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  2. 「どうしてこんなところにいるのかな?」

    目の前の彼は笑顔なのに、目が笑っていない。「オープンキャンパスだから」「ふぅん?」と素っ気ない返事。だいたいこんなに広いのだから会わないと思っていたのに、

    「一人で?」
    「それが友達とはぐれて…」

    その言葉に彼は深い溜息。貴方の愛しい彼女が迷子になってたんだぞ。溜息ってなんだ。


    「あのさ、」
    『立花?何してんの?』

    彼の声が遮られた。友人だろうか、彼の名前を呼ぶ声がした。咄嗟に彼によって抱きすくめられたので確かめようがない。私が腕の中から出ようとすれば、耳元に彼の声が落ちてきた。



    「…愛しい彼女と密会中。邪魔するなよ?」
    「なに、んっ」

    唇を塞がれながら聞こえてきたのは、遠く離れていく足音。


    「…顔真っ赤だよ」
    「っ、誰のせいだと」
    「俺のせい、でしょ?」

    彼は口角を上げて笑う、
    「ほんとかーわい」と再び唇を奪われる5秒前。

    きゅん

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  3. 「それで君は何をしに来たのかな?」


    目の前でニコリと笑う彼、後ろは壁。そして逃げられないよう…所謂壁ドン。幼馴染のせいで彼と出会い、彼から逃げ回る日常。



    「アイツならいないよ?」


    有名な暴走族の副総長、イケメン、温厚…と噂の彼。絶対性格捻くれてるよね、とか思いつつどうしてこうなったかを振り返る。確か私は幼馴染にお弁当を届けにきたはずなんだよね…指定された先が屋上で、何故かそこにいたのは副総長の彼。




