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  2. --ドンッ、という大きな音と共にドアが倒れていく。そして現れたのは長身で端正な顔立ちの男。



    「‥‥こんなところにお姫サマ閉じ込めとくなんて、相変わらずイイ趣味してんなぁ」


    --パチ、と男と視線が絡み合う。その男には見覚えがあった。

    暫く見つめ合い、先にそらしたのは男の方。男の視線は私の手首へと移り、怪訝そうに眉をひそめる。



    「‥‥それもアイツの趣味か?」


    男の問いに答えることなく、私は視線を窓の外に向けた。
    --手首の鎖は私が逃げない為。いつしか私は"彼”から逃げることを諦めた。



    --ガシャンッ、
    それは鎖が壊される音。



    「なにして、っ」
    「アイツは来ねぇよ」


    男の言葉に目を見開く。「なんで‥」と漏れた声に彼は笑う。



    「‥‥やっと迎えにこれた」

    差し出された手は傷だらけだ。






    「--‥‥一目惚れだった。これからは俺がお前を守る」

    きゅん

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  3. 「なんで起こしてくれなかったの!?」


    目の前には大量のプリントと気だるそうに座る幼なじみ。



    「起こしたのに起きなかったのはお前だろ」
    「っ、痛い‥‥!」


    そう言ってデコピンをしてくる彼はニヤリと笑う。



    「ヨダレついてんぞ」
    「嘘!?」
    「嘘」
    「ゆーいーとー?」


    むかつく、と呟いた声が彼に聞こえたようで、「さっさと課題終わらせろ」と髪の毛をぐしゃぐしゃにされた。

    全く何するんだこの男は‥‥。



    「‥‥ククッ‥ここ赤くなってんぞ」
    「!それは唯人がデコピンしたからでしょ!?」


    額を隠そうとした手を、彼によってとめられた。そして近付いてくる彼の顔。




    「なにす、っ」

    --チュッ、


    ほんの一瞬、額に何かが触れた。それが彼の唇だと理解した瞬間顔に熱が集まってくるのを感じた。



    「‥‥ほんと可愛い反応してくれるよな」

    彼の指先が私の頬をなでた-‥‥

    きゅん

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  4. 「ち、千景?」
    「‥‥」
    「あの、千景さん?」
    「‥‥」


    屋上のコンクリートの上で不貞寝中の彼。その原因である腹黒眼鏡はいつの間にか屋上からいなくなっていた。


    "君は総長のことどのくらい好きなの?”
    その問いにすぐ答えられなかったんだよね‥‥



    「千景‥あのね、」

    不貞寝している彼の髪をそっとなでる。



    「‥‥千景のこと、言葉に出来ないくらい好きなのは確かで‥‥その、ね‥‥だから千景が口をきいてくれないのは、寂しいの」


    千景のこと大好きよ、と彼に伝える。
    --すると髪をなでていた手を彼に掴まれた。



    「‥‥みかこ、それずるい」

    こちらに顔を向けてきた彼の頬はほんのり赤い。



    「顔を真っ赤にしているみかこを見たら、許したくなっちゃうじゃん」
    「っ」
    「言っておくけど、」


    彼の唇が私の手の甲に押し当てられた。



    「おれの方がみかこのこと大好きなんだから」

    きゅん

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  5. 「湊さん、好きです」
    「‥‥ん」


    誰もいない保健室には彼と私の2人きり。先生も会議があり先程出掛けてしまった。



    「湊さんは不器用だし、意地悪だし‥‥方向音痴だし、」
    「おい、」

    「でも誰よりも強くて、優しくて‥‥仲間のことを一人ひとり大切にしてる湊さんが、大好きです」


    ベッドに横になった体勢から彼を見上げる。



    「‥っ‥‥あー‥‥んだよ」
    「湊さ、っ」


    彼に両手首を押さえつけられ、額に、瞼に、頬に‥‥と次々に口付けを落とされる。
    しかし唇に触れることはなく、その代わりに彼の冷たい指先が唇をなぞっていく。



    「っ、ん‥‥みな、とさ‥?」


    それが何だかもどかしくて彼を見つめる。




    「‥‥お前さ、人が風邪だと思って我慢してれば‥‥煽ってんじゃねぇぞ」


    ここはオアズケだからな、と意地悪そうに笑う彼からもどかしくも甘い口付けが再び落とされていった--‥‥

    きゅん

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  6. 「こんなところにいるとは‥‥見つからないはずですよね」


