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  1. 45件ヒットしました

  2. 掌に息を吹きかけているとふいにぎゅっと後ろから抱きしめられた。
    「悪い、遅れた」
    「大丈夫。私も今来たとこ」
    「こんなに鼻が真っ赤なのに?」
    申し訳なさそうに下がる彼の眉毛が可愛い。
    「お前に寒い思いさせるとか一生の不覚だわ」
    「大袈裟」
    「大袈裟じゃない」
    不貞腐れた様に呟きながら後ろから頬をぴたりとくっつけてくる。
    「ほっぺたまで冷たい」
    「冬だし」
    そう言って笑うとさっきまで触れあっていた頬の代わりに今度はそこに暖かい唇が触れた。
    「くすぐったいよ」
    「だめ。逃がさん」
    もがく私に彼は悪戯な表情を浮かべながら強く抱き締める。
    「なあ」
    「ん?」
    少しだけ首を捻って彼を見上げると今度は優しく唇を塞がれた。彼の下顎が私の唇を食む様にして啄んでいく。
    「好きだよ」
    蕩ける様な瞳と甘い声。
    胸がきゅうと苦しくなって、くすぐったい。

    私も、

    そう答えるよりも早く、彼の唇がまた降ってきた。

    きゅん

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  3. 「学校ではイチャイチャ禁止」
    「別に禁止されてないだろ」
    「不純異性交遊は禁止です」
    「すげー真面目に付き合ってるし」
    「そうじゃなくて」
    「何だよ」
    「拗ねないで」
    「拗ねてない」
    「拗ねてる!私だって本当はくっつきたい、けど」
    「じゃあ良いだろ」
    「良くない」
    「だから何で」
    「圭ちゃんのファンの子に申しわけないんだもん」
    「何だよソレ。俺はお前以外の物になるつもりないんだけど」
    「でも圭ちゃん好きな子凄く多くて」
    「そんなくだらない理由マジ却下」
    「でも」
    「俺がお前といたいって気持ちは無視すんの?誰だかわかんない女のために?」
    「それは」
    「できる事なら俺はお前を一日中だっこしてたい。手も繋ぎたい。なんならキスだってしまくりたいくらいなんだけど」
    「!」
    「俺のこと一番に優先してよ。お前の事が好きで堪んない俺が可哀相だと思わない?」
    「…卑怯者」
    「世界一の正直者の間違いだろ?」

    きゅん

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  4. 「さっきから何?」
    「別に」
    「本さかさま」
    「今丁度さかさまに読みたい気分だったから」
    いつも適当な事ばかりいう彼は言い訳も適当。
    「何か言いたい事あるなら言って」
    「言いたい事」
    「不満があるのなら」
    「お前ってさ」
    「何」
    「すげー可愛い」
    想像しなかった言葉が返ってきて反応が遅れる。
    「何ていうか可愛い。ちゅーしたくなる。てか、してもいい」
    言葉は問い掛けのように語尾上げだった筈なのに彼はもう息がかかるほど間近に迫っている。
    「待って!」
    「何で。言いたい事あんのなら言えっていったのお前だろ」
    「それは意味が」
    「違わない」
    「それに幼馴染とキスとか」
    「は?」
    素っ頓狂な声が返ってくる。
    「俺、もうお前の事幼馴染とか思ってない」
    「ひどい」
    「だってもう女だから」
    「?」
    「お前は俺の好きな女なの。だからただの幼馴染とか、マジヤなんだけど」

    二人の唇が触れあうまで、あと1秒。

    きゅん

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  5. 「俺の彼女苛めてんの、誰?」
    「諒ちゃ…」
    「私たち苛めたりなんか!」
    「そうです!この子が掃除をさぼったりするから」
    「そんなの地球が爆発するよりありえねーと思うんだけど」
    「でも掃除の時間に遅れて来たし」
    「へー。それはコイツの服がびしょ濡れなのと何か関係あり?」
    「それは」
    「つーか。今時イジメとかダサいことやってんなよ」
    「でも!私たちだって櫻井先輩の事ずっと大好きで」
    「お前らの愛がどうだか知らんけど、俺の方が何倍もコイツのこと愛してんだけど」
    「諒ちゃ」
    「ダメ。こいつらに俺がどんだけお前の事好きなのか分からせる」
    「えっ、…諒ちゃ…ンッ!」
    「!」
    「これ以上のチューも見たい?」
    「も…もういいです!最低!」

    「悪役退散」
    「何やってんの!」
    「え、ちゅー?」
    「なんでみんなの前で!」
    「ああいうのにはしっかり俺の愛を見せ付けとかないと」
    「諒ちゃんのばか!」
    「えっ」