    「……もしかして、仕組まれた?」
    「へぇ…意外と頭の回転は早いんだね」


    しかも当たりかよ…アイツ、次に会ったらはっ倒す。



    「…ひとつ、聞きたいことがあってね」
    「聞きたいこと?」


    眉をひそめ、何を聞かれるのかと警戒していた私に落とされた言葉は、





    「…ねぇ、どうしたら俺のこと好きになってくれるの?」

    ちょっと捻くれ者の彼は、そう言って寂しげに笑った。

    きゅん

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  4. 「うぅ…最悪だー」

    学校に着いて一番先に会ったのは大好きな先輩だった。まさか次の瞬間には脇に抱えられ保健室に運び込まれるとは思っていなかったけど…


    「私、初めてはお姫様抱っこが良かったです…!」
    「あっそ…とりあえず寝ろ」
    「ぶ…っ」

    王子様な見た目に反して、ぶっきらぼうな先輩。でもそんな先輩が優しいのはちゃんと知っている。



    「掛け布団は投げないでください!」
    「知らねー」
    「…どうして私の体調が悪いことに気づいたんですか?」


    朝からどこか熱っぽいなとは思ったけど…まさか先輩に見抜かれるとは思わなかった。


    「そんなの…なんでもねぇよ」
    「え、ちょ、気にな、」
    「ね、て、ろ」

    強引に布団をかぶせられ、


    「っ、先輩…?」


    布団から出て彼を見上げようとすれば、片手で視界を塞がれた。そして額に落とされたのは彼からの口付け。



    「…続きはそれ治してから…な?」

    きゅん

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  5. 「あ!先輩卒業おめ、っ」


    私の言葉を遮ったのは、返事代わりに投げられた一つのボタン。



    「ちょ、投げないでくださいよ!」
    「じゃあ返せ」
    「そ、それは嫌です」

    両手を慌てて引っ込めた私を見て、先輩が笑った。その笑った顔は出会った時と変わらない…まさかサボり魔の先輩と仲良くなるなんてあの時は思ってもいなかっただろう。



    「何でボタンが欲しいわけ?」
    「っ、何だっていいじゃないですか」


    最後の最後まで可愛くない私はそっぽを向いた。今日で卒業を迎えてしまった彼は、もう会えなくなってしまうのに…好きだなんて素直に言えないままだ。



    「っ」

    じわじわと涙が滲み、明日から会えないんだと実感してしまう。



    「ねぇ、ボタンだけでいいの?」
    「え…っ」



    振り向けば、彼との距離はゼロになった。重なった唇はほんの一瞬。



    「好きなんだけど…俺の気持ちはもらってくれないの?」

    きゅん

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  6. 「げ、」
    「…開口一番がそれか」


    保健室のドアを開けたはずなのに、そこにいたのは先生ではなく苦手な九条先輩。クールでカッコイイと噂の彼、私的には何を考えてるのか分からなくて彼は苦手な部類だ。




    「あの先生は…」
    「先生なら会議だ…ケガしたのか?」


    彼の目線は私の膝へと向かっていた。
    そんなにまじまじ見られると恥ずかしいんですけど。




    「ほら座れ。手当する」
    「でも」
    「座れ」


    …どうやら私に拒否権はないようだ。大人しく椅子に座り、手際のいい先輩から手当てをしてもらった。




    「…あ、ありがとうございました」
    「ん」
    「何かお礼を…」
    「それは必要ない」


    別に礼をもらいたくてしたわけじゃない、と彼は言う。



    「…あぁ、でも」
    「せんぱ、っ」


    頬に柔らかな感触。それが彼の唇だと理解するまで時間がかかった。目の前の彼は笑っている。



    「…ごちそうさま」

    きゅん

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  7. 「…ん?ここ…」
    「やっと気付いたか、」


    目を開けると、端正な顔立ちの男…柊先生の顔が近くに見えたものだから、思わず手が出そうになったのだけど…



    「っ、あっぶねぇな」
    「…だいたい近すぎなの」
    「ククッ…相変わらず気の強い女」


    手を掴まれたあげく笑われてしまった…相変わらず嫌な男。溜息をつき、私は起き上がった。



    「だいたいお前、なんだこの傷」
    「傷も何もただの擦り傷じゃ、っ」
    「ん?…なんだって?」


    彼は傷の一つひとつに口付けを落としていく。



    「っ、なにするのよ!?」
    「嫌だったらこれ以上傷作ってくるんじゃねぇよ、」
    「なっ…だいたい私は貴方が以前総長をしていたチームの元姫で、関わらない方が、っ」




    「…それ以上言ったら、本気で怒るぞ?」


    彼の真っ直ぐな瞳が向けられる。そして不意に抱きしめられた。



    「好きな女が傷つけられて黙ってる男がいるかよ」

    きゅん

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  8. 「先生はなんだかんだ言って甘いですよね」



    放課後の生徒会室。目の前の箱には山盛りのチョコレート。もちろん生徒達から没収されたので、返してほしいのなら交換条件は反省文らしい。




    「?何のことだ?」

    意味が分からないとばかりに、彼は首を傾げる。だってこのチョコレート、結局は返してあげるんだろうなぁ。毎年そうだもの。



    「先生って意外と優しいなぁと」
    「‥‥意外は余計だ」

    お前のチョコも没収だからな、と彼に言われる。没収も何も‥‥



    「私はチョコレート持ってきてませんから」
    「は、」
    「仮にも生徒会長ですしね」


    ぽかんとした表情の先生に私はくすりと笑う。



    「‥‥へぇ?持ってこなかったと、」
    「それは当たりま、っん」



    どうやら彼はそれが気に入らなかったらしい。彼に抱き寄せられ、唇を奪われた。





    「--‥‥その代わり、もっと甘いものをくれるんだよな?」

    きゅん

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  9. 「‥‥甘いのが好きなんて意外だよねぇ」
    「んん?」
    「何でもないよ」


    甘いとは無縁の彼、そんな彼は意外と"甘い物”が好きだ。今もほら、チョコを頬張っている。



    「うまい」
    「‥‥でしょうね」
    「何か怒ってる?」
    「別にー」


    今日はそう、バレンタインデー。でも彼が食べているチョコは私があげたものではない。



    「‥‥言っておくけどさ、」
    「ん?」
    「オレは待ってたわけ」


    お前からのチョコレート、と彼は私を見つめてくる。



    「これ、オレが持参したやつだから」
    「はあぁ!?持参しなくても毎年いっぱいもらってるじゃん」
    「‥‥ハァ」



    溜息をつかれ、彼は呆れ顔。そして彼は私のスクバを指さす。



    「それ、欲しいんだけど」
    「っ、」


    それは彼の為に作ったチョコレート。どうやらラッピングのリボンが見えていたらしい。





    「--‥‥オレが欲しいのは、1つだけだよ」

    きゅん

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  10. 先輩との待ち合わせはいつも図書室。少しだけ待ち合わせ時間に遅れてやって来た私は図書室のドアに手をかけた。



