ケータイ小説 野いちご > 野いちご学園

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  2. 「じゃー、10分休憩!」

    テニス部の部長の声が響く。
    テニスグランドの目の前には正門があり、下校していく3年生の姿が見える。
    先輩が部活を引退したのは2ヶ月前。
    もう新チームがまとまっている。
    でも、私はまだ男子テニス部の中に先輩がいないか探してしまう。

    ちゃんと、切り替えなきゃ。

    お茶を飲もうと、水筒を傾ける。
    しかし、数滴だけ舌の上に乗っただけだった。

    「はぁ……」

    溜め息をつき、水道に向かう。

    「あ、久しぶり。部活中?」

    振り向くと、元男子テニス部の先輩がいた。
    私がずっと目で追っていた人でもある。

    「はい。今は休憩中です」

    「ふーん」

    何も持っていない左手が、私に向かってくる。
    先輩の左手が私の頭に乗る。
    更に、数回ほど優しく頭を叩く。

    「頑張れよ。総体で後悔しないようにな」

    先輩の笑顔は、前と変わっていない。

    「はい!」

    きゅん

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  3. 「ねぇ、ちょっといい?」

    君が、私のクラスに来ている。
    私達は付き合って約3週間。
    今のところ、トラブルも無く過ごしている。
    今日は珍しく、君が私を呼んだ。

    「どうしたの?」

    私は彼の元に行く。
    君の顔はやけに歪んでいた。

    「何で僕じゃない人と話してるの?」

    いきなり言われて、驚いた。
    私は束縛には無縁だと思っていたからだ。

    「え、ダメ?」

    君が許してくれるように、上目遣いをしてみる。
    効果はあまり無いみたいだが。

    「当たり前じゃないか。
    僕は、君が大事なんだよ。
    命だって懸けられる。
    それなのに、君は無防備にも他人と話すのかい?」

    私は、胸のなかから不思議な感情が沸いてくるのを感じた。
    これは、名前を付けるなら、きっと、

    「私だって君が他の人と話してるのは嫌だよ。
    なのに、私だけが我慢するの?」

    《愛情》だろう。

    きゅん

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  4. 「はぁ…」

    朝から溜め息をつく。
    私は最近、ストーカーの被害にあっている。
    気のせいならいいのだが………

    不意に後ろから誰かに抱かれた。
    唯一見えた学ランの袖で男子だと分かった。

    「朝から溜め息ついて、どうかしたの?」

    声を聞いて、誰か分かった。
    隣のクラスの、私が好きな人。
    噂では両想いらしいが、確認はできなかった。

    「多分なんだけど、私、ストーカーに付きまとわれてるの」

    「え?本当に?」

    君は私を離した。
    私の体を強制的に自分の方に向けさせる。

    「大丈夫?
    俺でよかったら、何時でも相談に乗るけど」

    「うん。ありがとね」

    笑顔を作り、彼に向ける。
    彼も、私の方に笑顔を向けてくれた。



    彼のバックの中の携帯電話。
    そのメール履歴と電話履歴には、異常な量の私の名前がある。
    それを知るのはもう少し先のこと。



    「さあ、学校に行こうよ」

    「うん!」

    きゅん

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  5. 「おはよう!」

    付き合って約2ヶ月の君が私に挨拶してくれた。
    私が彼と付き合うことに周囲の人は反対したけど、私は彼と付き合って良かったと思う。

    「あ、おはよう」

    部活を引退してから、朝の登校時には絶対に彼と会う。
    きっと、運命かな。

    「ねぇ、今日、いつもより早いね」

    「え?そう?」

    唐突に君が言う。
    歩く速度かな?