    生徒会室の奥に設けられているソファーで彼女は眠っていた。

    眼鏡も外し、いつもきっちり結っている髪もおろしている。
    その姿からは"あの”生徒会長とは想像がつかない。



    「‥‥無防備、ですよねぇ」


    俺の秘密を知った彼女は、それを周りにバラすこともなければ、俺に対しての態度を変えることもなかった。

    そのおかげもあって学校では"真面目な副会長”としていられるわけだ。




    「んん‥‥ん‥」

    少し苦しげな彼女を見て‥‥溜息をつき、そっと彼女のネクタイへと手を伸ばした。そして少し緩めるとその表情は安らいだ。



    「‥‥ほんと、いい加減にしてくれ」


    周りに誰もいないことで素が出る。

    この気持ちに気付かないフリはもう出来ないだろう。




    「--‥‥早く俺の女になれよ‥‥」


    持ち上げたネクタイにそっと口付けた。

    きゅん

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  7. 「-‥やっと、捕まえた」


    後ろは壁、目の前には見覚えのある男。

    確か‥‥いつも通り帰ろうとしたら、笑顔の腹黒眼鏡が教室前で待ち伏せしていて‥‥逃げきった屋上に彼がいた。

    そう‥‥先日ケガの手当をした彼だ。



    「あの、何か‥‥?」

    やっと捕まえた、ってことはずっと私のことを探していたの?
    ふと見上げた彼の顔にはまだ傷が残っていた。



    「ケガ、大丈夫でしたか?」
    「っ、大丈夫」


    そういえば手当てした時、彼にすごい怒った気がする‥‥。



    「あ、あの時はすみません!私すごい説教みたいに‥‥っ」
    「ん、別にいい」


    謝罪の言葉を口にすれば、彼の人差し指が私の唇に押し当てられた。



    「ねぇ、」

    --おれは、あんたが欲しい。



    口角を上げる彼は、まるで宣戦布告をするようだ。




    「--‥‥だから覚悟してね、みかこ」

    おれに愛される覚悟をね、と彼は不敵に笑った。

    きゅん

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  8. 「"今日はテストが‥‥”って何だかありきたりだね」


    そう言って彼は黒縁眼鏡を掛け直した。それも笑顔のオプション付きで。
    喧嘩売りにきたならささっと帰れ、そんな意味も含めて睨むけど彼は気にしていない。



    「ていうか、距離近すぎ」
    「別にいいでしょ」
    「良くない」


    こんな場面見られたら彼のファンが黙っていないはずだ。

    席が隣同士だから日直を一緒にするのは仕方ない。でもさ、昨日席替えしたよね?隣だった山村君が朝になったら彼になってたんだけど?ん?



    「で、いつになったら君は俺の名前を呼んでくれるの?」
    「‥‥‥‥総長サマ?」
    「怒るよ」


    両手で頬をつまんでくる彼は笑顔なのに目が据わっていた。




    「-‥‥呼んでよ。君の声が聞きたい」
    「っ、」


    途端甘くなる彼の声に、私は白旗をあげる。




    「‥‥悠、君」
    「ん。上出来」


    ご褒美と、彼の優しい口付けが私の幸せ。

    きゅん

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  9. 「どうせ私のことなんて、好きじゃないんでしょ」

    そんなこと言っては後悔して、自分でも本当に可愛くないと思う。私を迎えにきたという幼なじみは、その言葉を聞いて眉間にシワを寄せた。


    「送り迎えはもういいよ」


    昔から体調を崩しやすい私の傍にはずっと彼がいた。でも‥‥



    "京様のお荷物のくせに”

    でも、それも今日で終わりだ。



    「‥‥今までありがとう。そしてごめんね」


    彼に精一杯の笑みを向けた。
    しかし、それは一瞬にして崩される。



    「‥‥俺の気持ちは無視なんですね」
    「え‥‥っ」

    そっと抱き寄せられ、耳元に落とされる彼の切ない声。



    「幼なじみだから、昔からの付き合いだから‥‥それだけの理由で貴女の傍にいたと思いますか?」
    「っ‥‥きょ、う?」


    ぼやけていく視界には優しい彼の笑み。



    「ずっと好きでした」

    それではダメですか、と額に口付けを落とされた。

    きゅん

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  10. 我らが総長はマイペースでめんどくさがりや。そんな彼から逃げること一時間。


