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  1. 37件ヒットしました

  2. 「体調悪いって先生に言っといて!」

    恐いけど渡したい想いが強かった私は、初めて授業をサボって彼が居る保健室へと向かった。
    この時間は、保健の先生も留守にしていて暗黙の了解で彼、滝井蒼くんが占領している。蒼くんは悪くでいえは不良、けれど成績が優秀で先生たちも何も言えないらしい。

    「着いた…居るかな?」

    動悸が激しくなり苦しいけど、ドアに手を伸ばし静かに中へと滑り込んだ。
    出来るだけ音を出さないようにベッドのカーテンを開けると窓際で眠っている蒼くんを見つけた。

    (可愛い…!)

    普段はカッコいいのに…キュンと胸が高鳴りながらそっと近寄ってチョコを置いて去ろうとした瞬間、私の腕は掴まれた。

    「どこ行くんだ」

    寝起きの掠れた声も良いがそれ以上に恐い!
    何も言えずにいるとそのまま私をベッドへと抱き寄せギュッとすると私ごと寝転ぶと彼は囁いた。

    「逃がさねえから覚悟しとけ」

    きゅん

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  3. 去年のバレンタインデーは最悪だった。初めてできた恋人に一生懸命作ったチョコを渡すはずで……でも渡すことはなかった。私が子供過ぎたのだろう。彼は同じ学校の先生で、カッコ良くて優しくて皆の憧れの人で。私を受け入れてくれたのに、女の子たちからのチョコを受け取る姿にイラついて。
    やっと二人になれた時、思ってもいないことを感情のままにぶつけ、勢いで別れを告げた。

    あれから一年、先生に逢いたいけど、逢いたくない気持ちに負けて屋上で皆が帰るのを待っていた。
    キィッと屋上のドアが開いたけど無視して体育座りのままでいると

    「ここに居たのか…」

    大好きな先生の声が聞こえた。私を探してくれたの?

    「お前がいないと…俺は駄目だ」

    ギュッと私を抱き締めながら紡がれた言葉。

    「私も……先生がいないとダメだよ」

    溢れた涙をそのままに先生に想いを伝えた。

    「先生、あの時はごめんなさい。大好きです」と。

    きゅん

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  4. 週に一度、ボールを磨くことにしている私。バスケが上手くなるおまじないみたいなものだ。
    ゴシゴシと汚れを拭いていると
    「先輩、今日もやってるんですね!」
    元気いっぱいな笑顔で駆け寄ってくる一つ下の譲。
    「アンタもまた来たの?」
    少し素っ気なく答えるも顔をあげずに拭き続ける。
    「手伝いますよっ」
    私の返事も待たずにボールを磨き始めた譲。視線だけで譲を見れば楽しそうに綺麗にしていた。
    (ー今ならさりげなく渡せるかも)
    近くに置いてあったカバンの中を漁ってみれば、手のひらサイズのチョコが1つ。
    「譲」
    名前を呼んで顔を上げた瞬間に1つ軽く弧を描くように投げる。
    最初は何を投げられたのか分からなかったみたいだけどすぐにチョコだと気付いたようだ。
    気にせず磨き終わったボールを籠へ戻しに行こうとした私をギュッと後ろから譲が抱きしめてきた。
    「先輩っ……大好きです」
    飾らない私の想いをあげる。

    きゅん

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  5. 「前野、帰ったよね…」
    素直になれないばかりに後悔が残る。そっと鞄から取り出したのはバレンタインの手作りチョコ。
    カサッと音をたてながらラッピングをほどいていく。
    「……渡せなかったや」
    箱を開けてトリュフを自分の口に入れる。
    「…思ってたよりも…苦い」
    ポロッと零れ落ちた涙。ガラッと開いた教室の扉。
    泣いてたから振り向かずにいたら、
    「まだ居たのか…良かった」
    その言葉に涙が止まった。何で居るんだろう?
    近づいてくる足音は、私の前の席で止まる。気遣うように私を窺う姿にまた泣きそうになる。
    「泣いてたのか…?」
    優しく声を掛けられたけど答えずにいると
    「このチョコ、誰用?」
    そう聞かれ、一瞬息が止まった。
    おずおずと私は前野を指差す。
    前野はチョコを摘まみ口へと入れたので、指を追って顔を上げるとKISSされて……。
    唇が離れた後、前野は嬉しそうに笑って
    「好きだ」
    そう言ってくれた。

