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  1. 29件ヒットしました

  2. (よし、あそこなら大丈夫ね)
    ガラッ。
    私は数あるドアの中から、突き当たりにある一室のドアを開けて中へ入る。
    「失礼しまーす!ちょっと借りまーす!」
    一応断りを入れ、その場にしゃがみ込んだ。
    実はここ、生徒会室。
    部外者の私が容易く出入り出来るのには、当然理由がある。
    それは、放課後になると生徒の駆け込み寺として解放されるからで…。

    (…あれ?そういや、誰かいたっけ?)
    首を傾げたその時。
    「おい。お前、気分でも悪いのか?」
    「っ!?」
    ふと背後で声がして、私は慌てて振り返った。
    「あ、いえ、ちょっと鬼ごっこを…」
    言いかけて、さらに目を見開く。
    (うわっ、よりによって生徒会長!)
    「は?鬼ごっこって…お前、いくつだよ」
    呆れたように見つめるその人は、幼なじみであり彼氏でもある。

    「相手が男なら許さねえぞ」
    そっと耳元で囁かれた。

    きゅん

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  3. 「はぁ…ホワイトデー、か…」

    駅を出て、ため息をつく。
    バレンタインデーは、もはやあたしには過去の出来事。
    好きな彼に勇気を出して告白して、やっと伝わったあの日が懐かしい。
    言わずとも期待してしまう、一ヶ月後の明日を迎えるはず…だった。
    分かってる。彼が有能な選手だって事ぐらい。
    大事な時期だって事も…でもやっぱり寂しい。

    『え、3月14日?…あー、悪ぃ。試合で会えねえわ』

    あたしの淡い期待は、呆気なく散ったのだった。


    「ん?」

    ふと、ポケットでスマホが震えた。

    「はい、もしもし?」
    『あー…俺』

    バツが悪そうな彼の声。

    『ちょっとだけ時間が取れてさ』

    同時に、ポンと肩を叩かれて。
    振り返ると、目の前に彼がいた。

    「…っ‼」
    『何も用意してなくて、ゴメン』

    そう言って彼の顔が近づき…額にキスの音がした。

    きゅん

    14

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  4. 放課後。
    誰もいなくなった教室には、あたしと幼なじみの彼しかいない。
    気だるげに机に肘をつき窓の外を眺めている彼を、あたしは前の席から見つめていた。
    「…ねぇ。まだ動かないつもり?」
    「…は?うるせぇな」
    視線をそらすことなく答える彼を見つめていると、出るのは溜め息だけだ。
    「…ねぇ。まだ帰らないの?」
    「…は?何だよ、それ」
    彼は、自分の世界を邪魔するなとでも言いたげな視線を送ってくる。
    ぶっちゃけ無愛想だけど、あたしはそんな彼が好きなんだからしょうがない。
    家だって隣同士だし、一緒に帰りたいのだ。
    そんな気持ちを知ってか知らずか、彼はいつもこんな調子で無気力な返事をする。
    「…ねぇ。いい加減、あたしの気持ちに気付いてよっ!」
    思わず勢いで席を立つと、
    「は?そういうお前も気付けよ」
    彼があたしを見上げた。

    「…帰ったら、お前と離れるだろうが」

    きゅん

    20

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  5. ー完結ー
    「やっぱ、屋上は寒いわ…はあぁ~…」
    あたしは、両手を口に当てて息を吐く。
    「折角、二人きりになれたのに…」
    彼は残念そうに肩をすくめた。
    「今でも二人きりでしょうが!」
    (何を言ってんだ、この男は!あれじゃ風邪引くわ)
    「…つれないなぁ~…」
    「何よ、さっきから訳分かんないこと言って」
    寒さしのぎに軽く両腕をさする。
    「ほら、だから俺がこうして…」
    言いながら、あたしに近付く彼を軽くかわす。
    (いや、だから何なのよ)
    「…じゃあ、その包みは何?」
    少々ふて腐れたように訊ねる彼に、あたしは首を傾げた。
    「何って…貰ったのよ」
    「は?貰った?」
    「そうよ。普通は逆だけど」
    「はあ?意味分かんない」
    呆れ顔の彼に、
    「何よ、これ欲しいの?」
    あたしが意地悪く言ってみせると、
    「…俺は、咲良ちゃんからしか受け取る気ないし」
    真顔で言われた。