    きゅん

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  6. 「そんなところで何をやってるのかな」
    「圭ちゃ…、いやいや、せん、せい」
    「今は二人だから先生じゃなくてもいいけどね」
    「……でも、いちお…学校だし…って、圭ちゃん!なに抱っこしてんの」
    「あれ。ほんとだ、ここ学校だ」
    「先生がこんなこと駄目だってば」
    「そうだね、駄目だ」
    「……それなのに腕、離す気全然ないじゃん」
    「だめ?」
    「駄目じゃないけど…でも、だめだよ」
    「じゃあ、先生が許す」
    「なにそれ」
    「先生が許すんだから…、問題ないと思わない?」
    「屁理屈!ふりょう、駄目きょうしー!」
    「はいはい。そりゃあ困ったなあ」
    「ぜんっぜん困ってないじゃん!」
    「困ってないよ。大好きな女の子抱き締めてるんだから寧ろ幸せ感じてるけど」
    「もう、圭ちゃんてば!!」
    「はいはーい」
    「はいは一回です!!」
    「はーい」

    きゅん

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  7. 「あの」
    「何だよ」
    「もう一時間です」
    「何が」
    「先輩が私を此処に呼び出してから」
    「気のせいだろ」
    「いい加減にしてください」
    「何だよ、その手」
    「早くください」
    「何を」
    「ホワイトデー」
    「あー、そういえば今日だったな」
    「あからさまに可愛い紙袋持って何言ってるんですか」
    「これはゴミ袋だ」
    「苦し過ぎます」
    「…」
    「…癖に」
    「は?」
    「私の事好きな癖に」
    「調子にのんな」
    「さっさと寄越さないと大変な事になりますよ」
    「どういう意味だよ」
    「言葉通りです」
    「他の男の所に行くって?」
    「いいえ」
    「じゃあ何だよ」
    「明日の生徒総会、生徒会長挨拶の時に舞台上に乱入してちゅー」
    「暴漢かお前は!」
    「じゃあ今」
    「?」
    「…して?」
    「そっ…!」
    「えいっ、スキあり!お返しいただきー」
    「あっ、おま…」

    ちゅっ

    「こっちも、すきあり」
    「……キスの間違いだろ、こんにゃろ」

    きゅん

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  8. 「没収」
    「あ!」
    「生徒会長の目の前でいい度胸だな」
    「大事な私の恋心が~っ」
    「恋心」
    「そうです!何回も作りなおしてやっと出来上がったのに」
    「手作り?」
    「そうです」
    「じゃ、尚更返さない」
    「そんな」
    「今時こんなもん貰って誰が喜ぶんだよ」
    「……」
    「それにお前の手作りなんて危険物を…」

    『あ、理子!先輩にチョコ渡せたんだ、良かったね』

    「…は?」
    「……ううん。渡せてない。先輩こんなもん貰っても喜ばないみたいだから」
    「ちょっと待て!」
    「捨てるから返してください」
    「俺の?」
    「違います、ゴミです」
    「嘘つけ」
    「嘘じゃないもん!」
    「じゃ何で泣いてんだよ」
    「先輩がゴミとかいうから!」
    「言ってない!大体、俺にくれるなんて…」
    「没収されるんじゃなくて、ちゃんと渡したかったのに」
    「早く言え、馬鹿!」
    「…っ」

    「俺はこれを受け取る。…意味くらい馬鹿でも分かるだろ」

    きゅん

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  9. 「悪いんだけど匿って」
    「どうしたんですか、そんなに慌てて」
    「捕まったら胸焼けするまでチョコ食わされる」
    「大変ですね、モテるのも」
    「他人事みたいに言うなっつの」
    「他人事ですもん」
    「…」
    「?」
    「…で。お前は?」
    「え?」
    「誰かにやんの」
    「まぁ…友達に」
    「それ、誰?」
    「里奈と亜子と」
    「…女友達かよ…」
    「?」
    「じゃ、男にはやんねー?」
    「…はい」
    「好きな人いないの?」
    「それは…」
    「…そんなチョコやんなくても良いような奴ならやめとけば」
    「……」
    「ん、これ」
    「?」
    「さっきコンビニで買ったチロル。やる」
    「…ありがと…ございます…?」
    「どんな奴か知んねーけど、俺みたいに逆チョコくれる男の方がイイ男だと思わねー?」
    「え」
    「俺にしときゃいいじゃん」