    きゅん

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  6. 「ちょっと···痛いよ!」
    私の声も無視して上へと階段を上がっていく譲。

    午前の授業が終わってすぐに「行くぞ!!」とだけ言うと私の手を取り、返事も聞かずに教室を後にして今に至るのだが、どうやら目的地は屋上みたい。
    ガチャとノブを回して外へ出る。譲の髪が太陽の光を浴びて眩しくて少しだけ目を細めているとそのまま陰になった所へと連れていかれた。
    「座れ」
    命令口調で言われて何だかムッとしてしまう。
    「何で座らないといけないの?」
    「いいから正座を崩して座れって」
    私の言葉は無視ですか?···と思ったもののなんだかんだ言われた通りにしてしまう私。
    座ればそのまま譲が私の膝を枕にして寝転ぶ。
    「ねぇ、何で膝枕?」
    「······」
    聞いても返事なし、もういいやと空を見上げると

    「咲··」
    「ん~?」
    「好きだ」

    驚いて下を向けば赤く染まった横顔があった。
    きっと私は、今日を忘れないだろう。

    きゅん

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  7. 珍しく遅刻した。
    いつもの電車とは一本遅れただけで人が少ない。得した気分で本当は走らなきゃいけないんだろうけどどうにもならないから歩くことにした。
    ふと気づけば隣を一定の間を空けて歩く同じクラスの平木くんが居た。
    「遅刻なのに走んないの?」
    私がそう聞くと同じことを平木くんも聞いてきた。
    「なんとなく?」
    私がそう返せば「なんとなくかよ」と笑っていた。
    笑った顔が子供っぽくて私も笑った。
    そんなに話したことはないけど、気になっていたから、この距離感が寂しく感じた。
    だからかな?無意識に少しだけ平木くんのほうへと歩きながら寄ってみた。そしたら思ったよりも近くなっていた。何でだろうと考えて気づいた。

    平木くんも私のほうへ···?

    学校への道をゆっくり歩きながら少しずつ近くなってきた距離を勇気を出してそっと手を近づけた。

    同じタイミングだったみたい。
    触れた手は、優しく包まれていた。

    きゅん

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  8. 「教室ぐらい一人で行ってこいよ」
    ブツブツと文句を言いながらついてくる佐原。
    「だって夕方の教室って何かイヤだ」
    携帯を机の中に置いてきたのは私だけど放課後の学校···それも夕方とか無理だし!
    「ビビってんのか?」
    「···そんなわけないし」
    素直に《そうだよ》って言えれば良いのに。
    すぐ教室というところで立ち止まって佐原は、
    「じゃあ俺、ここで待ってるから」
    それだけ言って笑うと壁にもたれてしまった。
    強がってしまったことを後悔しても後の祭り。仕方ないから一人で教室の扉を開いて中へ。
    早歩きで机まで行き携帯を取るとそのまま佐原がいる廊下へと出る。
    「うそ···いない···」
    置いていかれた?
    持っていた携帯をギュッと握りしめて緩みそうな涙腺をグッと我慢すると優しく身体を包み込まれた私。
    「意地悪し過ぎたか、ゴメン」

    「なら···もう少しこのままで居てよ」

    素直に言えた一言。

    きゅん

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  9. 一生懸命作ったけど…受け取ってくれるかな?

    翼くんは人気があるからどうやって渡せばいいのかわからないよ。靴箱に入れようかと思ったけど入る隙間もなかったし……ドラマや漫画の世界みたい(笑)

    「やっぱりどうしようもないかな……。折角作ったけど渡せそうにないし。自分で食べようかな?」

    両手で大切に持っていたプレゼント。
    私にしては上手く出来たチョコレート。

    情けない顔してるんだろうなと苦笑いで開けようとラッピングに手を伸ばす私を誰かが阻止した。

    「綺麗に包んでるのに誰にも渡さねぇのか?」

    振り向けば、渡したい翼くん本人が居た。

    「なんで校舎裏に居るの?」

    「うるせぇから静かな所へ来ただけだ」

    そう言って私の手の中にあったチョコレートを奪うと包みを開けそのまま口に入れてしまった。

    「旨いな、手作りか?」

    「そう…だけど」

    「来年は俺にくれよ!」

    その言葉に笑って頷いた。

    きゅん

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  10. 仕事で行けないと母から連絡を受けた。母子家庭だからまぁ仕方ないかと納得した。
    気になる先生と二人きり……緊張する。