    きゅん

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  6. ー続きー
    「さ、寒いっ…!」
    連れてこられたのは、冷たい風が吹く屋上だった。
    「ここなら誰も来ないでしょ」
    彼は寒さもお構い無しって感じで飄々としている。
    「そりゃ、こ、来ないでしょうよ!」
    (もう、寒すぎて我慢出来ない!)
    あたしが校舎の中へ戻ろうと、ドアに向かいかけたその時ー。
    「あ、咲良ちゃん待ってよ!」
    未だ掴んだままの手に、ぎゅっと力が入るのが分かる。
    「だって、寒いっ…」
    振り向き様に答えると、
    「じゃあ、こうしたらあったかいよ」
    彼は言うなり、あたしを自分の方へ引き寄せた。
    「えっ…?」
    「ほら、正解でしょ?」
    すぐ頭上で声が聞こえたのと同時に、彼の腕があたしの背中に回される。
    (これ…ど、どーいう事っ!?)
    たちまち頭の中がパニックだ。
    「ちょ、ちょっと、離してよ!」
    彼の腕の中でもがくあたし。

    「まだ気づかない?」

    きゅん

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  7. 「はぁ…」
    あたしは机に肘をつき、ため息をついた。
    今日は2月14日、巷でいうバレンタインデーってやつ。
    放課後にもなると、女子が男子に想いのつまったチョコを渡す光景が嫌でも視界に入る。
    (てか、逆にあたしが貰うって…)
    その机の上には、可愛くラッピングされた箱がある。
    「あれ?咲良(さくら)ちゃん、それ…」
    ふと頭上で声がして見上げると、笑顔で見下ろす幼なじみの彼が立っていた。
    「何って、見れば分かるでしょ?」
    「うーむ…それはもしかして…」
    顎に手を当てて考える素振りをする彼。
    (わざとらしいヤツ)
    「ふーん…なるほど」
    (何が?)
    すると、彼がいきなりあたしの手をつかんだ。
    「な、何よっ」
    突然のことに動揺する。
    「それ持って、こっち来て」
    華奢な身体から想像もつかないほど彼の手は力強く、思わずドキッとした。

    「二人きりになれるとこ行こう」

    きゅん

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  8. 放課後、皆が帰って静まり返った教室。
    その窓際の隅っこの席に座っている男女二人。

    「…ねえ、聞いてる?」
    彼女は、後ろの席で机に突っ伏してる彼の頭を小突いた。
    「…ってえな…聞こえてる」
    彼が突っ伏したまま面倒臭そうに答える。
    「聞こえてるじゃなくて、聞いてるかって聞いてんの!」
    「…ったく。聞こえてなかったら答えねえだろ」
    「答えてるけど、それじゃあ答えになってないっ!」
    彼女の口調が、だんだんと怒りと化す。
    「…」
    すると、彼が気だるそうに顔をあげた。
    その端正な顔立ちに彼女は一瞬怯みかけたが、ここで負けてはいられない。
    「な、何よ。そっちがちゃんと答えないからでしょ?」
    「ふーん…」
    ふと彼がニヤリと口角を上げたかと思うと、そのままスーっと顔を近付けてきて…彼女は咄嗟に顔を背けた。

    「おい、逃げんなよ。折角返事してやろうと思ったのに」

    きゅん

    8

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  9. 「…ぽふっ」
    交差点を曲がったところで、あたしは何やら柔らかいフワフワしたものに当たった。
    「あ、ごめんなさい!」
    慌てて頭を下げると、
    「ちゃんと前見て歩けよ」
    頭上から若い男の声がした。
    その口調は明らかに機嫌が悪い。
    (…ヤバイ人に当たっちゃったな)
    恐る恐る顔を上げると。
    「…っ!?」
    目の前に、現代にはありえない格好をした人?が、あたしを見下ろしていた。
    (ま、まさか…よ、妖怪!?)
    「おい。なんて顔してんだよ」
    目が合うなり、その人?はニヤリと笑う。
    (いや、だって耳とか尻尾とか…)
    驚きのあまり、口をパクパクさせることしか出来ない。
    「…まさか俺が見えてんの?」
    「え?」
    (俺が見えてって…もしかして、ゆ、幽霊!?)
    ますます恐怖心が高まり、腰が抜けそうになったその時、彼があたしの腰に腕を回してきて一言。