    「大雅先輩いま、っ」


    図書室に足を踏み込んだ瞬間、急に腕を引かれた。は、鼻をぶつけたんだけど。




    「遅い」
    「私は痛いです、大雅先輩」


    彼の腕の中に閉じ込められてしまったことは言うまでもない。頭を上げれば、不機嫌そうな彼と目が合った。



    「‥‥アイツと付き合うわけ?」
    「アイツ‥‥?」
    「ここから校舎裏丸見えなんだよね。‥‥知らなかった?」
    「っ‥‥」


    言葉を詰まらせた私を見て、彼の眉間にシワが寄った。
    私の一方的な想いだと思っていた。でも彼の反応に期待もしてしまうわけで‥‥つまりそれって‥‥、



    「ヤキモチ、ッ」


    塞がれた唇。苦しくて、でも甘くて優しい‥‥彼に全てを委ねた。






    「--‥‥悪いかよ。俺だって好きな女、とられたくねぇの」

    きゅん

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  11. 「雪だるま?」
    「っ、彩人‥‥!」



    幼なじみを待っている間に作った雪だるま。出来上がったのと同時にその待っていた彼がやっと現れたのだ。




    「見て!"彩人雪だるま”作ってみた!」
    「ん‥‥65点」
    「何で!?」


    あまりにもリアルな点数に私は隣に立つ彼を見上げる。悪かったわね、不格好な雪だるまで‥‥!可愛げもなく不貞腐れる私を見て彼は笑った。「そういう意味じゃねぇよ」と彼はその場にしゃがみこむと雪をかき集める。それを丸めて‥‥




    「ほら、忘れてるぞ」

    "お前の雪だるま”と私が作った雪だるまの隣に、ひと回り小さな雪だるまを置いた。




    「‥‥しょうがないから傍にいてあげる」


    それがなんだか嬉しくて、でも素直になれないまま彼の隣にしゃがみこんだ。





    「ん。‥‥ずっと傍にいて」


    重ねられた手は冷たいはずなのに、ふと見た彼の横顔は初めて見る---照れた顔。

    きゅん

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  12. 「離してくだ、」
    「無理」


    いつもの生徒会室。ただいつもと違うのは"彼”だった。生徒会室に入った瞬間に抱きしめられたのだ。それはもうぎゅうぎゅうと。



    「他の役員が帰って、」
    「まだ来ねぇよ。飲み物買いに行かせた」


    ‥‥餌で釣ったのか。そしてアイツらは釣られたのか。そっと溜息をつき、顔を上げた。



    「今日、授業中に何本チョーク折ったんですか?」
    「‥‥‥」
    「らしくもない計算間違えもして‥‥」


    何かあったんですか、と問いかけても口を開かない。クールで近寄りがたいとか言われがちの彼。でも意外と子どもっぽいのは私だけの秘密だ。




    「‥‥告白されたんだろ?」
    「知ってたんだ」


    意外とばかりに目を瞬かせていると、ちょっと不機嫌そうな彼。そういうところ本当に可愛い。




    「私の一番は、先生ですけど」
    「--‥‥そうかよ」


    彼からの甘い口付けは、彼なりの照れ隠し。

    きゅん

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  13. 「っ、ねぇ‥‥これ恥ずかしいんだけど、やめない?」
    「やめない」



    ---私の彼氏は、"甘い”とは無縁の人。そう思っていたんだ、さっきまでは。




    「‥‥あの男に、どこ触られたの?」
    「っ、ひゃ‥‥」


    彼の膝の上に座らせられ、耳元では彼の甘い声。そして右手を持ち上げられたかと思えば、人差し指に口付けを落とされた。




    「手ぇ握られてたよね?」
    「あれ、は不可抗りょ、ん‥‥」



    噛みつくようなキスに、唇を塞がれる。"待って”という私の声も飲みこまれた。



    「‥‥は、ぁ‥‥っ‥」
    「オレが嫉妬しないとでも思った?」
    「ぁ‥‥ッ」


    チクリ、と首筋に一瞬痛みが走る。まさかと思い彼を見上げればそこには極上の笑み。




    「--‥‥キスマーク、消えたらまたつけてあげるから」







    それは初めてみる彼の嫉妬、

    (「なっ‥‥」)
    (「ごめんね、オレ独占欲強いから」)

    きゅん

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  14. 「梨穂先輩、眼鏡は?」


    図書室のドアを開けて、後輩である幸人くんの第一声はこれだ。落として壊してしまいコンタクトに変えたことを伝えれば「ふぅん」と少し不満そうな声。一体どう‥‥え、ちょ、んん?




