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この幼馴染はよくモテる。でも甘いものが苦手だから、この日は本当に辛そう。
「あーもう、何が『食べなくてもいいんで気持ちだけ受け取ってください』なんだよ。気持ちだけとか言って鞄にチョコねじ込みやがって」
リビングから彼のグチが聞こえてくる。
甘くないチョコって本当にあるから、それをもらった可能性もあるよね。そう思うとチョコをあげた子に同情する。
キッチンから無糖ココアを持っていく。
「ん、ありがと」
私は自分のココアにスティックシュガー2本入れる。ココアも甘味がある方が美味しいと思うんだけどな。
「ねぇ、本当に甘いものダメなの? 果物は食べられるのに」
突然彼が身を乗り出した。彼の顔が近づいたかと思えば、一瞬唇に何かが触れた。
「俺、甘いのは本当はこういうのがいい。……あれ、固まっちゃった? まぁいいや、もう1回しよ」
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雪合戦でクラスメイト相手に大暴れしたあと、休戦を受け入れた。
「先輩、これ」
通りすがりの後輩が差し入れにホットコーヒーと、小さな紙袋をくれた。
紙袋に貼られているテープをはがすと、雪の結晶のモチーフがついたヘアピンが入っていた。
「これ……」
以前雑貨屋さんで、欲しいな、でも似合わないだろうなとひとりで迷っていたものだ。
「先輩、必死に考えすぎてて気づかなかったんでしょうけど、あの店に俺もいたんですよ」
「え、見てたの? 声くらいかけてくれてもいいじゃん!」
元気がウリのあたしがそんな姿を学校の人にさらすなんて恥ずかしすぎる!
「いや、必死だからこそ邪魔しちゃ悪いなって話しかけられなかったんですよ」
「あ、ありがとう……」
後輩がヘアピンをつけてくれた。
「やっぱり似合ってます。雪合戦も、雪の結晶も」
雪合戦のハラハラより、今のほうがドキドキする。
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「ごめん、まさかクリスマス直前に彼女ができるとは思っていなくて……」
「仕方ないよ、こればっかりは」
彼は24日と25日にバイトのシフトを入れていたらしい。
両手を合わせて深々と頭を下げられると、こちらのほうが申し訳なくなる。
「ごめん、バイト代入ったらどっか行こう」
「うん。だからバイト頑張って」
無理やり頭を起こさせる。
クリスマスはどうしようかな。ひとりで好きなケーキ食べに行くのもアリだね。
ひとりで過ごすクリスマスの予定を考えていると、ふいに唇に何かが触れた。
「バイト頑張るからさ、先にプレゼントってことでキスしていい?」
その彼の顔はいたずらっ子のものだった。
「いいよ」
「あとバイト終わったらご褒美ってことでキスしたい」
「はいはい」
何も言わずに同時にお互いの手から小指が出て、笑いながらそれを絡めた。
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「やる」
渡された小箱を見るともみじ饅頭と書いてあった。
どこ行ってきたのかわかりやすい。
「ありがとうね。紅葉、きれいだった?」
「まぁ」
面倒そうな返事とは逆に、スマホで撮った写真を丁寧に見せてくれた。
目が痛くなるほどの鮮やかな赤色と黄色に圧倒される。
「私も生で見たかったな~」
さすがに授業サボって彼氏と旅行する勇気が無かったから、彼ひとりだけの旅行になってしまった。
「……俺も、どうせ見るならお前と見たかった」
あれ、いつもはそういうこと言うキャラじゃないのに。
「なんだよ。きれいな景色、ひとりで見るのもいいけど、ふたりで見るのも悪くないなって思っただけだし」
「じゃあ来年、連休だったら連れて行ってよ」
「あ?」
なんかまずいこと言ったかな。
「来年とか言わずに来月イルミネーション見に行こうぜ。紅葉とは違うけど」
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クラスの女子にしつこくナンパする男がいたから、校舎裏におびき寄せてシメたところを生徒会長に見られた。
会長に呼び出されて、生徒会室で2人きり。会長の背後の夕焼けはきれいだが、逆光で会長の顔がよく見えねぇ。
冷徹で有名な会長のことだから校長にチクられて最悪退学かもな。
「お前、今回のこと周りに知られたら困るよな?」
それきた。
「はい。何をしたらいいですか?」
女総長であることを隠して普通の高校生活もここまでか。
普通のJKとして参加する文化祭も楽しかったんだけどなぁ。
「話が早くて助かる。俺の女になれ。女どもがうるさい。お前なら多少のやっかみならどうにかできるだろ」
あたしが本気出せばやっかみどころか族2つ3つ壊滅するぞ。
「わかりました」
「交渉成立だな。じゃあ早速カレシカノジョらしいことするぞ」
腕をいきなり引かれ、唇に柔らかいものが当たった――?