    「みかこ、見つけた」
    「!ちか、ぶっ」

    音楽室の扉が開けられ、彼は「暑い」と言ってブレザーを脱ぎ捨てた。というか顔面にブレザー投げつけてきたんだけど。


    「な、」
    「寒いくせして薄着なんかするな」

    その声はどこか怒っているようで、いつもの甘ったるさはない。



    「なんで逃げたの」
    「え、」
    「みかこ、おれから逃げたじゃん」


    確かに逃げた。千景と目が合った瞬間逃げたよ。だってそれは、



    「千景、女の子に囲まれてたからその、なんか‥‥」


    嫌だった、と小さく零した本音は彼にしっかりと拾われたみたいで。

    腕を引かれ、そこは彼の腕の中。



    「なにそれ、すごい可愛い」
    「っ、」
    「そんなみかこのこと、今から甘やかしたい。いいよね?」
    「えっ、ちょ‥‥っ」



    文字通り甘やかされるのはまた別の話。

    きゅん

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  11. 「みかこ、かわいい」
    「‥‥‥‥‥‥」
    「ねぇ、キスした、」
    「やだ」



    マイペースな我らが総長さまと二人っきりにされ、ついでに彼から膝枕を要求された。

    ‥‥あの腹黒眼鏡‥‥あとで眼鏡割ってやる。



    ---グイ、

    後頭部にまわされた手が、私と彼の距離を近付ける。




    「な、」
    「他の男のこと考えんな。‥‥むかつく」


    むぅ、と拗ねた表情から幼さを感じて思わずくすりと笑ってしまった。

    ほんと子どもみたい。




    「好き」
    「は、」


    「千景が、好きよ」


    出会いは最悪だったけど、今では彼の隣が一番居心地がいい。




    「‥‥おれ、試されてんの‥‥?」
    「ん?」
    「なんでもない。‥‥はぁ、もう‥‥」


    2人の距離が0になる。






    「--‥‥これ以上好きにさせないでよ、ばか」


    照れてそっぽを向く彼は、耳まで真っ赤だった。

    きゅん

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  12. 「‥‥これって、雷に怯える女子の特権なんだと思ってた」


    思ったままのことを口にすれば、後ろから抱きしめてくる幼なじみは「はぁ?」と何とも怪訝そうな感じだ。



    「なに言ってんだ、お前」


    爽やかな見た目に反して、相変わらず口が悪い。
    これでいて校内で付き合いたい男No.1なんて信じがたい話しだ。



    「‥‥ほら、アンタを待っている女の子はいっぱいいるよ?」


    窓から見える外は土砂降りの雨。



    「‥‥行かないの?」


    時折外から聞こえてくる雷の音に保健室へと逃げてきたのはさっきのこと。

    まさか彼がいるとは思ってなかったけど。




    「行くわけねぇだろ。‥‥怖いなら素直に頼れよ、ばぁか」


    思い出すのは昔のこと、



    『おれが、お前をまもるから‥‥!』


    昔から変わらない、私のヒーロー。



    「だーいすき」
    「‥‥るせぇ」


    照れた顔を見られるの私だけの特権だ。

    きゅん

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  13. 「っ、痛いっつーの!」
    「うるさい。静かに。はうす」
    「おれは犬じゃねぇ‥‥!」

    椅子に座って騒ぐ幼なじみの傷口に、消毒液の染み込んだ布を押し当てた。そうしたら声にならない声で呻いていたけど。


    「なんだよ?」
    「‥別に」


    体育祭なのに制服姿の彼。

    何でもコスプレの競技に出たらしく、きっちりネクタイをしめて眼鏡まで掛けていた。

    いつもと違う雰囲気の彼に、少しドキドキしてしまう。



    「‥‥なぁ、次のリレーさ、アンカーなんだけど」
    「そう。頑張って」
    「おう!‥‥って、そうじゃねぇよ!」


    グイッと腕を引かれ、私の身体はすっぽりと彼に包まれてしまった。



    「な、ななな」
    「あー‥‥やっぱ、落ち着く」
    「ちょ、何するの!?」
    「は?緊張してんの?」
    「し、してないから」


    ククッと笑い、彼は私の耳元で囁く。



    「なぁ、」



    "もし、1位とったら、おれと付き合って”

