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  2. 数センチ高い目線に合わせようと一生懸命つま先を伸ばすのに、いじわるく目を細めた彼はいっさい屈むこともせず見下ろしてくる。

    これではまるで、わたしがねだっているような構図になってしまう。

    気に食わない。


    「もういい、帰る」


    寮の消灯時間が迫っている。

    わかっているくせに離してくれない。わたしも、わかっているくせに突き放せない。



    「もういい、じゃねぇだろ」


    ひどいよ、と思う。
    与えてくれないのに、欲しがるから。


    「(わたしだけを、欲しがってよ)」


    そんなことを言ってしまえば、この関係はもう終わり。
    麻薬みたいなキス。他のこと、何も考えられなくなる。



    「後戻りできなくなればいいのに。オレ以外、無理だって」


    背を向けた彼が低い声でなにかを呟いたけれど、聞きとれない。校舎の闇に白いシャツが消えていく。

    ────いつか

    君の愛に溺れてみたいな。

    きゅん

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  3. 「ねえー。龍ちゃん一緒に帰ろ」
    「ムリ。用事あるから」
    「それって女の子?」
    「当たりー」

    ヘラっと笑って、あたしに背を向ける幼なじみの龍ちゃん。

    「あみちゃんまた龍にフラれてるし。カワイソウ、よしよし」

    隣の席の涼くんがポンポンと頭を叩いて、なぐさめてくれたけど。

    「別に龍ちゃんのこと好きじゃないし。一緒に帰る人ほしかっただけだもん」

    「じゃあ俺と帰る?」

    「え、いいの?」

    「うん。だって俺、あみちゃんのこと好……」

    涼くんの声が不自然に途切れた。

    ……行ったはずの龍ちゃんが、いつの間にかあたしの後ろに立っていたから。


    「だめ」


    肩を強い力で掴まれて、引き寄せられる。

    普段ヘラヘラしてるくせに、やけに冷たい目で見下ろしてきて。

    「お前が他の男に懐くの、なんかおもしろくないんだよ」

    不機嫌な声が、そう言った。

    きゅん

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  4. 「お前、なんで合コンなんか行くわけ?」


    隣に並んできたのは よく知った一人の男子。


    「いーかげん彼氏ほしいもん。ていうかなんで知ってるの? こわーい」

    「聞こえてきたから」

    「ふーん」


    聞かれてたならしょーがない。


    「ねーあたしって可愛くないかな?」

    「可愛いよ」

    「だよね?でもモテないの。なんで?」


    可愛くなろって毎日努力してるのに。


    「お前に彼氏できないのは、俺が裏で手を回してるから」

    「…何?」


    今、さらっとすごいこと言われたような。


    「小学校の時から、今までずっと」

    「…」

    「なーんてね」


    ニヤリ、と口角を上げる彼。


    「ごめん、ちょっと意味わかんなかった」

    「要するに。次合コンなんか行ったら
    ころ すよってこと」


    頭に優しく手が置かれた。
    ちょっぴりキケンな笑顔。


    どきっとして
    素直にうなずくことしかできなかったーー

    きゅん

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  5. 「あ。優果(ゆうか)ちゃん、だ」


    階段で本田くんとすれ違った。

    本田くんは不良。授業はさぼるし、口も悪いし、すっごくニガテな男の子。


    「優果ちゃんも補習?」

    「う、ううん。違う…」

    「チッ。残念」


    舌打ちする人は怖い。早く会話を終わらせたくて、軽く頭を下げてから背を向けた。


    ーー直後。


    「待てよ」


    ぐいっと、強い力で腕を引かれた。
    半ば強引に向かい合わせられる。

    目の前に、本田くんの顔……。


    「っ、なに…?」


    恐る恐る見上げてみると、本田くんの綺麗な黒い瞳が揺れた。



    「優果ちゃんは俺のことがきらい…?」

    「えっ?」

    「いつも、俺と目を合わせない」

    「それは…」


    本田くんが、怖いから…


    「俺は、いつも優果ちゃんのこと見てるのに」

    「え…?」

    「夏休みなんだし、補習なんかサボって、俺と楽しいこと……しよ」


    end.

    きゅん

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  6. ゴンッ、という鈍い音。

    「……っ、痛い」

    顔を上げると、そこには意地悪い笑顔を浮かべた、私の幼なじみ、が。

    「お前のカレシが、裏門で心配してたぞ。遅いって」

    「あっ!今日放課後一緒に帰るんだった!!」

    「呑気に昼寝とか、最悪だな。」

    その直後、容赦ないデコピンが私を襲う。

    「痛い!ひどい!」

    「俺はひどくない。探しに来てやったんじゃん」

    ……あっ、わざわざ裏門から戻って来てくれたんだ。

    「ありがとう」

    素直にお礼を言う。

    「……嘘だよ」

    不意に、引き寄せられる。

    「あいつと、帰ったりすんな」

    ……えっ!?

    「なーんてな。状態だよ」

    「………キライ」

    「俺は好きだけどね」

    「もーいい!帰る!」

    「はいはい、じゃーね」

    笑顔で手を振る、私の意地悪な幼なじみ。  Fin.

    きゅん

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