば文化祭当日。委員会の集まりがあるから上機嫌で教室へ向かった。

    そこで見てしまったのだ、先輩が可愛いことで有名な女の子と顔を赤らめて話す姿を。

    「本当は最初からわかってた。私なんか興味無かった事くらい」

    閉祭式が終わると家に直帰した。
    涙を流し先輩とのメッセージ画面を開いた。

    「今まで……ありがとうございました」

    嗚咽混じりに呟いてメッセージを消した。

    きゅん

    6

    夕焼けこやけさんをフォロー

    通報する

  10. 先輩は最初からデブでブスな私の事など好きでなかった。

    部活の憧れの先輩が文化祭委員会に入ると聞き追いかけるように私も入った4月。あの頃は憧れてるだけで話したことすらなかった。
    先輩が委員長になったとき、私は恋をして初めて勇気を出した。副委員長に立候補したのだ、先輩と話せることを期待して。

    思い通り話せるようになった。連絡先だって交換した。去年までは憂鬱だった委員会が毎回楽しみで仕方なかった。

    そうして気づけば文化祭当日。委員会の集まりがあるから上機嫌で教室へ向かった。

    そこで見てしまったのだ、先輩が可愛いことで有名な女の子と顔を赤らめて話す姿を。

    「本当は最初からわかってた。私なんか興味無かった事くらい」

    閉祭式が終わると家に直帰した。
    涙を流し先輩とのメッセージ画面を開いた。

    「今まで……ありがとうございました」

    嗚咽混じりに呟いてメッセージを消した。

    きゅん

    3

    夕焼けこやけさんをフォロー

    通報する

  11. 親友からのメッセージは私の心を一瞬で変えた。

    『あいつの彼女、凄く可愛いしいい子だよね』

    女子2人のSNSのやり取り。自然と話題は恋バナに変わっていく。やがて同じ学校の幼なじみの話になった。そこで私はその事実を知った。彼女の存在、そしてそれは誰かも。
    (同じクラスの子……誰にでも平等のとってもいい子)

    『確かにアイツ、身長180ちょいあるし目もパッチリ二重で……眼鏡かけてて目立たないけど……頭もよくて運動できて誰にでも優しいよね。超ハイスペックじゃん』
    そう打ち返すと胸がチクっとした。特に「誰にでも優しい」のところで。

    (私にだけ、優しかったわけではない。そう、気づいていたはずなのに)

    幼なじみだからという特別な関係は、特権は、とっくに消えていたのに……見て見ぬフリして甘えていた。
    (はは……こんなに後悔したの初めてだな……)

    『彼女、大切にしろよ』

    そんなメッセージを送った

    きゅん

    2

    夕焼けこやけさんをフォロー

    通報する

  12. 今年のバレンタインは私にしては珍しく手作り、薔薇のクッキーだ。
    しかし私にはラッピングをする女子力はなくタッ○ーに入れて持ってきたのだが、作りすぎてしまったのだ。

    「こうなったら家でやけ食いしてやる」
    「それなら俺にちょうだい」
    私の後ろにいたのはくりっとした目が愛くるしい、部活の先輩。
    「……! って先輩か。こんなんで良かったらどうぞ」
    聞かれた!と思いつつそう返すと先輩はふわりと笑い「ありがとう」と言った。
    そしてパクっと一口。

    「ん……これ、薔薇のジャムだよね?ほんのり甘酸っぱくて美味しいね」
    先輩はそういうと幸せそうに微笑んだ。
    (先輩の笑顔破壊力凄い……余ってくれてマジ感謝)
    そう思っていると先輩は私の顔を覗きこみ、
    「ね、また作ったら俺の分も欲しいな。というか来年のバレンタインは俺はもういないから、その……」

    この後先輩が伝えた言葉は一生忘れられない。

    きゅん

    3

    夕焼けこやけさんをフォロー

    通報する

  13. 朝から酷かった体調は2時間目に限界を迎え、私はフラフラになりながら保健室に行った。

    (先客?あの人辛そうだな……あれ?)
    先生に案内されながら保健室の椅子を見るとそれは部活の憧れの先輩だった。
    目があったので会釈をすると向こうもペコッと頭を下げた。

    「熱計ってもらってもいい?ちょっと職員室に行ってくるから少し待っててね」
    そう言って保健室の先生は部屋を出ていった。

    (やばいな……インフルかな、これ?)
    そんなことを思っていると、
    「ああ、インフルかこれ?」
    先輩が呟いた。
    思わず私が
    「私もインフルにかかったような気がします……。」
    先輩は苦笑いして
    「やっぱり俺ら、かかっちゃったのかね。部活の皆に移らなければいいけど」
    私も苦笑いして頷いた。
    結局2人ともインフルエンザだった。

