ケータイ小説 野いちご > 野いちご学園

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  2. 好きな人が、自分じゃない誰かとキスをしているのを目撃したら、一体どんな反応をしてしまうのだろう。私は硬直してしまった。ショックを感じてしまった。ここから今すぐ離れたいのに、地に足が張り付いたみたいに動けなかった。

    さっさと逃げなかったから、私の視線を感じ取った彼がこっちを見たんだ。それに続いて彼に媚びるように触れている女子までもがこちらを見てきて。もう終わったと思った。泣きそうになった。逃げないといけないのに、やっぱりそこから動けなかった。

    ムードをぶち壊されたと言わんばかりに、女子は私をキッと睨んで彼から離れた。そのまま私の肩にわざとぶつかるようにして教室を出て行く。私はまだ動けなかった。

    彼は私を冷めた眼差しで見つめていた。全てを見透かされてしまいそうな目で。「キスしてないから」彼は確信犯だ。絶対に私の気持ちを知っている。だって。「俺とキスする?」普通はそんなこと、言わないから。

    きゅん

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  3. 無口でクールな彼は、私の席と自分の席を間違えていた。机の横には私のカバンがかけられているのに一体どうして。席だってお互いに離れているというのに。

    理由が知りたいけど、私はもう帰宅するだけだ。彼は気持ち良さそうに寝ているから、それを妨害してまで問い質す必要なんてどこにもなかった。

    私はなるべく音を立てないようにそっと近づき、静かにカバンに手を伸ばした。するとその時、ずっと夢の中だと思っていた彼の手が咄嗟に私の腕を掴んできた。思わず目を見開いてしまう私。

    俯けていた顔をゆっくりと上げた彼は、重たい前髪から覗く漆黒のような瞳を私へと向けた。そのクール過ぎる瞳に思わずドキッと胸が跳ね、私は慌てて顔を逸らした。

    だけど次の瞬間、掴まれた腕を強い力で引かれていて。何の抵抗もできないまま、私は簡単に唇を奪われてしまった。「ごちそうさま」ペロッと自分の唇を舐める彼の瞳は、妖しく光っていた。

    きゅん

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  4. 図書室でよく見かけるようになった彼は、メガネをかけたクールな人だった。いつも私よりも先に図書室を訪れていて、それこそ私が最初に来たことなんてないくらい彼が一番乗りだった。ずっと図書室で過ごしているんじゃないかと疑ってしまいそうになるくらい。

    今日も彼は誰よりも早くに来ていて、熱心に本を読んでいた。文字を目で追ってページを捲る。たったそれだけのことなのに、視線の先にいる彼がやると綺麗だな、なんて思ってしまうから不思議だ。

    私と同じ本好きみたいだから、仲良くなれたらいいなと思っているのに、全く話しかけられないままただ見つめていることしかできないでいた。読んでいる最中に声をかけるのは憚られるのだ。

    今日こそは。そう何度も思ってはダメな日が続き、もう見ているだけで満足だと諦めつつあった時だった。読んでいた本をパタンと閉じ、そっとメガネを外した彼が、迷うことなく私を見てクールに微笑んだのは。

    きゅん

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  5. 「これやるよ、玲香に」

    昼休み、私が屋上に顔を出すと、奏が私に向かって長方形の箱を軽く投げて寄越してきた。

    突然で驚きながらも反射的に受け取ると、それは市販のチョコで。

    奏と投げ渡されたチョコを交互に見て、あぁ確か今日はホワイトデーだったな、とクラスメートがその話題で盛り上がっていたことを思い出した。

    言っちゃ悪いけど、奏からのお返しはあまり期待していなかった。

    ホワイトデーとか面倒臭い、怠い、どうでもいいとか思ってそうだったし。

    何も変わらない普通の日になるんだろうなと思っていたから、お返しなんて全然期待していなかったから、だから。

    「玲香の赤面は貴重過ぎる」

    「うるさい」

    その分、貰った時の嬉しさは半端なくて。

    私は奏から貰ったチョコを胸に抱き、「ありがとう」とお礼を伝えた。

    奏は私の元に歩み寄ると、そっと優しいキスをして小さく笑った。

    「どういたしまして」

    きゅん

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  6. 今日は、待ちに待ったわけではないけど、奏と付き合って初めてのバレンタインだった。

