ケータイ小説 野いちご > 野いちご学園

野いちご学園メニュー

ようこそゲストさん

  1. 9件ヒットしました

  2. 「やっとしてきたな」

    色違いのマフラーを巻いた彼は満足そうに隣を歩く。

    「好きでしてきたんじゃないし」

    「嫌なら外せば?」

    ニコッと笑って言うから本当に腹が立つ。

    「外せないの知ってるくせにムカつく!大嫌い!」

    ふと気が付くと隣にあるはずの彼の姿がなかった。

    言い過ぎ、た?

    でも悪いのはあっちだもん。

    「う、きゃっ」

    突然マフラーが後ろから引っ張られ変な声が出てしまった。

    「……大嫌いは酷くね?」

    振り向くと拗ねた顔の彼がいた。

    何だかすごく愛しくなってしまったのも悔しくて前を向く。

    「本当だし」

    「おい」

    また強くマフラーを引っ張るから苦しくて心まで締め付けられる。

    「……嘘。色違いのマフラーも首にあるキスマークも全部本当は嬉しいし悔しいけど好き……大好きだもんバカっ」


    ……やられた。

    振り向くと満足そうに笑う彼がいた。

    きゅん

    10

    藤乃さんをフォロー

    通報する

  3. 「あーほんと嫌」

    彼が何日も前から嫌だと言っていたハロウィンの行事。

    「似合ってるよ!あの、何て言うか…性格出てる」

    「あぁ?」

    今にも噛みつきそうな目で見るから笑いそうになったけど「冗談」って言って目線をそらせた。

    「つか、お前のそれ何」

    「あぁこれ、カボチャ!」

    「カボチャのくせに肌出しすぎ」

    彼の言葉にハッとして恥ずかしくなる。

    「ほらこれ、自分で作らなきゃじゃん?これが一番簡単だった…か、ら」

    視線を外したままなのに彼の視線を感じる。

    「ふーん」

    素っ気ない彼の言葉に「あんま見ないでよ」と後ろを向いた。

    「あんま見せんなよ」

    夜風を遮るように私の冷たい肌はマントと彼に包まれる。

    何もないお腹に彼の手が。首筋を這う唇に息が出来ない。その瞬間、身体に電気が走った。

    「か、噛んだでしょっ」

    「吸血鬼、いいかも」

    ニヤリと笑ってまた噛むようなキスをした。

    きゅん

    220

    藤乃さんをフォロー

    通報する

  4. 「手」

    「手?」

    「ほらっ」

    「やだよ」

    「は?いいから手だせよ」

    「やだって!」

    「てめぇ俺の女だろ」

    「うっせぇな」

    「おまっ……ほんとに口わりぃな」

    「お前に言われたくない」

    「いいから手」

    「だーかーらー嫌だって」

    「何で」

    「……見られるのとか」

    「は?」

    「は?じゃねぇよ」

    「もしかしてお前恥ずかしいの?」

    「だったら何」

    「え、マジで?マジなの?」

    「うっせぇ」

    「……」

    「ちょ、やめてよ」

    「ふ、かわいっ」

    「なっ」

    ――ゲシッ

    「蹴んなよ、いってぇ!」

    「だって……」

    「だってじゃねぇよ、手ぐらい繋がせろよチチ揉むぞこらっ」

    「……」

    「……ごめん、口が滑った」

    「…………いいよ」

    「え?い、い?」

    「……」



    「……家、くる?」


    「…………うん」

    きゅん

    33

    藤乃さんをフォロー

    通報する

  5. 何度も書いては渡せなかったラブレター。何度もその想いを綴っては消した。でもそれも今日で最後。

    渡しそびれたラブレターを今日は全部渡すんだ。そう思って学校に来たはずなのに。

    時間はあっという間に過ぎていく。どんどん遠くなる先輩の背中を見つめながらラブレターを握りしめる。

    好きだと伝える勇気がない私だけど、いつか先輩が「お前が笑うとつられて笑っちゃう」って言っていたから。最後くらい笑顔でいたかった。

    溢れそうな涙をぐっと堪えて走った。

    「せんぱーい!おめでとうございます!」

    「うわっ、何これ、すっげぇ……キレイ」

    先輩の頭上をヒラヒラ舞う小さくなったラブレターの紙吹雪。

    「渡しそびれてたラブレター、です」

    泣き顔は見られたくなくて後を向いた時、背中が急に温かくなった。

    「俺も言いそびれてた」

    そう言うと先輩は私をギュッと抱きしめ耳元で「好きだ」と呟いた。

    きゅん

    51

    藤乃さんをフォロー

    通報する

  6. 一晩中泣いた重い目で窓の外をボーっと眺めていると、あれだけ泣いたのにまた涙がこぼれそうになる。

    ふと、気がつくと前の席の男子が私を見ていた。

    「あ、ごめん、何?」

    私の机にプリントを乱暴に置き、前を向いたかと思えばすぐにまた振り返り今度はプリンを机に置く。

    「プリンとプリント」

