ケータイ小説 野いちご > 野いちご学園

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  2. 同じクラスの男子からチョコを貰った。

    義理だからって何度も念を押された。

    「これ、どうしたらいいのでしょう」

    「知らねえよ、俺に聞くな」

    部活終わり、先輩を呼び止めたら困った顔をされた。

    「だって相談出来るの先輩しかいないんですよ。私友達少ないし…」

    うぅ、と俯くと、先輩が、

    「あー、もう!」

    と、立ち上がって、バッグから何か取り出して戻ってきた。

    「ん、やるよ」

    渡されたのはチョコだった。

    「迷っているなら、同級生から貰ったやつを受け取るか受け取らないかじゃなくて、そいつを選ぶか、俺を選ぶか」

    「えっ」

    「付き合えってこと!言わせんな」

    同じクラスの子よりも真っ赤な先輩は、独り言のように呟く。

    「お前がチョコ貰って言うから焦って告白しちまったじゃねえか。本当はもっとかっこよく言うつもりだったのに」

    そんな先輩が可愛くて、私は先輩の彼女になりたいと思った。

    きゅん

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  3. 入ってない、絶対今年もない!

    そう思いながら、下駄箱を開けた高3のバレンタイン。

    そこにあったのは、薄汚れた上履きと…

    一枚の市販の板チョコ。

    「なんだこれ」

    裏返してみると『好きです』と余白に小さく書かれていた。

    その字の小ささと見覚えに、俺は思わずくすっと笑う。

    「なるほど。ずいぶん可愛いことしてくれんじゃねえか」

    ぼそっと呟くと、その様子を影から見ていたそいつと目を合わす。

    「へへっ、見つけた」

    そいつは目が合うなり逃げた。

    一瞬だけ見えた真っ赤な顔色に確信を覚え、俺は後ろから抱きついてやる。

    「な、何するの…」

    「うるせえ、お前だってこういうことしたくてチョコくれたくせに」

    耳もとで囁くと、そいつの体は小さく震える。

    「なんのこと?」

    「とぼけんな。俺がお前の字を見て気付かねえはずねえだろ、委員長」

    市販の板チョコより、もっと甘い夢見させてやる。

    きゅん

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  4. 「あーあ、早く委員会終わらないかなぁ」

    足をぷらぷらさせて幸せそうに笑う君。

    どうやら、好きなやつに頼み込んで1回だけ一緒に帰ることになったらしい。

    そのまま告白すればよかったのにと思ったが、しなくてよかったとほっとしている最低な俺は、君の隣であいつを待ちながら嘘の笑顔を浮かべるだけ。

    「焦んなくてもあいつは先に帰ったりしねえよ」

    「そうだけどさぁ、楽しみなんだもん」

    またはにかんだ君に胸がチクリと痛む。

    「…俺にすればいいのに」

    呟いた声はあいつからのメールに重なって消えた。

    「終わったみたい。行ってくるね」

    笑顔で駆け出していく君。

    それを笑って送り出してやるだけでよかったのに。

    気づいたら、君の腕を引っ張って、胸に閉じ込めて。

    関係が崩れるのは嫌、もう隣にいられないのも嫌。

    だけど、

    「俺は、ずっとお前がっ…!」

    誰かのものになるなんて、一番嫌なんだ。

    きゅん

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  5. 「今年はきっと最悪な誕生日になっちゃうなぁ…」

    地面に涙を零しながら呟くと、足音が聞こえた。

    「こんなところで何してんの?」

    声から、クラスメートだと気付く。

    「好きな人に告白したけどだめだった…明日が誕生日だからって焦りすぎたのかな」

    誕生日だからこそ好きな人と幸せに過ごしたかったのに。

    「じゃあ、俺にしておけば?」

    「えっ?」

    顔を上げると、君はいつになく真剣な表情を浮かべて、

    「ずっと前から好きだったんだけど」

    と、ぶっきらぼうに言う。

    「で、でも…急に恋人だなんて……」

    「お前がさっきあいつにしてたことと同じだろ」

    うぅ…。

    それを言われれば、何も言い返せない。

    「それに」

    君は、耳で囁くように近付く。

    「俺も明日誕生日だから。誕生日は、好きなやつと過ごしたい」

    付け加えられた言葉に、柄にもなく運命だと思ってしまった自分がいた。

    きゅん

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  6. クールな顔して甘党の君は、いつも学食の新作スイーツを手に入れるのが早い。