    「お前…俺の女になるか?」

    きゅん

    3

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  10. 夜の学校。
    私は、校舎裏に一人佇む。
    こんな時間に、もはや誰もいないことくらい分かっている。
    でも、私はこの時この瞬間にしか現れることが出来ないのだから…。

    とその時、ザアーッと冷たい風が吹いたかと思うと、目の前に見知らぬ男の人?の姿が見えた。

    「…あなたは、誰?」

    私は掠れた声で訊ねる。

    「お前、人間じゃないな」
    「っ!!」

    彼は表情一つ変えることなく、至極冷静な態度で呟いた。

    「その様子からして、図星か」

    私は観念したように、首を縦に振る。

    「だが、俺と同じく、たちの悪い霊じゃなさそうだな」

    そう言って、フッと口元に笑みを浮かべる彼に、私はドキリとした。

    (こ、この人も…霊?)

    「何だ、お前だって俺を見てすぐに気付いただろ?」

    言いながら、私に近付いてくる。

    「やっと見つけた…もう逃げんなよ」

    きゅん

    11

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  11. 「あーっ!せ、先輩あぶなーいっ!!」

    廊下を歩いていると、背後で慌てたような声が聞こえた。

    ん?この声は……もしや。

    私はゆっくりと後ろを振り返る。

    「う、うわっ!?」

    気づけば、間近に後輩クンの顔が迫ってきていた。

    ぶ、ぶつかるぅー!!

    咄嗟のことに私は逃げ道を失い、思わず目をつぶる。

    ……ギュウ……。

    ぶ、ぶつかって、ない?

    と同時に、全身がジワリと温もりに包まれる。

    「ん?」

    恐る恐る目を開けると。

    「へへっ、先輩ゲーット!」

    照れ笑いを浮かべた後輩クンが、私を満面の笑みで見下ろしていた。

    「え……」

    「……やっとつかまえた。先輩はオレの宝物なんだから、ずっとそばにいてよ」

    う……生意気なヤツ。

    きゅん

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  12. 我が家にプチホームステイすることになった彼、アラブくんに明日から通う学校へ案内中。
    あたしと同じ学校に、体験留学という形で数日間生活を共にする。

    「アラブくん、ここよ」
    あたしは、通いなれた学校の校門を指差す。
    「フーン…ココガ、ニホンノガッコウ…」
    片言ではあるけど、勉強してきたというだけあって会話が成り立ってる。
    「そうよ。友達沢山出来るといいね」
    「フレンド、タクサンホシイ…」
    「アラブくんってイケメンだから、すぐに出来るよ」
    アラブくんを励ますように、あたしは笑顔で答えた。
    「イケ、メン?」
    「ああ、イケメンっていうのは、アラブくんみたいにカッコいい人のことよ」
    サラッと説明すると、突然アラブくんが目を見開く。
    「カ、カッコイイ?」
    (通じてないみたい…何て言えば分かるかな…)
    あたしが答えにつまらせていると、

    「キミダッテ、カワイイヨ」

    きゅん

    14

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  13. 「うっわー、もう真っ暗じゃん!」
    あたしは校舎を出たとたん大声をあげる。
    「いくら補習だからって、か弱き女子高生をこんなに遅くまで残すかぁ?」
    思わず頬を膨らませた、その時。

    「あー、やっと出てきたか…」
    「え?」
    薄暗い校門前。
    そこに、一人の男子が仁王立ちしていた。
    聞き覚えのある声に、あたしはハッとする。
    幼なじみであり、そして密かに片想い中の彼だ。
    家が近所ということもあり、いつも一緒に登下校しているけど、今日は先に帰ってと伝えていたはず。
    「ほら、帰るぞ」
    彼は言うなり、あたしの腕を掴んで歩きだした。
    「ちょ、ちょっと!」
    その足の早さについていけず、こけそうになる。
    「お前、どんだけ頭悪ぃんだよ」
    さらに振り返りもせず言われて、
    「だったら、ほっといてよ!」
    我ながら素直でない返事に後悔する。

    「…ほっとけねえからだろ?気付けよ」

    きゅん

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  14. 放課後、同じクラスの彼に呼び出されたあたしは、そのまま薄暗い図書室へと連れてこられた。