    ガラッと教室の扉を開けて中央に設置された椅子に座る。

    「松原?」
    「すみません、母が仕事で来れなくなりました」

    私の言葉に「そうか」と一言呟くと進路について聞かれた。思ったより母が来られないことがショックだったみたいで先生の顔も見ずに俯いたまま返事をする。

    「地元の大学か就職かまだ悩んでますから決まり次第、先生に報告します」

    端的に言うと私は立ち上がり扉へと進んだ…が進まない。何故なら先生が私の手を掴んでいるから。離してもらう為に振り向けばそのまま倒れ込み先生の胸に受け止められていた。

    「何で先生の顔見ないんだ?」
    「特に理由なんて…」

    速くなる鼓動、赤く染まる頬。

    「いつもは穴が空きそうな程見てるのに」

    バッと顔を上げれば愛しそうに私を見る先生が居た。

    きゅん

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  11. 気が付いたら目で追っていた。
    お昼休みはいつも元気に遊んでいる。微笑ましく見ていると前に座ってご飯を食べる親友の宇野ちゃんが声を掛けてきた。

    「飽きもせずによく見てんね、那加」

    「寒いのにすごく楽しそうなんだよね」

    グラウンドから目を離さずに返事をする。
    ボールを追いかけ走る。

    「若いねぇ~」

    「年寄り臭いなぁ(笑)」

    私は彼より一つ年上。
    ーーーきっと私のなんて視界に入ってないよね。

    ハァ……とため息をつき俯く私に宇野ちゃんが少し興奮気味にバシバシと肩を叩いてきた。

    「那加!那加ってばグラウンド見てみ!!?」

    「もう何よ…?」

    急かされるままに見てみれば彼と目があった。

    「いつも誰を見てるんですか?」

    「私に聞いてる?」

    初めての会話。
    問い返せば頷かれたので「君だよ」と答えると顔を赤くしながら「おっしゃ!」と笑った彼を見て私も嬉しくなって笑った。

    きゅん

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  12. 「好きです」

    「ハッ?!」

    「……って言ったら先生はどうします?」

    してやったりな割に無邪気に微笑む彼女。大人の俺が振り回されてどうするよ?口許に手を当てて落ち着きを取り戻す。

    ーーー大人をからかう子供にはお仕置きだな。

    隠した手の下でニヤッと意地悪に俺は笑う。

    「そうだな、俺なら……」

    そこで言葉を切って彼女の手を取り、少し強引に俺へと引っ張って腕の中に収めようかと思ったけど、ここは保健室で俺の後ろはなんとベットだ(笑)
    そのまま押し倒して上に軽く乗って顔を近づける。

    「こうして……kissするな」

    わざと甘い声色で囁くと、片手で前髪を上げて額にチュッと音を立てて口づけた。

    「口にはしてくれないの…?」

    顔を赤くして少し潤んだ瞳で彼女が言った。

    「喜んで……」

    やっぱり俺は彼女には敵わないようだと思いながら赤く色づいた唇を塞いだ。

    きゅん

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  13. 「さっきから機嫌悪くねえ?」

    「……別に」

    気にかけてくれてるのに素っ気なく返す私。だってなんかイライラするんだもん。

    ーーー告白された時生が気になるなんて。

    気が付けばいつも側にいて高校も一緒で腐れ縁なはずで……ただの友達な筈なのに。

    「俺なんかしたか?」

    「時生は何もしてないけど、イライラするだけ!!」

    「俺にか?」

    「そう、時生に」

    何もしてないのに苛ついてるなんて言われて時生も私にムカつくよね。

    「いつからだよ?昼休みの途中から様子が可笑しかったよな??」

    「……よく私のこと見てるね」

    不機嫌なままだけど不思議そうな顔の私の頬に優しく触れて意地悪な笑いを浮かべて甘く囁く。

    「好きだからな。だから不機嫌な理由言ってみ?」

    その言葉で顔が熱くなりながら

    「告白されたって聞いて……妬いたの」

    「可愛いやつ……」

    ギュッと私を抱きしめてくれた。

    きゅん

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  14. クリスマスイブの夜。
    吐く息は白くて寒いけどツリーの下で大好きな彼を待つ。