    「幸人くん‥‥?」
    「こっち見ないでください」


    彼から抱きしめてきたはずなのに、見るなと言われてしまった。えと、それじゃあ‥‥



    「‥‥何してるんですか?」
    「顔を隠してみた」


    両手で顔を隠してみるが、「ほんとやめてください」と彼の声が聞こえてきた。そして彼によって顔を隠している両手が外される。




    「なんでそんなに可愛いことを‥‥」


    オレを試しているんですか、と彼の困った顔。




    「あの、幸人くん、」
    「本当は素顔の梨穂先輩はもっと可愛いから誰にも見せたくないんですが、」



    ちゅ、と唇に軽いリップ音。






    「キス、しやすいから問題ないですね」

    きゅん

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  15. キミは俺のことを好きという。照れた顔も、怒った顔も、笑った顔も‥‥色んな顔を見せてくれるキミ。でもキミの泣き顔だけは見たことがなかった。




    「あの男、誰?」
    「‥‥‥‥」


    俺の質問にキミは黙り。先日見たのは、彼女と知らない男が楽しそうに話しているところだった。

    沈黙が続き、彼女は口を開いた。「先輩は勝手な人です」と。彼女の瞳に溜まっていた涙は、やがてこぼれ落ちていく。

    ---彼女が、泣いた。それに柄にもなく焦る自分がいる。彼女の言った通り俺は勝手な奴だ。彼女の好意を知りながらも、それを素直に受け取れずにいた。




    「ごめん、」

    目の前にいる彼女をそっと抱きしめる。驚いたのか、彼女が腕の中から見上げてきた。



    「‥‥好きだから」
    「っ、」
    「キミのこと、ちゃんと好きだから」


    初めての好きを、キミにあげる。だから、





    「‥‥俺の好きなキミの笑った顔、見せて」

    きゅん

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  16. 「氷雨(ヒサメ)先輩お誕生日おめでとうございます!」


    一瞬驚いた表情をした彼も、すぐに納得したようでいつものポーカーフェイスへと戻った。



    「通りで朝からそわそわしていたわけね」
    「え、分かりやすかったですか?」
    「うん」

    そんなに分かりやすいのか、と考えるが今はそんな場合じゃない。



    「はい、先輩」
    「手袋‥‥?」


    私が彼に用意したのは手袋だ。シンプルな黒い手袋。でもお店で見た時、絶対先輩に似合うと思ったのだ。



    「素直じゃないツンデレな氷雨先輩が大好きですよ」
    「‥‥‥」
    「?氷雨せんぱ、っ」


    無言の先輩に腕を引かれ、そのまま彼の腕の中に。そして額に口付けが落とされた。




    「僕も、いつも素直な葉月が好きだよ」


    見上げると顔を赤くさせた彼が優しい笑みを浮かべていた。




    (慣れないことするものじゃないね)
    (先輩、もう一度デレを‥‥!)
    (いやだ)

    きゅん

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  17. 「あ!メリークリスマスです」


    中庭に見知った顔を見つけて声を掛けた。どうやら相手もこちらに気付いたようだ。



    「‥‥本当に会えた」
    「え?」
    「何でもない」


    すぐにそらされた視線は、目の前にあるツリーへと向けられていた。


    「先輩はどうしてここに?」
    「どうして‥‥」


    私の問いに考え込む素振りを見せる彼。そして顔を上げた彼と、目が合った。



    「‥‥キミに、」
    「私?」


    「--‥‥キミに会える気がしたから」


    だから来た、と彼は言う。



    「顔、赤いよ?」
    「っ、先輩のせいですよ!?」
    「何で?」


    くっ‥‥この天然タラシめっ。
    もう知らないとばかりに顔をそむけた。

    すると隣からはくすりと笑い声。



    「でもキミに会いたかったのは本当‥‥だからこっち向いて?」
    「っ‥‥好きです、先輩」
    「うん。知ってる」


    そして彼からの甘い口付けに、私は溺れる--‥‥

    きゅん

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  18. 「で、ジンクスとやらは叶いそうにないな」
    「っ〜、うるさいなぁ‥!」


