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  1. 13件ヒットしました

  2. はあ。何度ため息をついても、ため息は出るもので。不思議と涙は出なかった。

    好きな人と、昨日まであたしの恋を応援してくれていた友達がめでたく結ばれるのを、この目でしっかり見てしまった。

    ほんとはずっと好きだったんだって。友達の気持ちに気づけなかったなんて、むしろ笑えてくる。

    「帰んないの? 大丈夫?」

    声をかけて振り返れば、同じクラスの彼。

    「あー、うん?」

    「失恋しました、って顔に書いてある」

    「えっ」

    咄嗟に顔に触れると、クスクス笑われてしまった。実際に書いてあるわけがない。ハッとして「変なこと言わないでよね」と顔を背ける。

    「失恋には新しい恋って言うし、俺としてみるのどう?」

    「……は?」

    戸惑うあたしをよそに、彼の手が頭を撫でる。

    「名案じゃない?」

    髪の毛を直して、息を吐く。断ろうとしたはずが、ついうっかりと「うん」と返事をしてしまった。

    きゅん

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  3. ずっとそばにいると思っていた幼なじみに、突然彼女が出来た。

    人の気も知らず、呑気に彼女自慢をしてくるきみ。全然聞きたくないし、聞いてない。だからその幸せそうな笑みもやめてほしい。

    「ノロケもほどほどにしてよね」

    あたしが苦笑しても、止まらない彼女の話。もうわかったってば。

    見たくないよ、きみのそんな、あたしじゃない誰かを大切に想う顔なんて。

    泣きそうになってしまって顔を背けると「こっち向け」と、無理やりきみの方を向かされた。

    そこまで彼女の話を聞かせたいのかと言おうとしてやめたのは、真面目な表情に変わっていたから。

    「……何だよ。言いたいことあるなら言えよ。言わなきゃ伝わんねぇだろ」

    わかんなくていいよ、ばーか。

    きみが好きだなんて、絶対言わない。伝わらなくていい。いつか言いたくなるときが来るまでは、胸の奥にしまっておく。

    だから、今はまだ、きみの幼なじみでいさせてよ。

    きゅん

    6

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  4. 放課後の帰り道。

    「慧くん、勉強頑張って」
    「うん。茜ちゃんもでしょー。頑張ろうね」

    名残惜しくも、慧くんと繋いでいた手をほどく。

    「じゃあ、また月曜日にね」

    今日、まだ一緒にいたい。そんなことは言えなかった。
    テスト期間が来ちゃったから、勉強しないといけない。慧くんは受験生だし、あたしがテスト勉強を邪魔するわけにもいかないよね。

    付き合ってから、結構欲張りになっちゃってるなあ。いけない。

    ちょっとくらい我慢しよう。せめてテスト期間くらいは。そうだよね。うん、あたしも勉強頑張ろう!

    気合いを入れたとき、ふわり、と背後から抱き締められた。優しい温もりに包まれる。

    ……え?

    驚きで一瞬固まってしまった。

    「さ、慧くん!?」
    「……ごめん。やっぱり、もうちょっと一緒にいようか」

    きゅん

    8

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  5. 外へ出ると、とても寒かった。風が冷たく頬をさす。

    「うっわー、さむっ。マフラーいるんだったかなー」
    「忘れたんすか?」
    「うん。そんでも、朝はそんな寒くなかったからいいかなーって思ってたけど。失敗したかな」

    参ったわ。笑いながら、ズッと鼻を啜る。ついでにいえば、あたしは手袋をしない派なので手も寒い。

    ちらりと隣を一瞥すれば完全防寒。マフラーに手袋、コートまで。あったかそう。いいな。

    「確かに寒そうですよね」
    「うん。寒いよ。すっごく」
    「……じゃあ、はいどうぞ」
    「それ何のポーズ?」

    彼は唐突にあたしの前に立って、腕を広げる。うん、どういうこと?

