ケータイ小説 野いちご > 野いちご学園

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  2. 母はプロの演奏家。その影響で私も幼い頃からヴァイオリンをやっていた。

    けれど、そのことは私だけの秘密。
    所属する管弦楽部では私の本当の実力を隠して、わざと下手なふりをしている。


    ────だって。



    「先輩、今日もご指導ありがとうございました!」


    部活での先輩との一対一のレッスンが終わり、私は先輩の瞳を真っ直ぐに見つめて言う。


    「あの、明日の朝練は、この部分教えてもらっていいですか」

    「えー?君、もう十分上手いと思うんだけどなぁ」

    「私は納得いかないんです!先輩みたいに弾けるようになりたいんです、お願いします」

    「わかった。じゃあ、明日の朝練の時間に音楽室に集合ね」


    そう言うと先輩はすぐに背を向けて音楽室から出て行ってしまった。

    同じパートの女の先輩と一緒に。






    ────一対一練習の時だけ。
    貴方が私を見てくれるのは。
    彼女から貴方の視線を奪えるのは。

    きゅん

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  3. 彼はいつだって人気者で。

    気まぐれで、自由人で、チャラチャラしてて。

    彼の周りはいつも他の女子でいっぱい。

    高嶺の花、という表現を男子にも使っていいのかわからないけど、とにかく私はそんな厄介な人を好きになってしまったわけで。


    きっと彼は山のようにチョコを貰っていたのだろう。

    元々地味な上に、直接渡す勇気も、本命だと伝える勇気もなく、下駄箱にそっとチョコを入れておいただけの私のことなど、眼中にないだろう。


    あれから一ヶ月。

    彼は人気者の女子たちにはお返しを配ってたけど、当然私の方には見向きもしないまま一日が終わる。

    ため息をつきながら下駄箱を開けると、そこには―――


    「君に直接お返しを渡すのは、なぜだか照れるから。気が利かなくて、ごめんな。でも、君からは、なんか他とは違うものを感じたから」

    そう書かれた紙と共に、他の人に渡していたのとは違う、綺麗な箱が置かれていた。

    きゅん

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  4. 体育祭のラストを飾るフォークダンスが、間もなく始まる。
    入場門で、男女一列ずつ、出席番号順に並んで、隣の人と手を繋いで入場する。
    (彼と隣になれますように……!)
    私は心の中で祈りながら、前の方から順番にペアになって入場していく人達を眺める。
    私や、片想いの相手が並んでいるの辺りの列はまだぐちゃぐちゃで、誰と隣になるのかまだ分からない。
    やがて列は整ってきた。しかし、彼は、私のひとつ前の女子とペアにになってしまった。
    (あと一つずれていれば……)
    だが、その時、彼が一つ後ろの男子に向かって言った。
    「そこ、代わってくれない?」
    なんと彼は、順番を替わって私の隣にやって来たのだ。
    (……!!)
    私に向かって、笑顔で手を差し出す彼。私もそこに自分の手を重ねる。
    そのまま手を繋ぎ、並んで入場門に向かって歩く。
    「君の隣が良かったから、替わってきた。ダンス、楽しもうな」
    彼は私の耳元でそう囁いた。

    きゅん

    7

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