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不戦敗になっても大した損失にならない短距離走にヤツを登録した。体育祭を絶対にサボると思っていたが、来た。
しかもぶっちぎりの優勝。
出だしから調子が良かったからクラスメイトの熱狂は冷めないまま体育祭を終えた。
「体育祭サボるかと思った」
普段から留年ギリギリの出席日数だったから。
「いや最初そのつもりだった」
単位かな。
「それもあったけど、前に誰かさんが『一所懸命な人が好き』って言ってたから今日から頑張ってみることにした」
誰だろ?
自販機で買った飲み物を飲む。体育祭頑張ったから冷たい飲み物が美味しい。
「いやお前だし」
飲み物をこぼしかけた。
「そうだっけ!?」
「正確にはお前らが恋バナで盛り上がっていたのが聞こえた」
「何で聞いているの! というかなんで私が言ったこととあんたが頑張ることが繋がるの!」
「いや気づけよ」
ヤツは私の口回りをハンカチで拭いだした。
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「先輩、気づかなくてすみません……」
花火大会で溢れる人の熱気、汗の匂いで酔ってしまった。
人気のない道まで後輩に手を引かれ、ようやく座れる場所を見つけた。
後輩がお水を買ってきてくれた。
ひとくち飲むとのどにひりつくような感覚が薄れ、爽やかな気分になる。
「私もごめん、気分悪くなっちゃって。でもありがとう。買ってきてくれたお水のおかげで少しはよくなったし、ひとりで帰れるから、花火大会楽しんで」
せっかく誘ってくれたのに悪いことをした。せめてひとりで楽しんでほしい。
「嫌です。先輩をひとりで帰らせるなんて心配でできません。花火大会なんて来年もあるし、送りますよ」
「でも1年って長いよ?」
それに私ってひとりで帰れないと思われるほど頼りない?
「先輩がいない花火大会なんて、何もない夜空を見上げるのと同じじゃないですか。先輩と少しでも長くいたいんで、送らせてください」
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「ごめん、なんか記憶喪失って医者が言ってて」
「いいんです、記憶が無くなっても! 先輩が生きて帰ってきてくれただけで十分なんです!」
先輩が突然いなくなって一週間。
記憶喪失とわかっても、先輩が生きているという嬉しさのほうが勝っている。
「でも俺、君のこと全くわからないし。俺を見た瞬間に『よかった』って泣いていたけど、付き合っていたとか?」
「全然違います! 私が一方的に先輩を好きなんです! でも先輩と気まずくなりたくなかったから、ずっと言えなかったんです」
先輩に気を遣わせたくないからとはいえ、私、勢いで告白していない!?