    「ん?」

    「ここ笑うとこ」

    「そうなの?」

    うまく笑えなくて困った顔になると同じように困った顔で。

    「お前今日元気ねぇからこれでも食って…って、なっ、どうした?」

    こいつの顔を見てたらなんか力が抜けちゃった。泣きたくないのに涙が頬をつたう。

    「ちょ、泣くなよ」

    「勝手に出るんだもん」

    止まらない涙を拭おうとすると、突然視界が綺麗な水色で覆われた。

    「これで誰も見てねぇよ」

    カーテンで隠してくれたのはいいけれど、それと一緒に私の手を握るのは反則だ。ドキドキして全然泣けないじゃん。

    きゅん

    26

    藤乃さんをフォロー

    通報する

  7. 程よい筋肉に少し赤い髪の毛。走る姿が美しくて一目で心を奪われた、あの日。

    あの日からスケッチするのは決まってグラウンドが見えるこの花壇。

    しかし今日は本当に暑い。太陽を睨むと視界が歪むのがわかった。あれ?っと思う間もなく体から力がぐにゃりと抜けた。

    脳裏には彼の走る姿。

    やっぱり美しい……ふと気がつくと夢見は最高なのに頭がズキズキと痛い。

    「大丈夫か?」

    そう言って覗き混んだのは彼だった。彼は団扇で私に風を送りながら状況を説明してくれた。

    軽い熱中症になって倒れた私に気づいた彼が保健室まで運んでくれたという。

    「倒れた時頭打ってたから心配で…それと…」と何故か顔を赤らめながら手渡されたのは私のスケッチブック。

    「え、もしかして」

    「いや、ごめん、見るつもりはなかったんだけど」

    最後のページには普段風景しか描かない私が唯一描いた人物画が。恥ずかしくてお礼も言わず俯いた。

    きゅん

    22

    藤乃さんをフォロー

    通報する

  8. 窓の外を眺める会長が大きなため息をひとつついた。

    「あいつらチャイムが鳴ったのも気づいてないな」

    会長の視線の先が気になり、外を覗きこむと校舎裏で抱き合う男女の姿があった。

    え、あれって。

    私は一瞬目を疑った。男は知らない人だったけれど、女は会長の彼女だったからだ。

    「ちょっと会長!」

    思わず大きな声を出すと隣にいた会長の手で口を塞がれ、腕を引かれその場に座らされた。

    「声がでかい」

    「で、でも」

    「いいんだ」

    「……」

    「慰めましょうか?」

    少しの沈黙に耐えきれず冗談混じりにそう言うと、強く両手を掴まれ壁に押さえつけられていた。

    「いいんだな?」

    会長の顔が数センチまで近づき、どう息をしていいのか心臓が痛すぎて目をつぶると、ふわっと頭の上に優しい掌の感触が2回ぽんぽんって。

    「ありがと」

    悲しそうに笑ったその顔に私が泣いてしまいそうだった。

    きゅん

    34

    藤乃さんをフォロー

    通報する

  9. 私が嫌そうに突っ立っていると「あの事」と先生が切り出したから「はいはい」と背もたれのない椅子に素直に座る。

    「あの事」なんて言うほど大した弱味を握られているわけではないけれど、定番になってしまった安定感抜群のやり取りで雑用を手伝わされるのは毎度の事。

    まぁ生徒思いで同僚としても尊敬しているから手伝うけれど、やり方が毎度回りくどい。

    男としてはどうかと思う。

    でも無駄にイケメンなんだよな。

    ちらっと隣に座った先生の横顔を見ると、その視線に気づいたのか目が合う。

    何だか恥ずかしくなって笑うと同じように先生も笑っていた。

    その優しい視線に目を奪われると突然、手首を捕まれぐっと引き寄せられていた。

    「俺は今、本能に負けた」

    「え?」

    「理性とは無防備な好きな女が隣にいるという状況では働いてくれないらしい」

    顔を上げた先には耳まで赤くなった言葉よりもわかりやすい先生がいた。

    きゅん

    20

    藤乃さんをフォロー

    通報する

  10. まだ感覚が残る唇を少し噛んで校舎の壁にもたれたまま空を見上げる。すごく綺麗な青空に何だか責められているようで目をとじた。

    「いい加減やめね?」

    突然の言葉にとじたばかりの目を開くと、私を隠していた彼が、いつの間にかしゃがみこんで睨むようにこちらを見ていた。

    「こんな事してて楽しいの?それとも何?彼氏の後輩じゃなきゃ萌えない性癖?」

    「そうだ、よね」

    いつか、こんな日がくると。こんな関係続けられない事はわかってる。頭ではわかっていても体は彼を求めて少しだけ震え立ち止まる。

    ぐっと堪えて唇をまた噛んで一歩踏み出すと、突然背中が温かくなった。

    「……やっぱり、やめないで」

    後ろからギュッと抱き締められ、耳元で絞り出すように囁かれた言葉はいつもの生意気な口調とは違い、甘えるような声。首を撫でるような前髪と整った鼻筋。

    体の奥の方がギュッと痛かった。

    きゅん

    14

    藤乃さんをフォロー

    通報する

▲