    「飛び込んできて、どうぞ」
    「あっためてくれる的な?」
    「そうで……うわっ!?」

    そうとなれば、もちろん飛び込んだよね。言葉通りに。

    きゅん

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  6. 学校のハロウィンパーティー。といっても、企画してくれた生徒会の人達のおかげ。生徒会の人達は、とても本格的な仮装をしている。
    その中でも、死神の仮装をしている先輩はとても目立っていた。

    かっこいいなあ。さすがは先輩だ。近づいて「似合ってますよ」と声をかけた。

    「そう? そっちこそ、似合ってるよ」
    「え、ああ、これですか。仮装はお金かかりますからね」

    頭につけた、かぼちゃを指差す。すると先輩は「違うよ」と首を横に振った。

    「こっち」

    先輩の手が、わたしの髪に触れる。

    「前髪切ったんだね。かわいい」
    「……かぼちゃじゃ、なくて」
    「うん。それもかわいいけど。前髪短いほうが、顔がよく見えるから」
    「そう、ですか」

    笑う死神に、何だかもうわたしのすべてを持っていかれた気がする。

    きゅん

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  7. ヘッドフォンをしている湊は、すぐ後ろにいるあたしに気づいていない。

    気づけ。こっち向いて。念を送ってみる。
    あ、本当にこっちを向いた。通じた。


    何かしてやろうといたずら心で、ウインクをしてみる。あたしのウインクを見ていた周りの男子はあっという間に騒ぎだしたというのに。

    「……おはよう」

    ヘッドフォンは外したけど、まったく表情の変わらない湊ときたら!
    また前髪伸びすぎてんじゃないの?

    「おはようっ!」
    「早く」
    「えっ、あ、ちょっ、」

    腕を引っ張られて、そのまま教室へ。あれ、もしかしてこれって、

    「他の人に騒がれたの、嫌だった?」
    「……さあ」

    そっぽを向いた湊に、顔が緩んでしまう。否定しないってことは、そうなんだ。

    「湊のそういうとこも好き」
    「知ってた」

    呆れたように笑うその顔だって、大好きだよ。

    きゅん

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  8. 朝から体育なんてだるいなあ。眠い目を擦りながら、ぼんやりとボールを追いかける。

    「あ、危ない!」
    「へ?」

    遠くにあったはずのボールはあっという間に目の前にきていて、顔を上げたあたしに見事にヒットした。痛い、と思うと同時にそのまま後ろにひっくり返って。ただでさえ顔をぶつけたのに、後頭部まで床に打ち付けた。

    ……ああ、ついてないなあ。ぼやける意識の中で、クラスメイトたちの心配そうな声。

    気を失っているわけではないのだけど、起き上がれそうにない。それに起きて続けられても困る。

    ここは気を失ってるふりでも、

    「保健室行ってくるから! とりあえず休憩してる人から一人入って試合続けて!」

    ふわり、と持ち上げられた。そんな体重軽くないのに。そのまま、運ばれていく。今さら嘘でしたなんて言えない。

    心臓がどきどきしすぎて、本当に気を失ってしまいそう。

    きゅん

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  9. 次の授業で提出しなくちゃならない課題を彼がまだやっていないというので、仕方なく手伝うことにした。それなのに、さっきから全然手を動かさない。

    お昼休み、そんなに長くないのに。困っちゃうな、もう。
    時計を確認してから、何もしていない彼に目を向けた。

    「何笑ってるのよ。早くやらないとでしょ」
    「困った顔見るの、好きだなって思って。だってさ、それって俺のことで困ってるわけじゃん」
    「当たり前でしょ。ちゃんとやってくれないんだから」

    そう言うと、彼はうなずきながらまた笑った。

    「その間はずっと、俺のこと考えるでしょう? その時間って、俺のものだよね」

    にっこりと、それはそれは嬉しそうに。

    「誰のことでも困らせるのはやめてよね」
    「自分にとって大切な人だけだよ」

    これ以上嬉しそうな顔はさせるものかと思ったのに、困ったことに、とても笑顔にはなれなかった。

    きゅん

    9

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  10. 「おー?」

    雨に降られたまま歩いていると、急にあたしの上だけ、雨が止んだ。顔を上げれば、傘。振り向かなくても、誰のものかはわかる。

    「何してんの」
    「傘忘れたから」
    「連絡してくれれば行ったから。風邪引いたらどーすんだよ」

    だって、ね。そんなカレカノみたいなこと頼めないじゃん。付き合ってないんだし。

    何となくお互いわかってはいるけど。ほんとのことはわかんないし。越えられずにいる。

    「風邪引いたって、あんたに関係ないじゃん」
    「ある」

    隣に並んだかと思えば、顔が近い。その距離、わずか数センチ。

    近すぎだっつの。心臓壊れるわ。

    「何で?」
    「わかるだろ」
    「わからん」
    「……す、きだから! 心配するだろ」

    うん、あたしも。返事をする前に口が塞がれた。

    「勇気出したなヘタレ野郎」
    「まあ、そんな気分になったんだよ」
    「雨に感謝だね」
    「おう」

    両片想いは、ここでおしまい。

    きゅん

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  11. 「おー、降ってるなー。朝晴れてたからどーかと思ったけど天気予報当たったな」
    「ほ、んとだよねー。おかげで傘持ってこなかったよ」