「それ、ほんと?」
これ以上口を開くのが恥ずかしくて、うつむいたまま首を小さく縦に振る。
「嬉しい。記憶が無くなっている俺なんかでよければ、付き合ってほしい、けど」
「君が好きなのは記憶のある俺だと思うから」
先輩は私を抱きしめて震えていた。
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「傘二本持ってたりする?」
「うん、長い傘と、いつもリュックに入れっぱなしにしている折り畳み傘と」
「じゃあ折り畳み傘貸して」
なのにあいつ、私から借りた傘を友達に貸しやがった。
「なに又貸ししてんのよ」
「悪い悪い、あいつ持ってねぇって言うから」
「あんたが傘盗まれたっていうから貸したのに」
友達思いなのは知ってるけど、あんまりだ。
「つーことで、傘、入れて」
「はいはい」
同じマンションに住んでいるので、仕方がない。
帰り道は無言だった。顔は私のほうを向いているくせに、話題を振ってみても上の空だったから、諦めた。
「傘、サンキュな」
マンションに着いてようやく彼が口を開いた。
「ごめん、俺、何も考えずに傘に入れてもらったけど、お前女だったな。髪とか、横顔とか、さっきくらい近づかないと気付かなかった」
「今更だけど、お前のこと、初めて女として意識した」
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「わざわざ学校で筋トレしなくてもよくない?」
腹筋する彼の足を押さえながら聞く。
以前、「やっぱ勝ち続けるためには努力しないとな」ということで鍛え始めた彼に惚れ直したのは秘密。
ただ無敗の彼が突然そう言い出した理由が気になる。お昼食べ終わってすぐトレーニングなんて、そういう性格じゃないのに。
「何かあった?」
「何もねーよ」
「それじゃ不自然すぎるよ。今まで筋トレとか面倒くさがってしなかったのに。幹部のひとりがあなたと例の総長とタイマンするって口すべらせたんだけど、それと何か関係あるの?」
彼が起き上がり舌打ちする。
「……負けたら、お前と別れろって」
「……?」
「あいつ、お前に一目ぼれしやがったみたいで、『俺が勝ったら別れろ』とかぬかしやがったんだよ」
だから、と。
「俺は絶対にお前を離したくない。だから絶対に、勝つ」
私を見つめるまっすぐな瞳に惚れ直したのも、また秘密。
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イースターは卵料理を食べるらしい。
たったそれだけの情報で私の最近のお弁当は卵を使ったおかずが何かしら入っている。
今日はそぼろ丼。
スプーンでこぼさないように食べていると、いつものように後輩がやってきた。
「先輩、こんにちはっ。今日もこんなところで食べているんですか?」
「レジャーシートさえ持っていけばお花見の穴場なのよ」
「あー、確かに、桜、きれいですねぇ」
今気づいたの?
こんな素晴らしい桜に興味無いし、私のところに遊びに来るし、可愛いけど何考えているかよくわからない。
「先輩、卵ついていますよ」
後輩は言いながら私の唇に触れ、それを自分の口に入れた。
恥ずかしさが勝ってなぜそんなことをするのか聞けなかった。
「いや俺だって男ですし。一目ぼれした先輩にお近づきになりたいって思うじゃないですか」
そしていつかは食べさせてくださいね、可愛いうさぎ先輩、と笑顔を向けられても。
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「はい、ホワイトデーのお返し」
幼馴染と毎年このやり取りをしている。
昨年は白地にイニシャルの刺繍がされている高そうなハンカチをもらってしまったので、そのお返しとして今年はちょっといい材料でホールケーキを作った。これでおあいこになればいい。
今年は気楽なの値段のものだといいんだけど。
がさがさとラッピングを解くと出てきたのはハンカチではなかった。
「何これ……」
短い起毛がある、細長い箱が入っていた。さらに、その中にネックレスが入っている。
「や、去年は何も考えずにハンカチを贈ったけどさ。ハンカチって『別れ』の意味があるらしいのな」
そんなの初耳だよ。
「俺、お前と別れたくないから。でも幼馴染はやめたいから。ネックレス貸して、後ろをむいて」
言われるがままに背を向ける。首に時々触れる彼の手が、魔法のように私の体温を上げていく。
「すげー耳真っ赤。俺も人のこと言えないんだろうけど」
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「先輩に、僕の好きなチョコを好きになってほしくて持ってきました」
「ありがと。そうだ、私もチョコを持ってきたんだよ。市販のもので悪いけど」
後輩は、私からチョコをもらえると思っていなかったのか、私からのチョコを凝視している。
「開けていいですか?」
「うん、大したものじゃないけど」
私ももらったチョコのラッピングを解く。……ん?