    照れたようにそっぽを向いた先輩の耳は真っ赤だった。


    「俺にしとけって。……すげー大事にするし」

    きゅん

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  10. 突然こんな時間にごめん。
    でもどうしても今、伝えたくて。

    今日貰ったチョコ、すげーうまかった。
    あんがと。

    でさ。
    お前、俺以外の奴にも配ってたじゃん。
    義理チョコ配ってんだから当たり前なんだけど。
    でもどうしてもお前が他の奴にチョコやんのムカついて。

    帰りにチョコくれた時、俺に聞いたろ。
    今年はいくつチョコもらったのって。
    あん時は誤魔化したけど、今年は誰からも受け取ってない。
    お前の以外いらねーって思ったから。

    だらだらゴメン。
    なんつーか、家に帰ってお前のチョコ食ってたらどうしても、さ。

    ずっと伝えたいって思ってたことがあるんだ。
    もう感づいてるかもしんないけど。

    でも、それはちゃんと俺の口から伝えたい。
    だから明日の放課後いつもの場所で待っててくんない?

    その時はちゃんとごかまさずに伝えるから。

    長々とゴメン。
    そんじゃあ、また明日。


    おやすみ。

    きゅん

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  11. 「よくそんなに食べてて飽きないね」
    「俺チョコ好きだもん」
    「そりゃそうだけど」
    「お前嫌いだっけ?」
    「好きだけど…」
    「そうなん?」
    「そりゃ甘いもの好きだもん」
    「へー」
    「もうすぐバレンタインだから嬉しいでしょ」
    「あー」
    「いつも沢山貰うもんね」
    「まーな」
    「本命ばっかね」
    「あー」
    「それなのになんで彼女いないの」
    「あー」
    「それ返事になってない」
    「そーな」
    「もういい」
    「ぶーたれんなって。甘いもの足りてないから苛々すんじゃねーの」
    「別に…、――っ!?」

    「…甘いだろ。ずーっと俺チョコ食ってたから」

    口の中も、舌も、全部。
    甘い甘い、チョコレート。


    「俺からの本命チョコ受け取ったんだから、当然なってくれるよな」

    「…な、何言って」


    悪戯に笑う、悪魔みたいな幼馴染。


    「俺の、カノジョ」


    もう一度触れた悪魔の唇は、やっぱり蕩けるくらいに甘かった。

    きゅん

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  12. 「くれよ」
    「何を」
    「それ」
    「ないもん」
    「あるだろ、その右手」

    そっぽを向いた私に弘樹が溜息を吐く。

    「だから誤解だって」
    「別に私には関係ないもん」
    「あんだろ」
    「ないってば。寒いしもう帰るね、私」
    「待てって」

    背を向けようとして抱きすくめられた。
    首筋を柔らかな髪の毛が擽る。

    「離して」
    「ヤダ」
    「離してって――」

    私の言葉を飲込んだのは弘樹の唇だった。
    悔しいのに涙が零れる。

    「…っ」
    「ごめん」
    「…徹夜して作ったんだよ」
    「うん」
    「なのに別の子と抱き合ったりして…っ」
    「だから」

    今度は私が弘樹の言葉を食べた。

    「それでもヤだったの」
    「うん」
    「ヤだったんだも…っ」
    「泣くなって」
    「泣いてない」
    「……俺の理性を試すのマジ止めて」

    そんな理性なんか私が食べてやりたい。
    そしたら分かるのに。

    チョコレートなんかよりずっと甘いって。

    ばーか。

    きゅん

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  13. 「なあ」
    「何、ぴーちゃん」
    「そのあだ名、何とかならないか」
    「昔からぴーちゃんだもん」
    「そうだけど」
    「私、ぴーちゃんって可愛いから大好き」
    「…お前の方が可愛いっつの…くそ」
    「何か言った?」
    「何も」
    「ちなみに、ぴーちゃんじゃなかったら何て呼ぶの」
    「光でいいだろ」
    「ひ」
    「うん」
    「ぴか」
    「ぴーちゃんが出てきてる」
    「ひ」
    「そう」
    「ぴっ、ぴーちゃんはぴーちゃん!ぴーちゃんでいいの!」
    「…」
    「私のぴーちゃんはぴーちゃんなの。ぴーちゃんは…!」
    「混乱してるだろ」
    「…うん」
    「あのな、俺これでも生徒会長だからさ」
    「すごい、格好いい!」
    「…」
    「ぴーちゃん、昔から格好いいもんね!」
    「…」
    「もうすぐ同じ学校…あ。でも…やっぱり高校では高遠先輩って」
    「…でいい」
    「?」
    「もうぴーちゃんでいい!」
    「きゃあ!いきなりぎゅーしないで!」
    「咲良のせいだろがー!」