    数日後、私が部活に行くと部員の半数がインフルで休みだった。先輩と目が合うと苦々しげに笑いあった。

    きゅん

    4

    夕焼けこやけさんをフォロー

    通報する

  14. (隣町で買い物するの、久しぶりだな)
    私はぼんやりと外の景色を見ていた。

    目的地まで後2駅。そこで誰かに声をかけられた。
    「あれ?奇遇だね」
    憧れの先輩が私の目の前にいた。
    (私服格好いい……)
    「あ……こんにちは」
    あがり症の私はやっとのことで愛想笑いをする。

    残り1駅のところで大量の人が入ってきた。
    (ヤバい、押されてる……先輩に迷惑がかかる前に何とかしなきゃ)
    「うおっ!」
    そんな声と共に先輩は私の両サイドに腕をついた。
    (こ、これが噂の壁ドン……というやつか)
    密かに感動していると先輩が「ごめんね」と申し訳なさそうに謝った。
    「平気ですよ~」と言いつつも駅につくなと願う私。無情にも目的地についてしまった。

    それじゃあ、と挨拶して出ようとすると先輩も降りるようで2人で慌ててドアを飛び出した。
    「いやあ、災難だったね」
    照れくさそうに笑う先輩を見て思わず笑ってしまった。

    きゅん

    5

    夕焼けこやけさんをフォロー

    通報する

  15. 『あいつの彼女、凄く可愛いしいい子だよね』
    小学校からずっと一緒の友達から来た、驚きのメッセージ。

    女子2人のSNSのやり取り。自然と話題は恋バナに変わっていく。やがて同じ学校の幼なじみの話になった。そこで私はその事実を知った。彼女の存在、そしてそれは誰かも。
    (同じクラスの子……確かに天使みたいないい子)

    『言われてみれば、身長180ちょいあるし目もパッチリ二重で……眼鏡かけてて目立たないけど……頭もよくて運動できて誰にでも優しいよね。超ハイスペックじゃん』
    そう打ち返すと何故か心がチクっとした。特に「誰にでも優しい」のところで。

    (私にだけ、優しかったわけではない。そう、気づいていたはずなのに)