「先輩、これ……」
後輩が大きな目で私からのチョコを取り出す。
「私もそのチョコ好きなんだよ」
まさか後輩から、あげたのと同じチョコをもらえるとは思わなかった。
「おいしいですよね、このチョコ!」
しばらくチョコの魅力だけで盛り上がっていた。
予鈴が鳴ったので、授業の準備のために教室に戻ろうとしたら後輩に手をつかまれた。
「先輩がこのチョコを既に好きなら、次は僕のことを好きになってほしいです……」
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暗くて相手の顔がよく見えない。
「あいつをおびきよせる餌としてここにいてもらう」
おそらく私の元カレのことだ。元カレは地元最強の暴走族長だ。
「……無駄ですよ、最近フラれたので」
やっぱりカノジョよりダチのほうが大切だからと。
構ってもらえないことが多いことを承知して隣にいた。
だけど、縁ごと切られることは、何も準備していなかった。
SNSすらつながらない空虚感が恐怖を上回り、私に妙な冷静さをもたらしてくれる。
「じゃあ、俺たちの作戦は一体……」
何だったんだ、という声と同時に扉が蹴破られる音がした。
最強の族長が仁王立ちしていた。
「お前、あんな嘘信じるなよ。ひどいな、おい」
「なんで」
「元カノとはいえ惚れた女を助けに行かねーでどうする。そもそもコイツらの拉致監禁計画を知ったから、それを避けるためにわざわざフッたってのに」
俺たちの作戦は一体何だったんだ、と苦笑いした。
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「おかゆできたけど、食べる?」
「おう」
まだ開けていない段ボールの上に、トレイを置く。
ひとり暮らしを始めて間もないうちに風邪をひくなんて、ついていないな、この幼馴染は。
「悪いけど、そっちが寝ている間に勝手に段ボール開けたから」
枕元にはスウェットとタオルが置いてある。
「サンキュー。悪いな、引っ越し手伝ってもらったうえに看病もしてもらって」
再婚するお父さんを気遣ってひとり暮らしを始めると聞いたときは驚いたし、仕方がないって思っていたけど。もうご近所さんじゃないんだって思うとさみしかった。
だから、こういう形でも近くにいられるのが嬉しかった。
「あ、そうだ。俺のカバン取って」
彼はカバンから鍵を取り出した。
「一つやる。失くすなよ」
彼女でもないのにそれをもらう意味がわからない。
「……男が女に部屋の鍵を渡す意味ぐらい、察しろ」
私も熱、出しちゃったかな。
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「あいつ今お前のこと見た」
「……気のせいじゃない?」
私の彼氏は心配性。
「お前、可愛いから」
「そんなこと言ってくれるの、あなただけだよ。ありがとう」
不機嫌な彼の後ろに回って肩を揉み始める。親指で首の付け根を押すと、硬くてこりこりしたものを感じる。
「いつも睨んでいて、疲れない?」
みんなと仲良くすればいいのに、と言いたいことをぐっと我慢する。そんなこと言ったら「俺と離れたいの?」とすねるから。
「疲れない。一緒にいられるんなら、これくらいどってことない」
そっか、と軽く返す。
「……俺、お前と離れるくらいなら逝ったほうがマシだわ」
「はいはい、そういうこと言わないの」
「でもできるんだったら一緒に逝きたい。天国があるんなら、天国でも一緒になりたい」
彼は私と向き合う姿勢になって私の首に手をかけた。
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「何かあったんですか」
卒業して大学生をしている彼氏がなぜか高校にいる。
「彼女が他の男と話していないか確かめに」
「大丈夫ですよ。それに先輩の弟さんが目を光らせているので」