    どうやら今月はチョコレートらしく、今も本を読みながらそれを食べている。

    「いいなー、1つちょうだい!」

    そう言って手を伸ばすも、いつものように撃沈。

    でも今日は君が断れない言い訳がある。

    「今日はホワイトデーだよ。私、バレンタインデーにチョコあげたよね?」

    わざとらしく言ってみれば君はチョコをくれると思ったのに、また手を払いのける。

    そして本を閉じた君は、チョコを1つ自分の口に含んで私にキスをした。

    「んっ…」

    甘い味が口の中に広がると、君は口を離してにやりと笑う。

    「なら、こっちの方がホワイトデーっぽいんじゃない?」

    甘いチョコと、甘い言葉。

    そして甘すぎる君に、私はもうとろけていた。

    きゅん

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  7. 2月15日。

    バレンタインから1日過ぎた日のこと、君は柄にもなく恥ずかしそうな表情をして、ある包みを渡してきた。

    「これは?」

    「……あんたにあげる。バレンタインチョコ」

    「バレンタインは昨日だけど?」

    「知ってる。ってか、いちいちそんなこと気にしないで、早く受け取ってよ!」

    顔を真っ赤に染め、ピンク色の包み紙で可愛らしくラッピングされたチョコを無理やり押し付ける。

    その時チラリと見えた手の絆創膏が、なんだか愛おしい。

    「手作りなんだ?」

    「あ、あんたには関係ないでしょ!」

    ぷいっとそっぽを向いてまた歩き出す君を、俺は包み紙を開きながら追いかける。

    一つ一つがいびつで不器用なチョコ。

    「言っとくけど、義理チョコだからね」

    俯きながら呟く、君の精一杯の強がり。

    それがまた可愛くて、気付けば怪我だらけの君の手を、そっと優しく握っていた。

    きゅん

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  8. 「…で、こうなるわけ」

    「なるほど、ありがとうございます」

    誰もいない図書室で、私は同じ図書委員の君に勉強を教えていた。

    「他にも分からないことがあったら何でも聞いてね」

    「…じゃあ1つだけいいですか」

    「もちろん、どうぞ」

    すると君は、真剣な表情で。

    「先輩の好きな人って誰ですか?」

    「へ…!?」

    急な質問に固まってしまう。

    「ずっとずっと先輩を思っても、それだけは分からないんです。だから教えてください」

    まっすぐな言葉に、とろけそうになる。

    そんなの、答えは一つしかないよ。

    「…君が好き」

    恥ずかしかったのに、君はふっと笑う。

    「良かったです、両思いで」

    「えっ」

    どういう意味なのか聞こうとすると。

    「先輩…今の告白の模範解答を教えてあげます」

    君は、甘いキスをくれた。

    これじゃあどっちが先生か分かんないや、と思いながらも私は嬉しくなっていた。

    きゅん

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  9. クリスマスの夜、見事クリぼっちになってしまった私はとりあえずツリーを見に来ていた。