    幼なじみだからという特別な関係は、特権は、とっくに消えていたのに……見て見ぬフリして甘えていた。

    (きっと私は諦めるしかない。今まで甘えてきた、罰なのだから)
    末永く、お幸せに。

    きゅん

    3

    夕焼けこやけさんをフォロー

    通報する

  16. 「あっ」
    「あっ?……あ」

    思わず出た声に残念ながらこの幼なじみは気がついてしまったようだ。

    「よう、久しぶり。元気だったか? 」

    というのも、小さい頃、奴はその年で理屈っぽくて私はいつも泣かされていた。
    しかも筋が通ってるから厄介なんだよなあ。

    私達は小、中と同じだったけど奴は受験に失敗して高校は別。だから泣かされた恨みがある上に今では少し気まずいのだ。

    「うん、元気だよ。……それじゃあ」
    立ち去ろうと奴に背を向けた。

    「おい……ちょっと待て!」
    ガシッと手首を捕まれた。
    そして奴は私を無理矢理自分の方に向かせると早口でこう言った。

    「今までちょっかい出してばかりで、本当にごめん。今ならわかる。お前の気持ち。……でも、お前が好きだ……俺と付き合ってください。」

    今までに見たことのない位、彼の顔がリンゴだった。その顔に免じて私はこう、答えた。

    「考えさせて、頂けますか?」

    きゅん

    3

    夕焼けこやけさんをフォロー

    通報する

  17. 「あっ」
    「あっ?……あ」

    思わず出た声に残念ながらこの幼なじみは気がついてしまったようだ。

    「よう、久しぶり。元気だったか? 」

    というのも、小さい頃、奴はその年で理屈っぽくて私はいつも泣かされていた。
    しかも筋が通ってるから厄介なんだよなあ。

    私達は小、中と同じだったけど奴は受験に失敗して高校は別。だから泣かされた恨みがある上に今では少し気まずいのだ。

    「うん、元気だよ。……それじゃあ」
    立ち去ろうと奴に背を向けた。

    「おい……ちょっと待て!」
    ガシッと手首を捕まれた。
    そして奴は私を無理矢理自分の方に向かせると早口でこう言った。

    「今までちょっかい出してばかりで、本当にごめん。今ならわかる。お前の気持ち。……でも、お前が好きだ……俺と付き合ってください。」

    今までに見たことのない位、彼の顔がリンゴだった。その顔に免じて私はこう、答えた。

    「考えさせて、頂けますか?」

    きゅん

    3

    夕焼けこやけさんをフォロー

    通報する

  18. 私は階段を登っていた。

    (はぁっ、はぁ……)
    先輩方の卒業式が終わると、やがて昇降口は騒がしくなった。

    (どこにいるの、先輩……)
    私が先輩を探す理由は1つ、ずっと憧れだった先輩に最後の挨拶……を、するため。

    先輩が部活を引退してから私はふくよかだった自分の体型を見直し、毎日のように筋トレをしていた。
    見た目やファッションにも気を使うようにした。

    全て、この日のために。

    (いた!……あ)
    先輩は階段の上の自販機前のベンチに座っていた。優しい笑顔が印象的な女の子と、2人きりで。

    「副部長……」

    2人はお揃いのジュースを片手に、微笑んでいた。照れくさそうに。

    私はもちろん踊り場に突っ立ったまま、呆然として見ていた。

    (副部長……内面も、とっても綺麗だったっけ)

    私はその場を邪魔しないよう、静かに立ち去った。
    それ以来笑顔を忘れぬようにしながら、内面磨きに励んだ。

    きゅん

    6

    夕焼けこやけさんをフォロー

    通報する

  19. 私は階段を登っていた。

    (はぁっ、はぁ……)
    先輩方の卒業式が終わると、やがて昇降口は騒がしくなった。

    (どこにいるの、先輩……)
    私が先輩を探す理由は1つ、ずっと憧れだった先輩に最後の挨拶……を、するため。

    先輩が部活を引退してから私はふくよかだった自分の体型を見直し、毎日のように筋トレをしていた。
    見た目にも気を使い、髪にほんのちょっとだけどアレンジもしてみた。

    全て、この日のために。

    (いた!……あ)
    先輩は階段の上の自販機前のベンチに座っていた。女の子と、2人きりで。
    部活内で1番可愛くて優しくて……笑顔が絶えない、そんな先輩と。

    2人はお揃いのジュースを片手に、微笑んでいた。照れくさそうに。

    私はもちろん踊り場に突っ立ったまま、呆然として見ていた。

    (あははは……内面も、か)

    私はその場を邪魔しないよう、静かに立ち去った。
    それ以来私は笑顔を忘れなかった。

    きゅん

    4

    夕焼けこやけさんをフォロー

    通報する

  20. 体調が悪くて早退してしまった。

    いつも恨んでいた学校前の赤信号でさえ有り難く感じる。
    はぁ、と息をつく。思わず電柱に手をつけた。

    「大丈夫?」
    「ってうお先輩!」
    いつの間にか、部活の先輩が心配そうに私の顔を覗き込んでいた。

    「ふふ、そんなに驚いた?それより体調悪いよね?駅まで送るよ」
    笑われて恥ずかしくなる。というか先輩何でこんなところにいるのだろう?まだ授業中だ。

    「ああ、家の用事があるんだよ。君を送る時間はあるから安心して」
    いやそうじゃない。そう思ったけど「だめ、送る」ときかなかった。

    「さて、駅についたけど無理しちゃ駄目だよ?」
    先輩が私を見つめて言った。
    「ありがとうございます!ところで」
    私も先輩を見つめ返して続ける。
    「もしかして体調悪いんじゃないんですか?」

    先輩は顔を赤らめた。そして言い訳のように呟く。

    「だって好きな女の子を助けたかったんだもん」

    きゅん

    8

    夕焼けこやけさんをフォロー

    通報する

  21. 体調が悪くて部活を休んでしまった。

    久しぶりに1人で帰るなぁ。
    いつも恨んでいた学校前の赤信号。今は有りがたいとさえ感じる。
    はぁ、と息をつく。思わず電柱に手をつけた。

    「大丈夫?」
    「ん?先輩?」
    いつの間にか、部活の先輩が心配そうに私の顔を覗き込んでいた。

    「先輩こそこんなところで何してるんです?」
    今日は部活があるはずだ。
    「家の用事があるんだ。体調悪そうだね、駅まで送るよ」
    そんなおそれ多いこと出来る訳がない。そう伝えても「だめ、送る」ときかなかった。


    「さて、駅についたけど無理しちゃ駄目だよ?」
    先輩が私を見つめて言った。
    「ありがとうございます!ところで」
    私も先輩を見つめ返して続ける。
    「もしかして体調悪いんじゃないんですか?」

    そう言うと先輩は顔を赤らめた。そして言い訳のように呟く。

    「だって好きな女の子が苦しんでるんだからさ、助けたいと思うでしょ?」

    きゅん

    6

    夕焼けこやけさんをフォロー

    通報する

▲