    隣に立つ幼なじみに視線を向ければ、口角を上げて笑っているのが見えた。


    "中庭にあるクリスマスツリーの前で愛を誓い合ったカップルは幸せになる”

    そんなの迷信だろ、と笑う幼なじみに「絶対彼氏作って幸せになるんだから!」と啖呵をきったのは私。

    ---グッと握る手に力が入った。



    「ほら、帰るぞ」
    「っ、待って」


    咄嗟に彼の腕を掴んだ。

    お願い、まだ私--‥




    「どう、」
    「好き」


    彼の表情が一瞬にして固まった。



    「アオイのことが好きなの…っ」


    ジンクスはきっかけ。もう幼なじみのままじゃ嫌なの。




    「‥‥ちょっと待て」
    「アオ、イ?」


    顔赤いよ、と言えば「うるせー。見んな」と返ってくる。その反応って‥‥、



    「アオ、っ」


    彼に抱きしめられる。




    「--俺も好きだ」

    きゅん

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  19. 「せーんせ、今日が何の日か知ってる?」


    保健室にある彼専用の椅子に座り、くるくる回って遊んでいた私。そんな私に「危ないですよ」と注意をし、先生は近くの椅子に腰をおろした。



    「いい夫婦の日、ですよね」
    「え、知ってたの?」
    「意外でしたか?」
    「うん」


    問いかけに対して素直に頷いた私を見て、彼はくすりと笑う。そして「それでは‥‥」と言って彼が差し出してきた手のひらには小さな箱が乗っていた。ピンクのリボンを解いて、箱を開くとそこには‥‥




    「ゆび、わ‥‥?」


    シンプルなデザインをした指輪が入っており、先生と指輪を交互に見る。




    「今日は貴女と付き合い始めた記念日ですから」

    彼の優しい声が紡がれる。




    「"いい夫婦”はまだ早いですが、その予約をしてもよろしいですか?」
    「っ‥‥う、ん」


    --真っ赤になり頷く私を見て、先生はまた笑うのだ。それは嬉しそうに。

    きゅん

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  20. "先生の、嘘つき‥‥っ”



    「‥‥嘘つき、か‥‥」


    彼女が屋上を去ってどれだけ時間が経ったのだろう。自嘲気味に呟いた言葉は風と共に流されていった。




    泣いている彼女の涙を拭ってやれなかった。
    今にも壊れてしまいそうな彼女を抱きしめてやれなかった。


    ---彼女を幸せにしてやれなかった。






    「‥‥った‥‥、」



    好きだった。大好きだった。‥‥愛していた。
    君の隣が一番居心地がよかった。笑って、泣いて、怒って‥‥どんな君も愛おしくて仕方がなかった。

    ---けれどもそんな優しい世界は一瞬にして崩れ落ちた。





    "‥‥こんなことがバレたら、貴方も‥‥あの子もどうなるのかしらね”




    「嘘つきだって構わない」


    彼女を守ることが出来るのならいくらでも嘘を重ねる。

    だから、だから今だけは‥‥、




    「好きだ、っ」


    優しい世界の中で泣かせて欲しい。

    きゅん

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  21. 「‥‥お姫サマの場所、教えてもらおうか?」


    屋上のコンクリートの上に倒れ込む男を見下ろす。人数は多いけど、幹部以上の奴らを倒せば後はどうでもいい。



    「っ、お前‥‥アイツ、目当てか‥」
    「俺は最初に言ったはずだ。"証が欲しい”と」
    「それ、はオレらのトップの座の、ことじゃ‥‥」



    「そんなの要らねぇよ」


    お前らの薄汚いトップの証なんて要らない。俺が欲しいのは--‥‥




    "‥‥優しい人、ですね”

    ---俺だけの証だ。





    「お前の傍にいることが彼女の幸せなら、諦める」


    だけど、と俺は倒れている男の胸ぐらを掴んだ。




    「--‥‥アイツが笑顔を消した理由がお前にあるのなら、俺はお前を許さない」


    それだけを伝え、俺は屋上をあとにした。向かうのは彼女がいるだろう教室。






    「--‥‥待ってろよ。お姫サマ」


    今度は絶対に、俺が幸せにしてやる。

    きゅん

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