    「あれ、お前も来てたんだ」

    すると幼なじみの声が聞こえ、君も1人だったことになぜか嬉しくなる。

    「そう、ぼっちだけどね」

    「お前って友達いねえもんな」

    「うるさい!」

    いつものように言い合っていれば、君は突然ポケットの中の私の手を握る。

    「ちょっ、何やって…」

    「いや、この方がカップルに見えて気まずくならねえかと思って。お互い1人なんだし、いいだろ?」

    にっと笑う君に、私は指を交じり合わせる。

    「…なら、この方がもっといいんじゃない?」

    自分で言ったくせに恥ずかしくて俯いていると、君はおでこにキスをする。

    「これでどうだ」

    2人して真っ赤になって、張り合って。

    次は何を仕掛けてやろうかと考える、負けず嫌いの私たち。

    たまにはこんなクリスマスも悪くない。

    きゅん

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  10. お気に入りの水玉リボン。

    これを頭に結んで、ポニーテールにしてみた。

    全てはあの先輩のために。

    可愛いって言ってくれるかな。

    ドキドキしながら学校につくと、早速先輩が私に気づいてくれた。

    「おはようございます…先輩」

    「おはよ。てか、何そのリボン」

    興味深そうに触ってくる。

    恥ずかしいけど…なんだか嬉しい。

    「ど、どうですか?似合ってますか?」

    「全然似合ってない」

    「えっ」

    せっかく頑張ったのに。

    ショックでうつむくと、先輩は耳に顔を寄せて。

    「…だけど、2人きりの時はまたつけてきて。お前の可愛い姿を見るのは、俺だけで十分だろ?」

    ぽんと頭に手を乗せて、意地悪く笑う。

    そんな先輩を、私はまた好きになる。

    きゅん

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  11. 「じゃあ明日からは彼女さんと一緒に帰るの?」

    最近恋人が出来た君に尋ねた。

    好きだったクラスメートに告白してOKを貰ったらしく、君は朝から浮かれてる。

    「まあな、部活がある日は別だけど」

    「なんで?待っててもらえばいいじゃん」

    「そういうわけにもいかねえだろ。何かあったら心配だし」

    「ふーん」

    私だったらいつまでも待っているのにな。

    君の部活帰りも、君からの好きも。

    どうして私じゃだめなんだろう。

    「寂しくなるね、隣に君がいなくなるとさ」

    「別にどっか行くわけじゃねえんだから、会いたくなったらいつでも来いよ」

    優しい言葉に、また胸が高鳴る。

    「君には恋人がいるんだから、もう思わせぶりな態度取らないでよね」

    「はあ?なんだそれ」

    なんて馬鹿な君には分からないか。

    「じゃあ私用事があるから、今日はここでね」

    「あ、おう…またな」

    さよならに好きを込めて。

    きゅん

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  12. 女子力の低い私とは違い、君はクールなくせに何でも器用だ。

    今だって、調理実習でペアになったけどほとんど君に任せっぱなし。

    だって、こんなの作れないでしょ!?

    レシピと君の料理を交互に見ながら、私は泣きそうになっていた。

    「ほら、お皿洗ってくれる?」

    「…はーい」

    どうせ私には洗い物しか出来ませんよ。

    お皿を受け取り、流し台へと向かう。

    「…私と君の性別が反対だったらよかったのに」

    「えっ?」

    独り言のつもりだったのに、君には聞こえていたようだ。

    「だって、それなら君はもっとモテるし、私が不器用でも平気じゃん?」

    ため息を吐けば、君が呟く。

    「そういう不器用なところを好きになったのに、それじゃあ意味ないだろ」

    振り返れば、君はまた笑って。

    「続きはそれ洗ってきたら何回でも言ってあげるから」

    その言葉に簡単に喜んでしまう私は、やっぱり乙女なのかもしれない。

    きゅん

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  13. 「はい、1人1個ずつねー」

    クラスメイトが手作りのクッキーを渡して回っている。

    偉いなぁ、なんて思いながらさっき貰ったクッキーを眺めた。

    「私もあの子みたいにお菓子作りが好きな方がよかった?」

    隣の無愛想な君へ尋ねる。

    「別に」

    口では否定するけど、実際のところ君も貰っていたクッキーを美味しそうにほおばっている。

    「お菓子作りは嫌いっていうわけじゃないけど、苦手なんだよね。見た目も味もいまひとつで、そんなの食べさせるわけにもいかないし」

    はあ、とため息を吐けば、君は突然甘い口付けをくれた。

    「お菓子がないならいたずらでいい。むしろ俺はこっちの方が好きだから」

    余裕の笑みを見せる君に、私は顔を赤く染めることしかできなかった。

    きゅん

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  14. ハロウィンの時期にちなんでファンタジー系の劇をしていた演劇部の君。