    年中行事に疎い奏は、今日が何の日であろうと別にどうでもいいと思っているに違いない。

    でも私は彼女として、奏にチョコを渡すから。

    いろいろと忙しくて手作りは断念してしまったけど、その分少し高めのチョコを買ったからそれでなんとか許してほしい。

    「奏」

    隣を歩く彼の名前を呼んで、私はカバンから例のものを取り出して差し出した。

    「手作りじゃないけど我慢して」

    チョコの入った四角い箱を受け取ってくれると思ったのに、奏はなぜか私の手首を掴んで引き寄せた。

    反動で手から滑り落ちたそれが地面に叩きつけられる音がした時には既に、私は奏に唇を奪われていた。

    「キスできたから満足」

    ゆっくりと離れた奏は、地面に落ちたチョコの箱を手に取って小さく笑った。

    「玲香から貰うものなら全部嬉しいから。ありがとう」

    きゅん

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  7. 「ねぇ、俺がもしお前のこと好きって言ったら、お前は何て答える?」

    登校中、たまたま遭遇した君と並んで歩いている時に突然言われた言葉。

    さっきまで昨日のテレビの話をしていたのに急だな、と思いつつも、「私も幼馴染として好きって言うかな」と私は君の横顔を見上げて笑った。

    君は私の返事に溜息を吐き、こちらを一瞥して口を開いた。

    「俺はそういう意味の好きじゃないから」

    「え?」

    赤信号に捕まり、ほぼ同時に立ち止まると、君は私の方も見ずに淡々とした口調で告げた。

    「お前のこと、幼馴染としてじゃなくて、一人の女として好きなんだけど」

    照れもせずに衝撃的なことを告白するから、私は隣にいる幼馴染の彼の横顔を目を瞬かせながら見た。

    冗談は言わないタイプだから、その告白は本気だと判断できて戸惑ってしまう私。

    彼は切れ長の目を私に向けた。

    「幼馴染としてじゃなくて、男として好きにさせるから」

    きゅん

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  8. 「お前好きな人いんの?」

    私が聞かれたわけでもないのに、思わずドキッとしてしまった。

    それもそのはず。

    好きな人の有無を聞かれているのは私の好きな人だから。

    私は昼食を摂りながら、彼らの会話に耳をそばだてた。

    緊張にも似た気持ちで君の言葉を待っていると。

    「うん、いるよ」

    君はさも当然のようにそう言った。

    少しショックを受けながらも君に視線を向けると、君も私を見ていて。

    君はニコッと優しく微笑むと、一緒にいた友達に何やら告げて席を立った。

    どうしたのだろうと君の姿を目で追っていると、君は私との距離を縮めてきて。

    私の側まで来た君に戸惑いながらもドキドキしていると、君は私の目を見て恥ずかしげもなく。

    「俺、君のことが好きなんだ」

    好きな人からの突然の告白。

    顔が一気に熱を帯び、心臓が早鐘を打ち始めた。

    私は真っ赤に染まっているであろう顔で。

    「私も、好きだよ」

    きゅん

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  9. 「ねぇ、軽率に彼氏がほしい」

    友達と昼食をとりながら真面目な顔をしてそう言った私に、お茶を飲んでいた友達が突然噎せて咳き込んだ。

    「え、何、彼氏がほしいの?」

    まだ少し苦しそうに咳き込みながら言った友達の言葉に、私は元気よく首を縦に振り、紙パックのジュースを手に取った。

    それを飲もうと口に持っていった時、誰かが私の飲み物を奪い取った。

    え? と思い顔を上げると、そこには私の貴重な飲み物をストローで吸い上げている幼馴染がいて。

    「勝手に人の飲むなバカ!」

    そう叫んで席を立ち、幼馴染からジュースを奪い取ろうとする私。

    だけど、長身の其奴に高く掲げられたそれに、私は全く手が届かなかった。

    それでも必死に手を伸ばす私に、其奴は偉そうに命令してきた。

    「彼氏ほしいなら、俺の彼女になれよ」

    「へ?」

    素っ頓狂な声を出す私に、幼馴染は続けた。

    「お前に拒否権ねぇから」

    きゅん

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  10. 「隣の人とペアになって教科書の英文を読んでください」

    英語の先生が放った言葉に、私は眉間に皺を寄せてしまった。

    仲のいい友達ならともかく、私の隣は無口で近寄りがたい男子だ。

    ほとんど喋ったことのない奴と教科書を読み合うなんて気まずいな。

    でもやらないわけにはいかないと思い、私は彼の方に体を向けて「パパッと終わらそ」と無表情を貫いている彼に話しかけた。

    さっさと終わらせてしまえば後が楽だし。

    教科書を食い入るように見ながら英文を読み進めていると、「あのさ」と私の声を遮断するように彼が口を開いた。

    「…何?」

    不機嫌さを隠しきれていない私に、彼はあまりにも突飛なことを私の目を見て言ってきた。

    「好きなんだけど」

    「え…?」

    あちこちから英文が飛び交う中、場違い過ぎる日本語が私に向かって放たれた。

    目を見開く私に、彼はもう一度。

    「お前のことが好きなんだけど」

    きゅん

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