    きゅん

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  14. 満員電車は、殺人マシーンだと思う。

    「ぐるじ」
    「ばっ…、実花こっち!」
    「学!」

    助けてくれたのは幼馴染の学。
    突然腕を引かれて、おしくらまんじゅうから抜け出した…までは良かったんだけど…。

    「お前の場所はここ」
    「あの、学…」
    「何?」
    「ちょっと近すぎ…じゃ」
    「はあ?痛って!酷い混雑だな…、大丈夫か?」
    「…あ、うん」

    学は腕を窓に付いて胸元に私を抱くような格好になってる。
    混雑から守ってくれてるだけだって分かるけど…なんか。

    「痛いけど、役得だな」
    「?」
    「普通なら、俺がこんな風に抱き締めたらお前逃げるじゃん」
    「あた、当たり前でしょ!学は私のおさな…」
    「その言葉、もう禁止」
    「え?」

    「そろそろただの幼馴染は卒業させてくんない?」


    ダメ?


    耳元で囁かれた甘い言葉は、私の身体を簡単に蕩けさせた。

    私の幼馴染も殺人マシーン、なのかもしれない。

    きゅん

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  15. バスの中で幼馴染の颯に会った。

    「隣、つめて」
    「うん」

    失恋したのは最近。
    颯が可愛い子と歩いてるのを見てしまったから。
    もう少し傷が癒えてから会いたかったのに神様は意地悪だ。

    「よ、颯」
    「先輩」
    「何だよ、隣の子可愛いな」
    「幼馴染です」

    颯の紹介の言葉に地味に傷つく。

    「へー。なら彼女募集中の俺に紹介してくれよー」

    先輩さんは、爽やかだしいい人っぽい。
    新しい恋、した方がいいのかな。

    「すみません。こいつ、幼馴染なだけじゃなくて俺の彼女なんで」

    (え?)

    呆然としている私の手に颯の手が重なる。

    「そう言うの先に言えよ」
    「はは」

    笑って話している颯の手は私の手を握ったまま。

    「じゃあ、この間言ってたすげー好きな子ってその子?」
    「はい」
    「うっわ、ファンの子泣くぞ」

    息が、出来ない。

    「そういうことだから」

    呟かれた言葉に、私は手をぎゅっと握り返した。

    きゅん

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  16. 「お前が…好きだ」


    呟くような声で告げられた言葉。
    彼は辛そうに顔を歪ませる。


    唇が震えて何かを言おうとしているのに言葉が出てこない。
    伸ばされた腕がおそるおそる私を抱き寄せる。


    「……好きになってごめん」


    それが普通でない事は分かってる。
    それでも。

    「諦めようとした。でも出来なかった」


    泣き笑いのような顔で彼が言った。


    「結局、お前のことしか考えられなかった」


    抱いている腕の力が、ぐっと強くなる。
    私の濡れた顔が彼の胸元に押し当てられた。

    彼の鼓動が、とく、とく、とく、と聞こえる。
    早めに聞こえる鼓動は、きっと私も同じだろう。



    「許してあげる」




    (だから、ずっと傍にいて)




    彼はただ静かに

    懺悔するように笑った。




    「もう、ただの兄妹にはもどれないな」




    私たちは一体誰に、許しを乞えばいいのだろう。

    きゅん

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  17. 「昴君てイケメンだけど無表情だよね」
    「そう?」
    「そうだよ。てか試合終わるなり囲まれ過ぎでしょあれ」
    「あ、困ってる顔」
    「…あれの何処が?」
    「どう見ても困ってるじゃん」
    「さっぱりなんだけど」
    「一緒に居る時も良く笑うよ?」
    「昴君て笑うの!?」
    「笑うよ、昴君を何だと思ってんの」
    「顔面凍りついてるのかと…」
    「あ、それであだ名が氷の王子様!」
    「気づくの遅すぎ」
    「そんなことないんだけどな…、あ。昴君こっちに気付いた。おーい!」

    「梨央」

    「昴君お疲れさまー」
    「…ちょ!」
    「何?」
    「何…あの顔」
    「え?」
    「梨央に気付いた瞬間見た事ない顔で笑ったんだけど」
    「だから笑うって」
    「そうじゃなくて!」
    「?」
    「あー…ファンの子、全員キュン死にしてるけど」
    「ほんとだ」
    「…蕩ける様な笑顔ってああいう…」
    「?」
    「イケメンの笑顔も罪だけど、アンタも大概罪だわ」
    「ええ!?」

