ケータイ小説 野いちご > 野いちご学園

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  2. また、だ。
    教室で一緒にいても、私の彼はいつもぼんやりと別のところを見ている。

    「ねぇ、聞いてる?」
    「あー、何?」

    正面から顔を覗き込んだら、ようやく彼と目が合った。

    「だから、日曜日。どこ行く?」
    「あー、日曜……」

    ほっとして笑いかけたら、教室の端から嬉しそうな声が聞こえた。

    「おはよう。今日は間に合ったじゃん」

    彼の視線が声の方へと移動する。見ると、彼の幼なじみの女の子が、登校してきたばかりの彼氏に駆け寄るところだった。

    「寝癖ー。ネクタイ曲がってるし」

    笑いながら彼氏に触れる彼の幼なじみ。
    仲の良さそうなふたりを見つめる彼の瞳は、彼女が好きだと声なき声で訴えていた。
    彼女に向ける彼の眼差しが、私を不安にさせる。

    きみは、彼女が好きなんだよね。
    それなのにどうして、私に告白したの……?

    きみの本音に気付いた今はもう、引き返せないくらいにきみが好きだよ。

    きゅん

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  3. 「ごめん。早瀬まで濡れちゃったな」

    水泳部の部員達の悪ふざけで、水飛沫を思いきりかけられたあたしの腕を、佐野くんがプールサイドの端に引っ張っていく。

    「これくらい大丈夫だよ」

    髪の毛についた水滴を手の平で払うと小さく首を振る。
    制服はそこまでだし、髪もたいして濡れてない。
    だけど佐野くんは肩に掛けていたタオルをとると、ふわりとあたしの頭の上に被せてくれた。


    「ちゃんと拭けよ。風邪ひくから」

    「ありがと」

    笑いかけると、佐野くんの顔がすっと近づいてくる。

    「佐――…」

    名前を呼ぼうとしたあたしの声が遮られる。
    頭から被されたタオルのその下で、佐野くんがこっそりと触れるだけのキスをした。

    きゅん

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  4. ここ、だよね?

    周りに誰もいないのを確かめて、先輩の下駄箱の蓋を開く。

    片想いしてる先輩は学年問わず人気がある。
    去年のバレンタインも女の子からたくさん呼び出しを受けてて、作ったチョコを渡しそびれた。

    だから今年はこっそり下駄箱に入れとく作戦。

    カバンから出したチョコを下駄箱に入れたその瞬間。

    突然後ろからぎゅーっと抱きしめられた。

    「なーにしてんの?」

    耳元で囁かれて、心臓が跳ね上がる。

    う、嘘っ?先輩!?

    「これ、お前から?」

    先輩が下駄箱からチョコを抜き取る。

    「せっかく作ってくれたなら、ちゃんと顔見て渡せよ。やりなおし」

    にっと笑って、先輩が私の手にチョコを押し込む。

    「あ、あの……ずっと好きでした」

    「合格」

    チョコを持つ手が引っ張られて、そのまま先輩の腕の中につかまった……

    きゅん

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  5. イヴの日にバイト延長なんて、ほんとありえない!
    時間を気にしながら待ち合わせの駅前へと走る。
    ずっと好きだったひとつ上の先輩。何回か告白したけど玉砕で、それでも粘ってクリスマスデートにまで漕ぎ着けた。
    遅刻すると送ったメールに先輩から返信はない。待ってないかもしれないけど必死で走って、やっと駅前に辿り着く。辺りを見回しても、たくさんの人の中に先輩の姿は見当たらない。

    帰っちゃった……
    泣きそうな顔で俯いたとき、急に誰かが後ろから首に腕を回してきた。肩を震わせる私の耳に掠れた声が届く。

    「誘っといて遅れんじゃねぇよ」

    先輩だった。

    「ごめ、……なさい」
    「待たされたせいで、無駄に会いてぇとか思っただろーが」

    振り返ろうとした私を先輩が後ろから抱きしめる。

    「今、見るな」

    照れ隠しみたいな、先輩の不機嫌な声。どうしよう。ドキドキが加速する。

    きゅん

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  6. 「ねぇ、あのマンガ最新刊買った?」
    「おぉ、今度うちに読みに来る?」

    「いいの?じゃぁ、明後日――……」
    「明後日、友達と予定あるんだろ?」

    廊下で幼なじみの男子と喋っていると、部活前にそこを通りかかった彼氏に腕をつかまれた。

    「ちょっといい?」
    「うん、部活は?」

    不思議に思いながらついていくと、廊下の角を曲がったところで彼が怒ったような目で振り返った。

    「知ってる?あいつとお前が付き合ってるって噂あるの」
    「嘘だー。あいつ、ただの幼なじみだよ」

    「向こうは思ってないかも」
    「そんなことないよ」

    真剣な目をした彼の言葉を笑い飛ばすと、不意に腕が伸びてきて掬い取るみたいに抱きしめられた。

    「ここ、廊下……」

    慌てるあたしを彼がぎゅっと引き寄せて耳元でささやく。

    「いいよ。あいつのじゃなくて、俺のだし」

    きゅん

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  7. 放課後、一緒に帰る約束をした幼なじみがなかなか来ない。そういえば…と思いついてスクバを机の上でひっくり返すと、チョコ、飴、クッキー。いろんなお菓子がじゃらじゃらと出てきた。
    今日はハロウィンだからお菓子交換したんだよね。
    お菓子の山から大好きなイチゴミルク味の飴をみつけて口に放り込む。
    「ごめん、遅くなった」
    口の中で飴を転がしてると、幼なじみがやってきた。
    「何食ってんの?俺にもちょうだい」
    「好きなのいいよ。どれがいい?」
    「これ」
    彼が飴でぷくっと膨らんだあたしの頬を指で突いた。
    「イチゴミルク?もう一個あるよ」
    「これがいい」
    「えー?」
    目の前で彼がにやりと笑う。唇が重なったかと思うとイチゴミルクが奪われた。
    「トリックオアトリート、だっけ?」
    悪戯っぽくちらっと見せた彼の舌先にはあたしのイチゴミルク。
    「ずるい」
    空っぽの口でつぶやくのはあたし。

    きゅん

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