    「うん。
    いつもは06:30にアラームかけてるでしょ?
    でも、今日は06:15に起きたよね。
    何かあったの?」

    私は驚いて、言葉を失った。
    彼とはそんな話したこともないのに、全部言い当ててしまったから。

    「何で、知ってるの?」

    「当たり前じゃないか」

    君は爽やかに笑いながら答える。

    「君の部屋に盗聴器をつけてるからだよ。君は無防備だから、僕が守ってあげる」

    何で周りが、彼と付き合うことに反対したか、今なら分かる。

    「早く教室に行こうよ」

    彼が怖い。

    きゅん

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  6. 私の日課。
    それは校舎裏の花壇への水やり。

    「はぁ……」

    いつもは上機嫌でやるのだか、今日はあまり楽しくない。

    「ねぇ、どうしたの?」

    後ろから声がした。
    振り向こうとしたら、何かに包まれてる感じがした。
    多分、抱きしめられてるんだ。

    「ううん。何でもないよ」

    声の主が誰かは分からなかったが、一応、 応えておく。

    「ふーん。そっか」

    ぱっ、と離されたので、後ろを振り向いた。
    隣のクラスの君がいた。
    付き合ってないが、気にかけてくれたことが嬉しかった。

    「ねぇ、悩みとかあったら言ってね?」

    「うん。ありがとね」

    「絶対だよ!」

    「分かったって」

    私は水やりの続きをする。

    「……僕、君が好きだから、悩んでる君を見たくないんだ。
    だから………」

    僕は君のためなら人を殺せるよ。

    私も、君のためなら人を殺せるの。

    「君も、僕と同じなんだね」

    きゅん

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  7. 私は帰宅部だ。
    帰宅することに青春の放課後全てを捧げる。
    そんな、いつもの帰宅になるはずだった。

    「ねえ、君さ」

    背後から声がした。
    声の主は私の名前を呼ぶ。

    「え、誰?」

    「そんな変なこと言わないでよ~」

    君は私の方にスタスタと異常な速度で歩いてきた。

    「僕ら、付き合ってるじゃないか」

    「は?」

    私は今まで付き合ってたことなんてない。

    「え、私、貴方と付き合ってなんか……」

    私の視界に、君だけが映る。
    誰かの足音が聞こえてきた。
    私が顔を反らすと、サッカー部の面々がいた。

    「あ、あいつ」

    君を見ながら、サッカー部の1人が話す。

    「かなりヤバいやつなんだよ。
    転入してきたんだけど、前の学校で好きな奴のためにクラスメイト殺しかけたんだってよ。
    しかも、付き合ってもないのに」

    私の中でその言葉だけが残っていた。

    「ねえ、一緒に帰ろうよ」

    私は逃げられないの?

    きゅん

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  8. 3時間目、数学。
    私が1番苦手な教科だ。
    今日は特に頭に入ってこない。
    理由は分かってる。

    「………」

    席替えをしたせい。
    ずっと前から好きだった彼と隣になったから。

    「それじゃ、プリント始めて」

    数学の先生が教卓の前で言った。
    不得意というレベルを超えて、何もできない私はプリントとのにらめっこを始める。

    「何か分かんないのあるの?」

    彼が私に声をかけてくれた。
    私はびっくりして、硬直してしまった。
    彼は私のプリントを覗きこむ。

    「全部?」

    私は恥ずかしかったが、素直に頷く。
    彼は制服のポケットからメモ帳を取り出すと、問題を紙に書いていく。

    「じゃあ、(1)からな」

    私は慌ててメモ帳を見る。
    丁寧で分かりやすい解説をしながら、答えに近づいていく。

    「で、代入。ok?」

    「う、うん!」

    「じゃあ、次な」

    君に近付くために、もっと勉強しよう。
    私は心に誓った。

    きゅん

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  9. 私はテニス部に所属している。
    毎朝、朝練の為に07:00には学校にいなければならない。
    運動部だから、仕方ないのだが。

    気だるさと眠気に囚われながら正門に向かう。

    「あ、おはよー」

    自分じゃないだろうな。
    そんなことを思いながら、歩みを進める。

    「お前だよ。おはよ」

    彼は私のクラスメイト。
    小柄な私とは対照的に、彼はクラスの中でもかなり大きい方だ。
    彼はバスケ部で、手足が長く、手も大きい。
    そんな大きな手で私の頭をガシッと掴む。