    「楓!」

    彼に名前を呼ばれたら最高の笑顔で駆け出すの。

    「かっちゃん!」

    そのままかっちゃんの胸に思いっきりダイブ!!
    ギューっと強くハグしてもらったら言うの。

    「いつも大好きです」って……。


    そしたら照れくさそうに優しく笑って

    「俺は違うなぁ……」

    「えっ!?」

    私が驚いて泣きそうな顔をするとまた笑って


    「俺は大好きじゃなくて……『愛してる』だから」


    そう言って私に何も言わせないように唇に暖かくて柔らかい感触がして……そっと目を閉じる。

    唇が離れた後に私に甘い約束をくれた。


    「来年も再来年も……ずっと一緒にいような」

    その言葉に私の返事は決まってる。


    ただ一言「はい」と答えた。

    きゅん

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  15. 12月になると学校の中庭には立派なクリスマスツリーが出現する。とても綺麗で期間限定のカップルにはけっこう人気の場所……なんだけど暗くてもう誰も居ないみたい。

    「まだかなぁ?」

    灯りはクリスマスツリーのイルミネーションだけ。マフラーも手袋もコートもちゃんと着てるけど寒い……。俯いて縮こまっていると後ろからギュッと抱き締めてくれた。

    「悪い、待たせたな」

    「遅い。でもギュッてしてくれたから……許す!」

    フワリと煙草の香りが鼻を擽る。
    抱き締められたまま目の前のツリーを見上げながら意地悪を言ってみる。

    「先生、学校で生徒を抱き締めていいの?」

    「もう誰も居ないからな……こんなこともできる」

    私の顔を少しだけ後ろに向けて優しく唇を覆う。だけど直ぐに離れてしまったから

    「……足りないよ?」

    私の言葉に先生は振り向かせると

    「俺も……」

    そう言うと笑って唇を重ねた。

    きゅん

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  16. 「お前はまた本読んでるのかよ」

    後ろから声を掛けて来たのは幼馴染みの雅樹。

    「雅樹も読んだら、たまには?」

    振り向かずに本棚の一番上の段にある本を取ろうとするけど身長が足りず、なかなか取れない。
    仕方ないから踏み台を取りに行こうとしたら

    「踏み台はいらねぇよ。この本だろ?」

    そう言って私の背中越しに雅樹が本を取ってくれた。急に近くなったから何だかドキドキしてしまって雅樹の顔を見ないように本を受け取る。一応振り返ってお礼を言いつつ

    「取ってくれてありがとう。……なんか近いよ?」

    「うん、近づいてるからな」


    どんどんと顔を近づけてくる雅樹に今できる抵抗として受け取った本で顔をガードする。

    「これ邪魔…」

    「……意味わかんないっ!」

    顔が熱くてパニックな私に雅樹は本を挟んだままおでこに『チュッ』とkissをした。

    「……次はコッチ…な?」

    雅樹の指は私の唇をなぞった。

    きゅん

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  17. 今まではずっと一緒にいた海音くんが居なくなって半年経った。
    胸元には最期のプレゼントになったウサギのペンダントを肌身離さず着けている。

    学校の帰りにたまたま通りかかった公園は、小さい頃、よく海音くんと遊んだ場所だった。

    『りんちゃん、ずっといっしょにいようね!』

    海音くんとの初めての約束。ずっと守られていくと信じていた私。

    『クリスマスは待ち合わせしよう!』

    2回目の約束は二人でクリスマスを過ごすこと。
    楽しみで幸せで待ってる時間すら愛しかった。

    でもどちらの約束も果たされないまま、海音くんは私の傍から……この世から居なくなってしまった…。

    ウサギのペンダントと一緒に添えられた手紙には

    『伝えたいことがある』

    今はそれが何かは判らない。だから、

    「……いつか海音くんにまた逢えたら、今度はちゃんと聞かせてね?私も伝えたいことがあるの……


    約束だよ?ねっ、海音くん」

    きゅん

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  18. 優人先輩のことが好きだった。
    お姉ちゃんの妹だから優しくしてくれただけだとしても伝えたかっただけ……『好き』って。

