ケータイ小説 野いちご > 野いちご学園

野いちご学園メニュー

ようこそゲストさん

  1. 10件ヒットしました

  2. 「…お願い、見つけて。助けて」

    冷たい隙間風が吹く真っ暗な倉庫の片隅で、私は膝を抱きしめた。
    窓の月がぼんやりと滲むと同時に、涙が頬を伝った。

    先輩は皆の憧れで、偶然仲良くなった私が周囲から邪険にされるのは当然だった。
    そんな扱いには慣れてしまったが、まさか倉庫に閉じ込められるとは思ってもみなかった。
    関わらなければこんな事にならなかったのに、それは出来なかった。

    私も、先輩が好きだから。

    手先が冷たくなりカタカタと震え出す。
    今日は、先輩が一緒に過ごそうと言ってくれた大切な日だったのに。
    涙が熱かった。いつもよりも熱かった。

    その時、突然ガタンッと大きな音がして倉庫の扉が開く。
    顔を上げると、そこにいたのは紛れもなく私が助けを求めた人。

    「心配させんな、馬鹿」

    怒ったような安堵したような声と共に先輩の温もりに包まれて、私はもっと涙が零れた。

    「好きだ、今度は絶対守るから」

    きゅん

    13

    三坂 しほさんをフォロー

    通報する

  3. 西日が差し込む放課後の図書室。

    「次の巻あるかな」

    読み終えた本を閉じて立ち上がりそう呟きながら棚へ向かう。
    目当ての棚へさしかかったその時、3年の学年カラーが入った上履きが見えて、誰だろうと首を傾げた。
    そっと棚の影から顔を覗かせると、棚に背を預け眠っている綺麗な顔立ちの男の先輩がそこにいた。
    ドキドキしながらその前を通って、お目当ての本に手を伸ばした。

    「…ん、あと少しなのに」

    脚立に乗っても幾分か高いところにあるその本は届きそうで届かない。
    本棚に手をつき背伸びをしたその瞬間、脚立が大きく揺れて私の体が傾いた。
    落ちる、と固く目を瞑ったその時

    「…阿呆か、チビ助」

    低い優しい声と共にふわりと誰かに抱きとめられる。
    恐る恐る目を開けると、間近にあの先輩の顔があり目を丸くした。
    先輩が私の体を離し、棚から本をとり私に手渡すと何も言わずに去っていく。

    ひどく頬が熱くなった。

    きゅん

    12

    三坂 しほさんをフォロー

    通報する

  4. 「好きだーっ」

    ヤケクソで叫べば下から友人達が爆笑する声が聞こえ、羞恥で握りしめていたフェンスがガタガタと揺れた。

    放課後の屋上。

    友人達とテストの点数で競走し、負けた私は罰ゲームを受けている真っ最中だ。

    「負けた人は、学校の屋上で愛を叫ぶ」

    何よ、その某恋愛小説のタイトルみたいな罰ゲームは!と、心の中で悪態をつきながらフェンスに背を預けて座り込んだ。

    「誰が好きって?」

    突然声が聞こえたかと思ったら、屋上の入口に立っていたのはよく知る『アイツ』。

    「べ、別に」

    突っ慳貪に言い返してしまって、心の中で後悔する。

    「ふーん」と興味なさげに私の隣に腰を下ろした。

    「で、誰が大好きなんだ?」

    「だ、大好きなんて言ってない!」と目を剥いて反論すれば、奴はふんと鼻で笑う。

    「本気で叫びたくなるくらいもっと好きにさせてやるよ」

    こんな奴の事が腹立つくらい大好きだったりする。

    きゅん

    11

    三坂 しほさんをフォロー

    通報する

  5. 天気予報では、午後からの降水確率は75%だった。

    下足場のガラス戸に雨粒が激しく叩きつけられるのを見て溜息を零した。

    どうも、雨の日は憂鬱になる。

    鞄から黒色の折り畳み傘を取り出した。

    降水確率が75%で傘を持っていかない程俺も馬鹿じゃない。

    「あ」

    ふと、入り口に見つけた小さな背中。

    「おい、何してんだ」

    俺が声をかければそいつは、びくりと飛び跳ねて、こちらを見た。

    「傘、忘れたの…」

    ほんのりと赤く頬を染めて、顔を俯かせポツリと呟いたそいつ。

    でも、そいつの鞄からはピンク色の傘の柄が顔を出していた。

    「ふーん」

    そいつの魂胆が分かった俺は、にやけそうになる顔を隠して、傘を広げて、振り返る。

    「一緒に帰りてぇなら、そう言えよ」

    振り返って手を差し出すと、嬉しそうに微笑むそいつ。

    どんなに雨が降ったって、こいつが隣にいるんなら、雨の日も悪くない。

    きゅん

    10

    三坂 しほさんをフォロー

    通報する

  6. ──先輩はボクだけのモノ。


    その大きな瞳には、ボクだけをうつして。

    その小さな手は、僕の手を握るだけのモノ。

    その声は、ボクの名前だけを呼べばいい。

    すべて、すべてボクだけのモノ。


    なのにどうして?

    どうしてそいつと一緒にいるの?

    話してただけ?

    そんな事、どうだっていいんだよ。

    誰といようが勝手でしょって?

    ふーん……。


    ──そうだ、悪い子にはお仕置きだよね。


    ボクの前で震える先輩は、ボクだけを見ている。

    嬉しいな、嬉しいな。


    ずっと一緒にいようね?