    さっきはあんなにも迫力のある演技をしていたのに、今はむすっと膨れている。

    「ど、どうしたの?」

    「だってー、皆俺のこと可愛い可愛いばっかりで嫌になっちゃったんだもん!」

    なるほど、それで機嫌を損ねていたってわけか。

    「でも、もともと可愛い君がそんな格好していたらますます天使にしか見えないし、可愛いって言われるのも仕方ないっていうか」

    私が言うと君はさらに口を膨らませる。

    「だったら先輩は俺のことどう思ってるんですか?」

    「そりゃあ可愛…」

    「それ以外で」

    言いかけた途中で君は言葉を切る。

    可愛い以外なんて思い付かないよ。

    じゃあ…

    「好き?」

    疑問形で答えると君は顔を真っ赤にした。

    合ってたのかな。

    「それは反則ですって、先輩…」

    そして君は優しく唇を塞ぐ。

    「俺も好きですから」

    きゅん

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  15. 「さて帰るか」

    「うん」

    いつものように幼なじみと並んで歩く。

    お互い恋人がいないから一緒に帰るのが日課。

    「明日は委員会で一緒に帰れないかも」

    「そうなんだ」

    俺が言うと君は残念そうにうつむく。

    だけど1人で帰らせるのは少し心配。

    「代わりにあいつと帰るか?」

    あいつとは俺の親友で君の好きな人。

    「ううん、大丈夫。私1人でも帰れるから。それに…」

    「それに?」

    「彼といると、ドキドキしてそれどころじゃなくなっちゃう気がするから」

    顔を赤らめて、もじもじと告げる。

    やっぱり俺といてもドキドキはしないのか。

    分かっていたはずなのにもどかしい。

    だったら…

    俺は君の手を取って壁に押し付ける。

    「やっぱり明日は俺と帰れ。明後日もその次も、お前が俺を好きになるまでずっとそばにいてやる」

    君が誰を好きだって、俺は絶対に諦めないから。

    そのくらい好きなんだよ。

    きゅん

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  16. 「もうすっかり夜だね」

    「そうですね、結構遅い時間ですし」

    委員会終わり、後輩の君と駅まで歩く。

    委員会だけならよかったものの、その後まさか先生に頼み事をされるとは。

    そうじゃなきゃ私だけで帰れたのに『女の子がこんな時間に1人で帰ったら危ないですよ』って君はわざわざ一緒に帰ってくれる。

    こんな私で大丈夫なのかな、彼女とかいないのかな。

    私はそのことばかり考えていた。


    何分か経ち、駅に着く。

    ここから君と別方向。

    「君は確か上り線だったよね。私は下りだから、ここでお別れだね」

    「…はい」

    「じゃあまた明日、ばいばい」

    手を振って改札口へと向かう。

    瞬間、後ろから抱きつかれたような感覚がした。

    「えっ、ちょっ…どうしたの!?」

    振り返ると君は寂しそうな顔で。

    「さよならなんて言いたくないです。今日は帰したくありません…!」

    私は不覚にもどきっとしてしまった。

    きゅん

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  17. 今日の朝のこと。

    昨日少し進路のことで悩んでいて、八つ当たりしてしまった同級生とばったり会った。

    怒ってる、よね…?