    「うわぁぁぁ!!」

    急なことで、過剰に体が反応する。
    自分も驚いているが、彼も驚いている。
    いや、彼の方が驚いている。

    「ははっ。お前、けっこー面白いな」

    爽やかな笑顔を私に向けてくれる。
    一方、私は驚いたことが恥ずかしくて、顔を赤く染め上げた。
    頬が熱い。

    でも、きっとそれは恥ずかしいだけじゃないと思う。
    彼の笑顔を、明日も見たいと思った。

    きゅん

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  10. 「せーんぱい!」

    後ろから声をかけてくれたのは、男子テニス部の君。
    一方、私は女子テニス部なので、接点はある。
    しかし、私は彼がどうしても苦手だ。
    軽そうな言葉使いと声。
    校則違反しまくりの服装。

    「第2ボタン。しまってないよ」

    「あ、ごめんなさーい」

    君は自分の第2ボタンに手をかけて、ボタンを閉める。

    「で、どうしたの?」

    腕を組み、少しでも怖そうに見えるようにする。
    君は全然気にしてないみたいだけどね。

    「先輩、彼氏いるんですか?」

    「なに、その質問。
    自分はいるんです、って自慢したいの?」

    冷たい視線にキツい言葉を重ねてみる。

    「いやー、そーゆーことじゃなくて」

    君はいつもは見せないような笑顔を浮かべた。
    私は君がどんな言葉を言っても動じないように構える。

    「俺、先輩のこと好きなんですよ。
    今、先輩、フリーなら俺と付き合いません?」

    私の中の時が止まった。

    きゅん

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  11. 「やっほー!」

    私は今、他クラスに遊びに来ている。
    最近通いつめている3年2組。
    私は6組だから、ほとんど端から端へと移動している。
    でも、通いつめる理由がちゃんとある。

    「あ、また来たの?」

    迎えてくれるのは同じ部活の友達。
    教室の扉にもたれ掛かりながら、話しをする。
    チラチラと彼を見ながら。

    「ねーそれでさー」

    「うんうん」

    ちゃんと会話をしているが、私の興味は彼に向いている。
    友達もちゃんとそれを知っているので、違和感がないように接してくれる。

    「飽きないね、ホント」

    「一途だけが私の取り柄ですから」

    いつも窓側の席に座っている君。
    ほとんど私の一目惚れ。
    周りは《どこがいいの?》なんて聞いてくる。
    そんなの、私にも分からない。

    「だって、好きになっちゃったもん……」

    誰にも気付かれないように呟く。
    もう少し、君を見ていてもいいですか?