    きゅん

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  14. 「幸人くんケガしたの!?」
    「ふぁい‥‥?」


    図書室の扉が勢いよく開かれる。思わず口にくわえていたパンを落とす。

    先輩と目が合うと、彼女は無言で近寄ってきた。


    「先ぱ、」
    「‥‥図書室は飲食?」
    「禁止、デス」


    パンを取り上げられました。



    「‥‥ケガは?」
    「ケガ?‥ぁ、」


    これのことですか、と先輩に人差し指を見せる。

    さっきプリントで切ったんだよね。



    「橋本さんから聞いたんですか?きっと大袈裟に話したんでしょ」


    困ったように笑えば、先輩は眼鏡を掛け直して横を向いた。



    「‥‥幸人くんが、」
    「オレ?」
    「幸人くんがケガしたって聞いて‥‥ケガをした理由も聞かずに、走ってきたから、その、」
    「っ」

    だから、いつも綺麗にまとまっている髪の毛が乱れているのか。




    「‥‥先輩、抱きしめていい?」


    返事なんて聞かずに、オレは可愛い先輩を抱きしめた。

    きゅん

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  15. 「そろそろ授業始まるぞ」

    個室のカーテンを開けば、そこにはすやすやと眠る幼なじみの姿があった。


    「ん~‥‥もう、食べれ‥‥ない」

    「‥‥色気のねぇ寝言だな」


    高校3年生にもなれば恋愛にでも興味を持つかと思えば‥‥相変わらず色気より食い気だ。


    「おい、本当にそろそろ起きろ」


    軽く身体を揺らすと、ゆっくりと瞼が持ち上がった。


    「‥‥りゅ、うちゃん?」
    「やっと起きたか、」


    彼女の右手が、おれの左手を掴んだ。



    「琉ちゃん、すき‥‥ぃ」

    「っ、」


    ふにゃりと笑う彼女。

    掴まれた手を解くことも、また眠りについた彼女を起こすことも出来なかった。



    「‥‥‥‥不意打ちかよ、ちくしょう」


    --彼女の不意打ちにやられたのは、言うまでもない。



    (「もう!何で起こしてくれなかったの!?」)
    (「うるせぇ‥‥それより卒業したら覚悟しとけよ」)
    (「はい?」)

    きゅん

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  16. 「もしかして佑真と帰りたかった?」

    隣を歩く彼は生徒会副会長の岬先輩。リアル王子様と称されるだけあって、いつも柔らかい笑みを浮かべている。


    「え、会長ですか?」
    「うん。よく佑真と楽しそうに話をしているし‥‥」

    それに対して俺といる時は顔がこわばってるよ、と彼は苦笑する。


    「え、そうなんですか!?」
    「うん、大抵ね」


    それは好きな人と話す時は緊張するし、佑真先輩には‥‥岬先輩についての相談をしているだけだ。


    「あの、ですね‥‥岬先輩」
    「ん?」
    「先輩と話す時は緊張すると言いますか‥‥」
    「緊張‥‥じゃあ、やっぱり一緒に帰らない方が‥‥」
    「そ、そうじゃなくて!」


    私がその場にとまると、隣を歩いていた先輩も足をとめた。


    「岬先輩のことが好きだから、緊張するんです」
    「‥‥っ、」
    「え、」


    彼は耳まで赤く染めた顔をそらした。




    「なにそれ‥‥俺と一緒だ」

    きゅん

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  17. 幼なじみとの帰り道。私達は小さな公園に足を踏み入れた。


    「そういえば四つ葉のクローバー探ししたよね」
    「そうそう!どっちが早く見つけられるかってな」

    久しぶりにやるか、と笑う彼に「いいよ」と私も笑い返した。


    「負けないからね!」
    「まぁ、せいぜい頑張りな?」
    「なんだと!?」

    絶対負けない、とクローバーに手を伸ばし探し始める。

    でもそう簡単に見つかるわけもなく‥‥


    「‥‥なぁ、」
    「んー?」

    お互いにクローバーを探していると、彼が口を開いた。


    「あの約束、覚えてるか?」
    「約、束?」
    「ん。まだ有効かなぁ、と」


    そう言って彼から差し出されたのは、四つ葉のクローバー。



    「小さい頃にも、お前に渡したよな」


    頬を赤らめて、それでも彼は真っ直ぐ私を見つめる。



    "お、大きくなったら、ぼくと結婚してください”