    目の前の君は、まだ私には気づいていない様子。

    だから思い切って声をかけることにした。

    「あのっ…!昨日はごめんなさい!」

    「えっ?ああ、誰かと思ったら君か。まぁ全然気にしていないからそんなに謝らないでよ」

    だけど、悪いのは100%私だし、むしろ君は一生懸命なだめてくれていたのに。

    「本当、ごめん」

    「だからいいって」

    「でも、嫌いになっちゃったかと思って心配で…」

    思わずうつむくと、君は私の頭に手のひらをぽんと乗せた。

    「このくらいで嫌いになるはずないだろ。俺はずっと君が好きだったんだから」

    な、と笑って、いつの間にか出ていた涙を拭う君。

    それに応えるように、私も笑顔で返したのだった。

    きゅん

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  18. 「はあ」

    君はまたため息を吐く。

    どうやら友だちに恋人ができたらしい。

    私だけ取り残された、とずっと浮かない様子。

    すると近くに自動販売機を見つけた。

    気分転換に何か飲み物でも買ってやるか。

    「ほら、何が欲しい?」

    「…恋人」

    「はいはい、オレンジジュースな」

    出てきた缶ジュースを君のほっぺたに擦り付ける。

    「もう、冷たいってば!」

    「あ、いつものお前に戻った」

    俺も自分の分を買って、隣で一緒に飲み干す。

    「まさかあの子が私より先に彼氏ができるなんて思ってなかったよ」

    またその話か。

    「なんでそんなに彼氏が欲しいわけ?」

    「私だって青春を満喫したいもん。恋人じゃないと出来ないことだってあるでしょ?」

    「例えば?」

    「放課後一緒に帰ったり、休日に出かけたり…」

    「ふーん」

    なら、俺に言ってくれればいいのに。

    「俺は今、恋人募集中だから。お前限定でな」

    きゅん

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  19. 図書館でよく見かける人。

    それが第一印象だった。

    君が好む本のジャンルが俺と同じだと気づき、仲良くなった。

    「この本読みました?最後素敵な結末を迎えるんですよ」

    「へえ、面白そうですね」

    互いに人見知りのため、なかなか敬語が抜けない。

    でも、君はある図書館司書とだけは楽しそうにタメ口で話す。

    きっと彼が好きなんだろうな。

    気づくと同時に、胸がモヤモヤして、君のもとへ向かっていた。

    「それでね…」

    「待ってください!」

    驚く君と、隣の彼。

    彼と違って、俺はまだ子供だ。

    だからこんな馬鹿みたいな方法しか出来ないけど。

    「俺は彼女が好きです。あなたに負けないくらい、幸せにする自信があります!」

    真っ赤になる俺に、君は冷静に、そして無邪気に笑う。

    「この人は私の兄です」

    「は…!?」

    「でも嬉しいです。幸せにしてね」

    それは、初めてタメ口で話した瞬間だった。

    きゅん

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  20. 「あ」

    「どうも」

    帰り道、知り合いに会った。

    兄の友人であり、私の好きな人。

    この間彼女さんと別れたらしいけど、それを知らずに告白してしまった私は、本当に空気が読めない。

    「兄がいつもお世話になっております」

    「そんな固くなんないでよ。あのこと気にしてるの?」

    「まあ…」

    理由さえ知らないけれど、まだ傷が癒えていないときに言ってしまうなんて、タイミングを間違えたとしか言いようがない。

    「気にしないでよ、俺はすごく嬉しかった。まだ俺にも好きでいてくれる人がいるって思えたから」

    「それはよかったです」

    たとえ恋が実らなくても貴重な言葉をもらえただけで充分に満足。

    「ありがとうございます、では私はこれで」

    「待って」

    君は真剣な表情で呼び止める。

    「辛いときいつも側にいてくれてありがとう。あなたが好きです」

    私は嬉しくて何も言えなくなってしまったのだった。

    きゅん

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  21. 蝉の音がうるさい。

    まったく、夏休みなのにどうして学校に来なくちゃいけないんだ。

    「お前もそう思うだろ?」

    「別に」

    一緒に課外授業を受けた真面目な優等生の君。

    いくら自由参加だからと言って、俺と君の2人だけだとはさすがに思わなかった。

    「嫌なら来なければよかったじゃない」

    「俺は馬鹿だから強制に受けさせられたんだよ」

    だけど、本当は君に会えるのをずっと楽しみにしてた。

    暑くてだるいけど、少しだけ来て良かったと思う。

    「つーか、あの先生の授業めっちゃ分かりづらい。何言ってるか全然分かんねぇし」

    「そう?私はこの学校の先生の中で1番好きだけど」

    なにそれ。

    先生が男なだけあって、なんかむかつく。

    「このあと時間ある?」

    「…あるけど」

    じゃあ俺が恋の授業してやるよ。

    あんなおっさんよりも好きだって言わせる自信があるから。

    きゅん

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