    きゅん

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  12. 「ねえ!あのアニメ見た!?」

    3-1の教室の前。
    同じバスケ部とお隣のバレー部のメンバーで話しをしている。
    話題は《最近のアニメ》。

    「見た!もーめっちゃ格好いいよね!」

    アニメキャラに興奮気味の方々。
    笑顔で聞く方。
    自分が知っていたら入る私。
    ほとんど入らないが。

    「お前ら受験生だろ。そんなんばっか見てていいのかよ」

    担当科目は数学。
    私が1番格好いいと思う先生。
    率直に言うなら、好きだ。

    「疲れた体にはアニメが1番ですよ。せーんせ」

    軽いノリでバレー部の子が先生に言う。

    「そんなの聞いたことねぇよ」

    半分笑いながら、先生は返す。
    ああ、そんな笑顔が大好きだ。

    「ま、後で苦労すんのはお前らだけどな」

    アニメ大好き組に言った後、先生は私の方に顔を向ける。

    「お前はそんなこと無いと思うけどな」

    さっきとは違う笑顔を私だけに向けてくれた。
    先生は罪作りな人だ。

    きゅん

    9

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  13. 「あ!先輩、こんにちは」

    図書室へ向かう途中、声をかけてくれたのは、1つ下の君。

    「あ!やっほー。元気~?」

    「もちろん元気ですよ」

    どことなくクールで後輩らしくない君。
    もっと可愛げあってもいいと思う。
    君は私の手に持った本をちらりと見た。

    「これから、図書室ですか?」

    「そーだよ。君は何をするの?」

    「じゃ、図書室に行きます」

    「それ、今決めたでしょ」

    笑いながら、君に言う。
    冗談っぽくは聞こえないが。

    「はい。そうですよ」

    君の表情が急に大人になる。
    私のことを、私のことだけを見ている。
    何だか、恥ずかしくなってくる。

    「僕は先輩がいればそれでいいんです」

    「そんなの反則だよ。もっと可愛い子に言ってあげな」

    「僕は真面目ですよ」

    ああ、君はなんでそんな事をはっきりと言えるんだろう。

    「先輩。先輩にとって僕は恋愛対象外ですか?」

    きゅん

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  14. 「一本集中ーー!!」

    放課後の体育館。
    今日はバレー部が休み、バドミントン部が外練。
    だから、今日は男子・女子バスケ部だけ。

    「ぅおーし!!」

    顧問はいない。
    どちらかは分からないが、顧問の指示で珍しく男女混合でやっている。
    返事は男子に少々おされているが。

    「3分休憩!」

    「ぅおーし!!」

    水筒を取り、外を眺める。
    グランドには野球部にサッカー部。
    陸上部は外周だろうか。

    「お疲れ様。グランドになにか見える?」

    「あ、先輩。お疲れ様です」

    慌てて返事を返す。
    男子バスケ部のキャプテン。
    私より2つも年上。
    先輩の姿を見られるのは、今年で最後。
    そんな事を考えていると、先輩がまた口を開いた。

    「あと1時間だから、頑張ろうな」

    ニコッと爽やかに笑いながら、私の頭をポンポンと叩く。

    先輩、反則ですよ。

    きゅん

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  15. いつもの私のクラス。
    でも、今日はちょっと違った。
    久しぶりにクラスの男子と喋っている。

    「いやいや、それがなー」

    日頃、あまり男子と喋らないぶん、楽しく感じる。

    「ねえ、なに話てんの?」

    割り込んできたのも、クラスメイト。
    私が1番好きな人。

    「顧問の話。お前も入る?」

    「いや、いいや。でも、ちょっといい?」

    目が合っているのは私。
    何かをやった覚えはない。
    でも、呼ばれたのは少しだけ嬉しかった。

    「なに?」

    椅子から立ち上がった瞬間、腕を引かれる。

    「え、あ、ちょ」

    混乱する私をよそに、君はスタスタ廊下を歩く。
    やっと止まったのは、誰も来ない美術室前。

    「え、どうしたの?」

    君の背中に聞いてみる。

    「……………」

    返答なし。
    くるりと向きを変えると、君の声が私の耳に響く。

    「だって、俺じゃない奴と喋ってるとイライラする」

    君の声が私の耳に届いた。

    きゅん

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  16. 「あれ?今日、部活は?」

    背後から聞こえたのは、他クラスの人。
    でも、よく知っている声。

    「君も人の事言えないでしょ。部活は?」

    親絡みでずっと一緒にいた君。
    持っているスクールバックは土と泥で汚れている。
    やはり、サッカー部の汚れはグランドからいているのだろう。
    体育館部活の私は、1年の時のまま。
    砂や泥なんてついていない。

    「今日、顧問が出張だから。
    そっちは……あ、今日、木曜日か」

    バレー部の定休日、木曜日。
    朝練で持ってきたシューズをしっかり握りしめる。

    「珍しいね。
    君が私に話しかけてくるなんて」

    「何か酷くね!?」

    「そんなことないよ」

    ずっと変わらないこの反応。
    来年はほとんど会えなくなると考えると、卒業した訳じゃないのに、切なくなってくる。

    「ねえ、俺がお前を好きって言ったら、お前は何て言う?」

    きゅん

    18

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