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  2. 「見せたいものがある。来て」


    ぐいぐいと私の手を引く幼なじみと、


    「今日は花火大会があるんだって! 行こうよ」


    キラキラな笑顔を向けるクラスメートと、
    それに挟まれた私。
    ……なぜこうなった?


    「早く。始まっちゃうでしょ」
    「いや……。まだ行くなんて言ってない」


    「オレも誘ってる! ねえ、オレと行かない?」
    「え、ちょっと待って……」


    まず、幼なじみはどこに連れて行く気なのか……。


    「……俺と見た方があんたも楽しいだろ」
    「結局花火大会なんだね?」


    頷く幼なじみとクラスメートを見やる。
    ……どっちについて行こうか。
    この際、三人でなんて言い出せないし。


    「オレ、絶対最高の思い出にするから!
     キレイな花火を、その……。大好きな君と見たいんだ」


    「あんたは俺のものだろ。だから俺と行くんだ。
     他の男となんて、行かせないから」

    きゅん

    9

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  3. 「なあなあ、君ヒマだろ? オレらと遊ぼうぜ」


    人生初。
    ナンパと呼ばれるものに遭遇した。


    約束してる私の幼なじみは来ないし。
    いや、二十分前に来た私がいけないか。


    「嫌がんねえな。じゃ、行こうぜ」
    「はい? ……あ、すみません。待ち合わせしてるので」

    「はあ? バックレたんじゃねえ?」
    「まさか」

    「悪い男に騙されてるだけだって」



    悪い男は貴方の方でしょう……。
    ナンパ相手に呆れてしまった、そのとき。


    「貴様ら、その女に何をしている」


    疑問符をつけない疑問文。……私の待ち人だ。


    「な、何だよ。横から入ってくんじゃねえ!」

    「はっ。俺達の約束に横から入ってきたのは貴様であろう? その女は俺のものだ。さっさと失せろ」


    慌ててナンパ男が去る。


    「……ありがとう」
    「構わん。それよりも今の言葉、聞き逃したなど言わせぬぞ。お前は俺の女だ。拒否など許さぬぞ」

    きゅん

    5

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  4. 「けっこんってなに?」

    「んー……。大好きな人と、ずーっと一緒にいようって約束することかな」

    「じゃあわたし、お兄ちゃんとけっこんする!」

    「俺? 近所に住んでる、公園で遊んでくれるお兄ちゃんだよ?」

    「お兄ちゃんがいい! お兄ちゃんとけっこんするの!」

    「……そっか。楽しみだな、十年後!」



    読み終えた本を棚に返す。
    自分の記憶と本の内容がリンクして、デジャヴに襲われる。


    ……お兄ちゃん、か。


    懐かしい。
    もう十数年は会ってない。


    無知だった私とした、あの約束。
    ……お兄ちゃんは、まだ憶えてるのかな?


    「十年後が楽しみ……って、もう過ぎたし」

    「……っていっても、まだお前は結婚出来る歳じゃないな」

    「……え」


    後ろから聞こえた声。


    「探すのに一苦労したんだぞ。
     お前がこんなレベル高い高校行ってると思わなくてさ。
     ……楽しみだな、次の誕生日」

    きゅん

    63

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  5. ふと目に入った。
    肩につく位の黒い髪、伏せられたまつげに少し隠された瞳。
    本を持つ手は白く。


    一目惚れ。


    そんな言葉が頭をよぎる。
    この俺が、そのようなことを……?


    「終点、麻糸__」


    気づいたときには、降りる筈だった駅を逃していた。
    仕方ない、一駅分程度問題無い。


    ……そして、先ほどの女性は。
    無意識に見渡すと、文庫本に栞を挟む姿があった。


    ……声を聴いてみたい。


    恋など無縁な俺が、こんなにも焦がれている。
    その事実に、俺自身が驚いていた……。



    改札を抜け、駅前についたところで待つ。
    こんなところで待って、一体どう話しかけるか……。


    ……いた。
    きょろきょろと辺りを見回している。
    一瞬、目が合った気がした。


    「ああ、見つけた。ごめん、待たせたね」


    凛とした、落ち着いた声。
    その声は俺とは違う一人の男に向けられていた……。

    きゅん

    5

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  6. 「帰って良いですか?」

    「なんでだよ」

    「ここに連れてこられてから、何もしてないですから。
     それに、もう真っ暗です」


    屋上のフェンスにもたれかかって私を鋭く見下ろしているのは、不良集団のリーダー。


    「……てめえ、やっぱ変わってるな。オレと普通に喋りやがる」

    「いきなり殴ってきたりはしないでしょう、先輩は」


    売られたケンカは買う。でも売りはしない。
    それがこの人。


    「……へえ。けど、いきなり襲ってきたりはするかもしれないぜ?」

    「それなら人を選ぶ筈です。綺麗な人とか、可愛い人とか」

    「見た目いい奴は全員ナシだ。……てめえの反応を見てえな」


    腕を引かれて、背中にフェンスが当たる。目前には先輩の顔。


    「っ……」

    「顔真っ赤だぜ? 顔良い奴らはそんな反応しねえ。
     ……お前のやってること、オレはいつも見てた。
     度胸のある奴は嫌いじゃねえ。意味、分かるよな?」

    きゅん

    15

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  7. いつもの交差点。いつもの朝。
    そして……。


    「やあ。珍しい朝だね?」


    ……非日常な人。
    私の隣を悠々と歩いているのは、学校のアイドル的存在な先輩。
    何を考えてるのか分からない微笑をたたえる、不思議な人。


    「ふふ……、僕が隣にいるのがそんなに嫌?」

    「嫌です。目立ちますから」

    「おやおや。もう慣れたと思ったのに」


    にこにこと笑う成績優秀者は、何の前触れも無く私の手を引っ張った。


    「……何のつもりですか」

    「ふふ……、良いでしょ? こんな朝も」


    背中から先輩の熱が伝わってきて、思わず視線が下に向けられる。


    「照れてるかな……? 可愛い僕の恋人さんは」

    「……遅刻しますよ」

    「平気だよ。生徒会に知り合いがいるからね。……ねえ、こっちを向いて?」

    「……嫌です、恥ずかしい」

    「恥ずかしがってる君が見たい。目を逸らす君もね」



    ……ねえ、僕の方を向いて?

    きゅん

    14

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