    言いつつ、カバンから出しかけた折り畳み傘を引っ込める。

    「傘忘れたのか。これじゃー、帰るの大変だろうなー」
    「だよねー」

    あははと笑って、ローファーに履き替える彼の横顔を見つめる。優しい彼のことだから、きっと……って、あれ、

    「じゃーな。がんばれよー」
    「え、」

    とんとんと音をたてながら昇降口まで歩いたかと思えば、彼は傘を広げて振り返った。え、あたし置いてきぼり!?

    予想と違う彼の行動に肩を落とす。さすがにあいあい傘はしたくなかったかな。

    「冗談。傘忘れたふりなんてされたら、期待するじゃん。入る?」

    いたずらっぽく彼が笑った。バレてた。それでもそう言ってくれるってことは、

    「あたしも期待してもいいってこと?」
    「さあ」

    その笑顔が、きっと答え。

    きゅん

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  12. 「いいんちょー。日直じゃないのに日誌手伝ってくれてありがとう。お礼にいいこと教えてあげるね」
    「何?」
    「エイプリルフールについた嘘って、本当にしなくちゃいけないんだってさ」

    なんて、嘘だけど。学級委員で、見た目通り真面目で信じやすい彼のことだもの。もし嘘とバレても許されるのが今日だし。

    「え、そーなんだ。大変だね」

    ほらね。だから、思いきって。

    「あたし、いいんちょーと付き合ってますって嘘ついちゃったんだけど」
    「……本当にしたいの?」

    あれ、あれ?

    「あの、」
    「いいよ。ほんとにしちゃおうか」
    「いいんちょー、」
    「それとも、これも嘘だった?」

    背中は壁。逃げられないようにされていて、いわゆるこれって壁ドン?

    「嘘じゃ、ないよ」

    あたしの言葉に彼は

    「知ってたけどね」

    と言って、ニヤリと笑った。

    特別な、エイプリルフール。

    きゅん

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  13. 友達から恋人へと関係を変えてから、初めて一緒に過ごす放課後。まさか課題を見てもらうことになろうとは思いもしなかった。

    2人っきりだというのに涼しい顔をしている彼に、唇を尖らせる。

    「つまんない」
    「課題終わんなかったのはどこの誰だよ」
    「あたし……」
    「わかってんだろ」
    「うん」
    「なら、終わらせてさっさと帰んぞブス」

    友達だったときも散々言われてきたブス。本当に思ってないことはわかってるし、もう慣れてる。なのに、何でだろう。突き刺さった。

    「た、確かに課題終わらなかったのは悪いけどブスって言わなくてもいいじゃん! 彼女になったら名前で呼んでくれるのかと思ったらそうじゃないし! 寂しいよ、ばか!」
    「……ちっ」

    舌打ち!? と思ったときには、もう唇が触れていて。

    「俺の性格、わかってんだろ」
    「……うん、そうだね」

    顔、真っ赤だね。

    きゅん

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  14. 友達とわかれて、1人になった帰り道。ふと、さっき言われたことを思い出してため息が漏れた。

    「先輩、ため息ですか?」
    「えっ、うん」

    突然顔をのぞき込んできた彼は、1つ年下のちょっと気になっている後輩。

    「悩みですか? 俺で良かったら聞きますよ」

    あんまり言いたいことではないけど、隠すような話でもないから、正直に打ち明けてみる。

    「クラスの男子から、女らしくないって言われて。まあ、わかってるけどさ?」
    「ほー」
    「ちょっと気にしちゃったっていうか……」
    「へえ」
    「……」

    真剣に聞いてほしいとは思ってなかったけど! だからって!

    「気にしなくていいんじゃないですかね。だって、先輩、俺には女の子にしか見えないですもん」
    「え?」
    「他の男子から女らしく見えないなら、俺にとっては好都合です」
    「えっ!?」

    余裕の笑みを見せる彼に、あたしの心臓はもう、爆発寸前。

    きゅん

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