    --‥‥四つ葉のクローバーの意味は、約束。

    きゅん

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  18. 「せーんぱい」
    「!純(ジュン)くん‥‥?」
    「ぷっ‥‥先輩、変な顔!」


    お昼休みに突然現れた後輩に目を丸くすると、そんな私を見て彼はケタケタと笑っている。

    周りが騒がしいこともあり、彼の登場に気にする人はいない。


    「誰が変な顔だって?」
    「いたたたた‥‥っ、痛いですって!」


    軽く頬を引っ張れば、彼は涙目になっていた。

    全く、自業自得でしょうが。



    「というか、私に何か用事でも?」

    「ぁ‥‥そう、これこれ!今度ある合宿の参加者リスト持ってきたんです」

    「ん、ありがとう。でもこれ先生に渡した方が早くない?」


    わざわざマネージャーの私じゃなくても、と視線を彼へと向ける。




    「オレが先輩に会いたかった‥‥なんて口実はダメですか?」

    そう言って頭をぽんぽんとなでるのは、ズルイと思う-‥‥


    (先輩、照れてます?)
    (‥‥照れてない)
    (可愛いなぁ、もう)

    きゅん

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  19. 「ファーストキスは、イチゴ味がいいなぁ」


    そんなことを不意に呟けば、前の席に座っている幼なじみは「はぁ?」と顔を顰める。



    「変なこと言ってないで、早くプリント解いて」
    「痛っ‥‥!」


    彼から容赦ないデコピンをくらう。

    ヒリヒリする額を摩っていれば、そんな私に気にすることなく彼はポケットから飴を取り出し口の中に入れていた。

    ‥‥ホント、飴好きだよね。



    「レモン味って聞いたことあるけど、酸っぱいのより甘いがいいなーと」

    「‥‥‥‥‥‥、」

    「だったらイチゴ味かな、うん」

    「‥‥‥‥‥‥、」

    「それで、っ」



    --クイッと、彼に顎を持ち上げられる。


    次の瞬間、唇には柔らかいものが押し付けれ‥‥同時に甘い香りがした。




    「--‥‥ファーストキスはイチゴ味、なんでしょ?」


    彼は笑う。

    私のファーストキスは、彼の好きなイチゴ飴の味がした--‥‥

    きゅん

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  20. 「‥‥ふぅ」


    降ってきた雨が、お気に入りの水玉柄の傘に当たっては地面に落ちてゆく。

    いつもと変わらない帰り道。

    雨というだけで、何故か気分が沈みそうになる。


    --パシャパシャ、と誰かの足音が聞こえてきた。



    「あ~っ、助かった!」
    「ユキ!?」


    後ろを振り向く前に、いきなり傘の中に入ってきた幼なじみに驚いた。



    「お願い!一緒に帰らせて?」
    「別にいいけど、」
    「やった!」


    お願いも何も傘に入ってきた時点で、私の傘はユキに奪われていた。

    それにさり気なく自分は道路側を歩いている。



    「ん?どうした?」
    「いやー‥‥」

    雨も滴るいい男とはコイツのことではないか。濡れた髪の毛をかきあげる姿は絵になっている。


    「雨って嫌だぁと」

    やみそうにない雨。
    誤魔化すように呟けば、彼は「そうかな」と笑う。




    「おれは、お前とこうやって帰れるから好きだけど」

    きゅん

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  21. --前世の記憶、それは叶わない恋だった。

    幼なじみとの突然の別れ。
    告白もせずに散っていった恋心。


    だから生まれ変わったら、貴方に会いたいと願った。




    「--会いたかった、ミヒロ」


    そう言うと彼は目を見開いた。

    あれから時が過ぎ、彼は先生になっていた。


    ごめんね、うまく笑えてないかも。ねぇ、私笑えてるかな?



    「--‥‥君を、探していた 」


    私より先に大人になってしまった貴方は、大人になっても泣き虫で。

    寝転んでいる彼の横に座り、ボロボロと零れ落ちていく涙を拭ってあげた。



    「みっちゃんの泣き虫さん」
    「っ‥‥泣き虫でも、構わない」


    起き上がった彼に抱きしめられる。



    「もう、離さない」
    「うん、離さないで」



    「--‥‥君が、好きだ」

    やっと伝えることが出来た、と彼はまた泣きそうになる。

    そんな彼に私は笑った。



    "私も好き”と。

    きゅん

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