偶然先輩の弟さんと同じクラスになった。それで私が男子と話していないかどうかとか逐一報告させられているらしい。この前、クラスの男子に「お前ら、俺が兄貴から八つ当たりされるからコイツとあまりしゃべるな」と睨んでいた。不憫に思った私はクラスの男子に謝った。
「おい、日直の仕事忘れてるぞ……、あ、兄貴、来てたんだ」
先輩の弟さんがこっちに来た。
「あ、ごめん、忘れてた。先輩、すみません、まだ仕事が残っているので、待っていてくれますか?」
「待たない」
「えっ」
「俺の弟でも仲良くされると腹が立つし、日直の仕事とはいえ教室で2人きりにさせたくないから手伝う」
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いつの間にか不良になった幼馴染がいる。
普段は学校に来ていない。来たとしても授業中は寝ている。
夜行性の彼が珍しく保健室に行ったらしいのでお見舞いに行く。
授業中爆睡する彼はわざわざ保健室でサボるわけないと思ったら大間違いだった。
「今日は横になって寝たい気分だった」
彼は起きて大きなあくびをひとつかました。
「昨日? 今日の朝だっけ? とにかくクラブでの乱闘がひどくてさぁ……」
「お、お疲れ様……」
サラリととんでもない発言をする寝起きの顔と私のひきつった顔は、他人から見たら対照的なんだろうな。
もう少し近づけと手招きされたので近づいた。
腕を引っ張られ、優しく彼の腕の中に納まった。タバコと彼の甘い匂いが鼻をくすぐる。
「あー、やっぱお前がいいわ。他のどんな女よりも。ぎゅっとしたら、なんか落ち着く」
彼はそう独り言を言って、私に口づけた。
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終業式が終わったあと、彼から呼び出された。前に夏休みの予定を聞いたから、その返事かもしれない。
「俺、チームのみんなとバイトして海行ってくるんだわ。だからごめんな。お前とはあまり会えない」
男だけで思い出を作るんだ、と彼は笑った。
大切なことは直接伝えるという彼の律儀な面も好きだけど、律義さと笑顔に包まれた彼の都合を聞くと、暗い気分になる。気づかれないように、頑張って口角を上げた。
「そうなんだ、楽しんでね」
こちらはこちらで女だけで思い出を作るのも悪くはない。パフェやかき氷を食べに行ったり、秋冬物を見に行ったり。
そうでもしないと寂しさで気分がやられる。
「おう! 俺が帰ったら1日くらいは空けとけよ。お前との思いでも作りたいからな」
え、と声が漏れた。
「当たり前だろ、俺たち付き合ってるんだから」
うりゃ、と犬を可愛がるように髪をわしゃわしゃにされた。
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ヘアアイロンを上手く使えるようになりますように。
短冊を見つめ、束ねただけの髪を触る。
今は一つに束ねた素っ気ない髪型だけど、ゆるふわのかわいい髪型になれば、自信を持って彼に話しかけられるかな。
「え、お前、髪巻くの!?」
心臓が飛び出るかと思った!
「ど、どうして」
ロボットのような動きで首だけを後ろにやる。
視線の先には、話しかけたくても勇気が出ず、今まで話しかけられなかった彼。
「あんな熱いもんあてるなんて、髪痛むぞ」
「え…?」
だってあなたの周りにいる女の子たち、みんなふわふわで触りたくなるような髪型をしているじゃない。
あの子たちに混ざりたいのに、私なんかがその髪型になることすらダメなの?
「だーかーらー。お前、サラサラでキレーな髪してんのに、巻くのもったいないじゃんっつってんの」
私は乱暴に短冊をもぎ取り、「ヘアアレンジが上手くなりますように」と慌てて書き直した。
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きゅんができる!
本当に解除しますか?