    体育館に呼び出したまでは良かったけど告白すると思ったらドキドキして行きたくないけどトイレに行ったりしたのがいけなかった。

    たまたま通りかかった空き教室から聞こえた声が先輩のもので……相手は私のお姉ちゃん。

    「秋ちゃんから呼び出しのメール貰ったんだけど、もしかして……」

    「秋には私たちのこと伝えてないから……優人のこと好きなんだと思う……恋愛感情で……。見てたらわかるもの」

    『私たちのこと』……?
    お姉ちゃんと優人先輩は付き合ってるってこと?

    何も気付かずに先輩のことを好きになってたことが情けない……!
    涙が止まらなくなって、でも声を出したら気付かれると思い、その場を後にして呼び出しは間違いだとメールを送った。

    「好きって…伝えたかったな」

    きゅん

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  19. 「お前より好きなんだ…ゴメン」

    「紀伊ちゃん、ゴメンね。私も悪いの…」

    放課後になって二人に連れられるように屋上へ来て彼氏だった男と親友だった女に「お互いに好きなの、ゴメンね」といきなり言われ、軽い謝罪と共に消えていった二人。

    「私……何も言ってないし、自分達に酔ってんじゃねえっていうのよ……」

    彼氏だった男にも苛立つし親友だった女には呆れもするし裏切られたことに悲しくもなる。

    「普通は泣くとかする……よね」

    ボケぇ~っと暗くなる空を見つめていると

    「胸貸してやろうか?」

    「……へっ?」

    焦点の合わない顔で振り返れば同じクラスの柏木隆也が屋上の出入口の上から降りてきた。

    「泣きたいんだろ?泣けないのは人の温もりが無いからだよ。俺にすがりついて泣いとけ」

    近づいてグイッと強引に私を抱きしめて囁く。


    「気がすむまで傍にいる…」

    その言葉に自然と涙が溢れた。

    きゅん

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  20. 「お前の好きな人って誰?」

    「はっ?」

    普通に授業も終わって帰る支度をしている時に突然聞かれたので、何も考えずに変な声を出す。

    「いるのかいないのか、どっち?」

    「…何でそんなこと皆がいる前で言うの?」

    公開処刑ということか?梁川になんかしたかな??

    「いいからどっちだよ?」

    それにしてもしつこくないか?
    何となくクラスの皆もざわめきつつも見守ってるし。

    「……ぃ…ない」

    「聞こえないけど?もう一度!」

    私の怒りが頂点に達して勢いのままに叫ぶ。

    「いないって言ってるでしょ!?」

    私の言葉にニッコリと笑った梁川が私との距離を縮めて触れるか触れないか解らないぐらいのキスをしてきた。

    「じゃあ、今日から俺と付き合ってよ。“恋人”になってな?」

    「……仕方ないわね」

    可愛くない私の返事を蕩けるようなキスで塞いだ。

    周りは大騒ぎしていて顔を見合せて笑った。

    きゅん

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  21. いつもと違う。
    凄く可愛く「先輩!」って笑う碧くんしか私は知らなくて。こんなに真剣な顔は初めて見た。

    鋭い目で相手を見ながらボールを追いかける。
    いつもの碧くんとのギャップに胸がドキドキする。

    「先輩っ!観ててくれましたか?」

    息を弾ませながらいつもの笑顔で駆けてくる碧くん。練習試合は終わったみたい。

    「うん、観てたよ!」

    「嬉しいですっ!先輩が居ると思って頑張りましたよ」

    本当に可愛いんだから、碧くんは(萌)

    「あの……見直してくれましたか?」

    顔を赤くしながら俯きながら私に聞く。
    焦らしてみようか?

    「うーん、どうかなぁ?」

    横を向いてチラリと視線を寄越せば少し泣きそうになっている碧くんの顔が見える。

    「見直したというか……惚れ直した!…かな?」

    私が笑って言えば碧くんがきつく私を抱き締めて

    「先輩、大好きです!」

    そっと碧くんの背中に腕を回した。

    きゅん

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