    彼は、自称「探偵部」。
    校内で起こる様々な問題を解決に導く、言わば「駆け込み寺」のような立場である。
    そして、入るなり一言。
    「犯人は、お前だ」
    「へ?」
    (は、犯人って、あたしが何をしたっていうの?)
    あたしが呆然と彼を見つめていると、
    「…お前が悪い」
    彼は困ったような顔で呟いた。
    「悪いって言われても、心当たりないんだけど…」
    訳が分からないと、謝るにも謝れない。
    すると、彼がゆっくりとあたしに近付いてきた。
    (えっ…なっ、なにっ!?)
    自然と後ずさる。
    「ふーん…じゃあ、気付かせてやるか」
    言いながら、彼は意地悪っぽく微笑んだかと思うと、あたしの顎に手を添えてクイと上向かせた。

    「俺の心を奪った罪は重いぜ」

    そう言って、あたしに優しくキスをした…。

    きゅん

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  15. あたしの父は、この学園の理事長だ。
    だから、突然の呼び出しが来ても、それはあり得る事だと思っていた。

    ガラガラ。
    理事長室の前に立ち、一応「失礼します」と言いながらドアを開ける。
    「は?」
    そこには、父ではなく先生でもなく、何故か白衣を着た見知った男が立っていた。
    「ようこそ、お嬢様」
    「な、なんでここに?」
    あたし付きの執事、柊木さんであり、そして密かに片想いしている人。
    「理由は簡単。お嬢様の監視さ」
    「監視って、ここは学校よ?問題ないわ」
    「いや、それがあるんだよな」
    執事のクセにタメ口だけど、もちろん嫌じゃない。
    「え?そんなわけ…」
    否定しようとしたあたしの唇に、スッと柊木さんの人差し指が触れる。
    もうドキドキが止まらない。

    「そんなの、口実に決まってるだろ?」
    「え…」

    彼の顔と甘い吐息が近づいてきて…唇が触れ合った。

    きゅん

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  16. 「はぁ…」
    あたしは保健室のベッドの上で溜め息をつく。
    熱があるのを我慢して授業受けてたら、先生に当てられ、立ち上がったとたんにふらつくなんて…最悪。
    「おい、誰かこいつを保健室まで連れていけ」
    先生が声をかけてくれたまでは覚えてるけど…そこからの意識はない。

    …誰が連れてきてくれたんだろう。
    まだ朦朧とする意識のなかで、保健室を見渡すと…。
    「あ、気がついたか?」
    「え?」
    その聞き覚えのある声に、あたしは一瞬にして目覚める。
    幼なじみの彼であり…誰よりも大切な人だから。
    …考えただけで顔が火照ってくる。
    「おい、まだ顔が赤いな。大丈夫か?」
    心配そうに顔を覗き込んでくる彼。
    「っ!?」
    そんなに近付かれたら、ヤバいって…!
    あたしは咄嗟に両手で顔を隠した。
    「隠すことないだろ」
    「恥ずかしいもんっ」

    「…じゃあ、俺だけに見せろよ」

    きゅん

    21

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  17. 生徒達でごった返す体育館。
    ここで学園祭イチの人気イベントが始まる。
    『学園祭で愛を叫ぶ!』
    その名の通り、舞台上で告るイベントだ。
    普段秘めたる熱い想いを、今ここで吐き出そう!
    …とは言ってもな…。
    二年目も舞台上の皆に拍手を送って終わり、と。

    「では、今年最後の愛の叫びです!」
    司会者の声に、生徒達の歓声が上がる。
    「おや?これは…舞台上ではなく、皆さんの中に紛れ込んでいるようでーす!」
    そのとたん、館内がドッと沸き上がった。
    「え?何々!?」
    周りがキョロキョロと見渡す中、あたしは片想い中の彼を見つける。
    「あ…」
    思わず声をあげると、彼はあたしに気付いてスッと手をあげながら歩いてきた。
    「おおっと!そちらにいる彼ですか~!」
    司会者の指差す方向に、皆が一斉に注目した。