    離さないよ。

    何処にいようが、ボクは見つける。

    邪魔な虫は排除するだけ。


    大好きだよ、先輩。

    先輩は




    ──ボクだけのモノ

    きゅん

    8

    三坂 しほさんをフォロー

    通報する

  7. 夕陽がゆっくりと遠くの山に沈んでいく。

    誰もいない静かな教室で先生と私だけの内緒の時間。

    「あのね…先生、別れよう」

    俯き加減で小さな声で呟いた。

    「ああ丁度よかった。俺も今日その話をしようと思ってた」

    え?と慌てて顔を上げる。

    無表情の先生が私を冷たく見下ろしていた。

    嘘…でしょ。

    涙がぶわっと溢れ出す。

    「…ったく。お前から仕掛けてきたんだろ?…嘘だよ、嘘」

    「先生の馬鹿ぁ…っ」

    ぎゅっと抱きしめてくれた先生。

    どんどんと胸板を叩き、反抗してやる。

    「でも君は泣く程俺と別れたくないんだねぇ…?」

    「当たり前だよっ…大好きだもん」

    先生を見上げたその瞬間。

    先生は優しいキスをくれた。

    「可愛い事言うな馬鹿」

    毎年あるエイプリルフールだけど、今年のは忘れられないものになった。

    きゅん

    22

    三坂 しほさんをフォロー

    通報する

  8. 「…っ、先生!」

    誰もいなくなる時間を見計らって、階段を降りてきた先生に声をかけた。

    私の手には届いたばかりの卒業アルバムが握られている。

    一番に、一番最初に先生に書いて欲しかったんだ。

    大好きな先生に書いて欲しかった。

    「これっ、書いて下さい!」

    「ん、いいよ」

    渡す瞬間、先生と私の手がぶつかる。

    それだけで胸が高鳴った。

    迷うことなくペンを動かしていく先生。

    「はい、どうぞ」

    「ありがとうございますっ」

    ペンとアルバムを受け取ると、そっとそれを閉じた。

    そんな私を見て不服そうな表情を浮かべた先生。

    「今見ないの?見てよ」

    「…はい」

    そっとページを開いてみる。

    そこには達筆な字で
    【好きだよ。】その一言が書いてあった。

    「やっと言えた」

    暖かな先生の温もりに包み込まれた。

    きゅん

    32

    三坂 しほさんをフォロー

    通報する

  9. 「じゃあ、出席番号で二人ペア作って実験な」

    先生はいつも意地悪。

    名前の頭に「わ」がつく私はいつもあまりもの。

    「ん?なんだお前1人か。じゃあ俺んとこに来い」

    でも、それは私の特権でもある。

    想いを寄せている先生の隣で少しの間一緒に居られるんだもん。

    先生がお前って私を呼ぶだけで胸が高鳴る。

    実験が成功すると、頭をぽんぽんっと撫でてくれる。

    それだけで、幸せな気分になれるんだ。

    だけど、先生は皆のもの。

    私に見せる笑顔はみんなに見せる笑顔と同じ。

    先生の特別になりたいなんて、許されないんだ。

    知らないうちに、涙が溢れていた。

    そんな私を見て驚いた顔をする先生。

    困った生徒でごめんね。

    「っ、んな顔すんな。…我慢できなくなる」

    耳元でそう呟いた先生。

    「……好きだ」

    もっと涙が溢れた。

    きゅん

    25

    三坂 しほさんをフォロー

    通報する

  10. 「ほんっとかわいー」

    「まじそそられるわ」

    「やっ…」

    数名の男子に呼び出され、連れてこられた空き教室で突然壁に押し付けられた。

    キスされそうになり、ありったけの力を込めて押しのけ教室を飛び出した。

    頬をつたう涙を何度も手の甲で拭った。

    ドンっー

    前を見ていなかったせいで、誰かにぶつかった。

    「わりぃ、ってお前泣いてんの!?泣かされたのか!?…〜っこい!」

    そこには、大好きな大好きな幼馴染の姿。

    外見からよく勘違いされるけど、本当はとても心の優しい幼馴染。

    そして、手を引かれ連れてこられたのは放送室だった。

    彼は、放送のボタンを押した。

    「おいてめぇらよく聞け。俺の幼馴染泣かした下衆共はぜってぇに許さねぇ!覚悟しとけっ!」

    そうやって、いつもがむしゃらになって私を守ってくれる君が大好きなんだ。

    きゅん

    72

    三坂 しほさんをフォロー

    通報する

  11. 「どうしたの?体調不良?」

    大好きな優しい声が聞こえる。

    スカートの裾をぎゅっと握りしめ俯いて何もいいわない私。

    先生が他人行儀に話しかけてくる事に、胸がぎゅっと締め付けられた。

    卒業までは教師と生徒の関係でいるって決めたのに。

    でも、クラスメートが先生をカッコ良いって噂してたり、女の子が保健室に行くと、

    不安でたまらないんだ。

    「辛い?しんどい?」

    「…っはい」

    先生に会えなくて、話せなくて、触れれなくて

    辛いです。

    先生の手のひらが、おでこに当てられる。

    「んー、熱はないね」

    そう呟いて、離れて行ってしまった温もり。

    「先生…」

    刹那、強い力で抱きしめられた。

    「終わるまで…我慢できるか?」

    「…っはい」

    その一言で元気が出ちゃう。

    困らせてごめんね。

    大好きだよ。

    きゅん

    12

    三坂 しほさんをフォロー

    通報する

▲