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  2. おめでとう。
    朝から学校内で何度も聞いた言葉。
    胸ポケットには全員お揃いの造花が付けられ、手には卒業証書を持っている。
    桜舞い散る春、今日は高校の卒業式だった。
    名残惜しく思いながらもこの日を待ち望んでいた。
    けれど、今は寂しさでいっぱいだ。
    最後のチャイムが鳴る。

    「卒業おめでとう」

    担任である先生が声をかけてきた。
    次第に太陽は落ちてきて、教室は夕日の温かみでいっぱいだ。
    先生の左手の薬指に嵌った指輪が光を反射している。

    「先生もおめでと」
    「ありがとう」

    優しく微笑む先生に、私も満面の笑みで返す。

    「そろそろ行かなくちゃ」
    「ああ。元気でな」

    手を振って別れを告げる。
    これで最後。もう2度と会うことはないだろう。

    「あーあ、今日告白するって決めてたのになあ」

    3年間ずっと好きだった。
    好きだったんだんだよ。
    暮れていく空の中、私の涙が思い出いっぱいの校舎に落ちた。

    きゅん

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  3. 高校三年生の文化祭が終わった。
    クラス全体でする行事もこれで最後で、後は皆各々の進むべき道を歩む事になる。
    私と同級生の春は帳簿の提出を終え、暗くなった教室へと戻ってきた。
    「もうすぐ卒業だな」
    春はぐーっと伸びをしながら呟いた。
    私達はもうすぐ離れ離れになる。私は地元の大学に進学するが、春は上京するからだ。
    「なに寂しそうな顔してんだよ」
    まだ先だろ、と春は私の鼻頭を突っついて笑った。
    「もうっ!別に寂しくなんかないよ」
    見え見えの嘘をついて私は鞄を手に持つ。
    2年生の時に同じクラスになって、ずっと春に片思いしていた。その春が遠くに行ってしまう。
    ああ、やめて、泣きそうになる。
    「待てよ」
    「なに?早く帰らなきゃ」
    「俺、上京しても会いに来るよ」
    「はいはい、わかったわかった、その話はおしま…」
    春が急に私の手を掴んだ。
    目と目が合う。
    ああ、どうしよう。涙が。

    「お前が好きだから」

    きゅん

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  4. いつも同じ時間にやってくる大学生らしきお客さん。
    決まって注文するのはブラックコーヒーで、窓際の席に座りパソコンを見ている。
    カウンター越しでしか話したことのない彼に、私は密かに想いを寄せていた。
    そんなある日、彼はいつもの時間ではなく閉店1時間前にやってきた。
    「コーヒーを1つ」
    なんだか今日の彼は少しぎこちない。
    その様子を不審に思いながらも、私はコーヒーを淹れる。
    「あ、の」
    すると急に声をかけられた。
    「今…彼氏、とかいますか…」
    「え」
    私の間抜け顔をみて男性の顔が赤くなる。それにつられて私も真っ赤になっていく。
    「い、いないです」
    「そうなんですか」
    「そ、そちらは…」
    「いないです」
    「あ、一緒ですね」
    沈黙が落ちる。
    お互い顔が見れない。
    「えっと」
    意を決したように、端正な顔を紅潮させたまま男性は私に一枚の紙を渡した。
    「ずっと素敵だと思ってました。よかったら連絡下さい」

    きゅん

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