    「いい加減、俺の気持ちに気付けよ。バカ…」

    これ、夢じゃないよね…

    きゅん

    7

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  18. 「…気持ちは嬉しいけど、答えるのは無理」
    何となく屋上でのんびりしていると、そんな男子の声がして、あたしは慌てて壁に身を隠す。
    「ど、どうして!?」
    壁の向こう側から、すがるような女子の声。
    (これって…間違いなく…だよね)
    聞かぬフリをしようとしても、耳がそれを許さない。
    「どうしてって…意味くらい分かんだろ」
    「…それって、私とは考えられないって事?」
    (うっ…生々しい会話だ…)
    動くに動けない状況に、あたしは息を飲んだ。
    (ん?この男子の声って…まさか)
    「ま、そういう意味だ」
    (幼なじみの奎太?)
    「わ…分かったわよ」
    辛そうな声と同時に、あたしの横を女子が通りすぎる。

    「おい、盗み聞きかよ」
    ふと声をかけられて振り向くと、いつの間にか奎太がいた。
    「ぐ、偶然よ!」
    (バレてた!?)

    「じゃあ、俺がさっき断った意味、分かるよな?」

    きゅん

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  19. 「はあぁ~…」

    誰もいない教室。
    あたしは一人机に向かい、溜め息をついた。
    机の上には当番日誌。
    だが、今だ内容は真っ白だ。
    あろうことか、もう一人の日直だった奴が先に帰ってしまったのだ。
    「ええーい!この怒りをどうしてくれよう!」
    バン!
    あたしは、机を思い切り叩いて八つ当たり。
    (この際、白紙で提出してやるか)
    そう思って立ち上がった時、ガラッと教室のドアが開いた。

    「はぁはぁっ…ま、間に合った、か?」
    息を切らせて入ってきた奴。
    「…もう終わったよ」
    素っ気なく答える。
    「忘れてたわけじゃ…」
    「いや、忘れてた」
    「マジで忘れてないって」
    「証拠はあんの?」
    聞くと奴が近付いてきて一言。

    「差し入れ持ってきた」
    「は?」
    ふいに、耳元でチュッと音がした。
    「…!?」
    「に、日誌書くぜ」

    背を向けた奴の耳は真っ赤だった…。

    きゅん

    7

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  20. 「おい、一人なのか?」
    偶然鉢合わせた部活の先輩に聞かれ、
    「あ、その…お化け屋敷に…」
    行きたいんですけど、一緒に行ってくれる人が…と言いかけて、あたしは口ごもる。
    「は?」
    先輩はポカンとしている。
    「いえ、その誘ったんですけど断られて…」
    「なるほど。それで困ってんのか…」
    先輩は、うーんと考えたあと、
    「じゃ、俺と一緒に行くか?」
    と言って手を差し出してきた。
    「えっ」
    (ど、どうしよう…)
    ジッと先輩の手を見つめるあたし。
    「ほらっ!」
    グイッ!
    「っ‼」
    先輩は、戸惑うあたしの腕を掴んで歩きだした。
    力強く握られた手に、ドキドキは増すばかり。
    「よし、着いたぞ」
    先輩は言うより早く、お化け屋敷の中へ入っていく。
    (もうお化けどころじゃ…)
    ガバッ!
    突然、背後から何かが抱きついた。
    「‼」

    「これで、お前は俺のモノだ」

    きゅん

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  21. 我がクラスの出し物は、執事とメイドがセットになったカフェ。
    本番を間近に控えた放課後、今日は出来上がった衣装合わせの日。
    執事とメイドになる皆が集まり、机に広げた衣装を見て興奮していた。
    「マジこれ着るの~!?」
    「思ったより超ミニじゃん!」
    女子が騒げば、
    「親父のと全然ちげーじゃん!」
    「かっけぇー!」
    男子も興味津々だ。
    あたしは、ふと隣にいる慧を見上げる。
    幼なじみで片思いの彼…普段はクールで冷めた感じなのに、今日は何だか乗り気だ。
    「ふーん…悪くはない」
    「じゃあ、慧。お前が着てみろよ」
    男子の一人が言うと、
    「じゃあ、女子は梢ね。幼なじみコンビで」
    女子の一人があたしを指名した。
    「え、ええーっ‼」
    「分かった。梢、行くぞ」
    慧が衣装を持って、あたしの腕を掴む。
    「ち、ちょっと待っ…!」
    「…俺だけに見せろ」
    掴まれた手が…熱くなった。

    きゅん

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