    きゅん

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  18. 「じゃあ俺と一緒に行こ、そのドタキャンされた遊園地」
    「やだ」
    「いいじゃん」
    「やだ。別に遊園地に行きたかった訳じゃないから」
    「じゃあどこでもいい」
    「何それ」
    「どこでもいいの。俺がお前と一緒にいる為の単なる口実だし」
    「私は野田の彼女じゃないんだけど」
    「恋人以外とデートしちゃ駄目なんてどこに書いてあんの。法律?」
    「屁理屈!」
    「つーかさ、お前はあんなオッサンより俺の方が似合ってると思うけど?」
    「先生はオッサンじゃ、…あ!」
    「自白したな」
    「…」
    「別にそれをネタに脅したりしないって…って何だよ。その疑ってる目は」
    「べーつに」
    「まあいいや。どうせ疑われてんなら口止め料で遊園地付き合ってもらうから」
    「何でよ!?」
    「その方が交換条件って感じで安心だろ」
    「弱みに付け込んで」
    「だからバラさないって」
    「…」
    「行こ?」
    「でも」

    「俺にもアンタを奪うチャンス、分けてよ」

    きゅん

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  19. 雨降りの放課後。
    彼と過ごす大切な時間。

    「遅刻だな」
    「少しだよ」
    「遅刻したら罰ゲーム」
    「やだ」

    彼が笑って私の頬を撫でるのは合図。
    腕を引かれると簡単に唇が重なって、彼は優しく私の唇に歯を立てる。

    「好き」
    「俺も」

    雨の日は、彼と抱き合ってキスをする。
    気が付くと涙が滲んで、それを彼はいつも悲しそうに見つめてる。

    ずっと一緒に居られる私達。
    なのに決して結ばれない私達。

    「逃げちゃいたいね」

    彼は困ったように笑う。

    「俺についてきてくれる?」

    攫ってくれるならどこでも、なんて。

    雨の日は二人で一つの傘に入る。
    普通の恋人同士に見えたらっていつもそう思う。

    なんで彼は彼で、
    なんで私は私なんだろ。
    こんなに好きなのにね。

    からりと晴れた次の日の朝。
    恋人が私を迎えにきた。
    「彼」じゃない恋人。

    そうして私は「彼」に手を振る。

    「行ってきます、お兄ちゃん」

    きゅん

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  20. 「うーわ」
    「先生」
    「引くほど囲まれてんな」
    「…そうですね」
    「またぶすくれて」
    「放っといてください」
    「あいつも可哀相だな」
    「どこが可哀相なんですか」
    「彼女が妬いてる可愛い顔見れないなんて」
    「…先生、タラシっぽい」
    「人聞きの悪い事言うな。俺は誰彼構わず手出しはしないの」
    「場合によりけり手出しするんだ」
    「そりゃあ男ですから当たり前」
    「ちょ、なんか…顔、近くないですか」
    「そうか?別に…ッてうっわ!あぶね!」

    「スミマセン先生。手が滑って」

    「どう滑ったら三角定規が飛ぶんだよ、生徒会長」
    「先輩!」
    「迎えに来た」
    「あの子たちと勉強するんじゃないんですか」
    「するわけない。ほら帰るよ」
    「あっ、ちょ、せんぱ…」
    「おい生徒会長」
    「何ですか」
    「あんまり目を離してると…奪うぞ?」
    「…させて堪るかよ、オッサン」
    「出たな本性」
    「!」

    「未央は俺だけのものなんで」

    きゅん

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  21. 「…好き…っ」

    気が付いたら、そう言っていた。
    ぐちゃぐちゃの顔だった。
    声も震えて全然可愛い告白なんかじゃない。
    だけど止まらなかった。

    「…先輩のこと、好きなんだもんっ…だから私…っ、先輩とさよならとか、…そんなの、絶対っ」

    ―――嫌だ。
    言おうとした。
    だけどその言葉は声にならない。
    先輩の唇が、私の唇を塞いでしまったから。
    強く抱き締められて、先輩の唇が触れる。
    初めてのキスなのに、涙の味しかしない。
    頭を強く抱き込まれて、髪をぐしゃりと撫でられる。
    触れた唇は、離れない。
    離したくなかった。
    先輩の腕にこもった力は私を泣かせた。
    離したくないって先輩も言ってくれているみたいで。
    私は森山先輩が好き。
    運命の人じゃなくても。
    たとえ幸せになれない相手だったとしても。

    好きだから。
    好きになっちゃったから。
    この気持ちは、私の心臓なんだ。
    無くなったら死んじゃうんだ、きっと。

    きゅん

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